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平成25年第二部決算特別委員会−10月09日-03号
平成25年第一部決算特別委員会−10月09日-03号

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  1. 札幌市議会 2013-10-09
    平成25年第二部決算特別委員会−10月09日-03号


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    平成25年第二部決算特別委員会−10月09日-03号平成25年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               平成25年(2013年)10月9日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 31人(欠は欠席者)     委 員 長  細 川 正 人      副委員長   小 川 直 人     委   員  宮 村 素 子      委   員  勝 木 勇 人     委   員  こんどう 和雄      委   員  山 田 一 仁     委   員  村 松 正 海      委   員  よこやま 峰子     委   員  宗 形 雅 俊      委   員  飯 島 弘 之   欠 委   員  小 竹 知 子      委   員  阿部 ひであき     委   員  伊与部 年 男    欠 委   員  猪 熊 輝 夫     委   員  大 嶋   薫      委   員  恩 村 一 郎     委   員  林家とんでん平      委   員  桑 原   透     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  山 口 かずさ     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  中 村 たけし     委   員  本 郷 俊 史      委   員  三 浦 英 三     委   員  阿知良 寛 美      委   員  國 安 政 典     委   員  福 田 浩太郎      委   員  坂 本 恭 子
        委   員  小 形 香 織      委   員  伊 藤 牧 子     委   員  松 浦   忠      委   員  堀 川 素 人     委   員  木 村 彰 男       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時 ○細川正人 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項ですが、小竹委員、猪熊委員からは欠席する旨、また、伊与部委員からは遅参する旨、また、川田委員からは飯島委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 平成24年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆伊藤牧子 委員  私からは、地域医療支援病院緩和ケア医療について、2点質問いたします。  8月29日、地域医療支援病院の承認がされました。承認要件である紹介率40%、逆紹介率60%に対し、2012年度実績ではそれぞれ49.2%、62.5%とのことで、これまでの努力が実ったものと思います。承認されたことにより、ステージアッププランでは地域医療支援病院入院診療加算として1億7,700万円の増収が見込まれており、今後、経営基盤が強化されると思います。これで、札幌市内の地域医療支援病院は札幌社会保険総合病院、KKR札幌医療センターなど7病院となりました。現在、地域医療支援病院を目指している医療機関もあるということですので、今後はさらにふえることが予想されます。  それぞれの地域医療支援病院では、国が求めている医療機関の患者の紹介、逆紹介などによる医療連携のほか、病床、医療機器等の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者への研修等を同じように進めることになります。今後、さらに地域医療支援病院間の競争が進む中、地域の医療機関に対して、市立札幌病院と連携を結ぶことによりどのようなメリットがあるのか、どのような医療が提供されるのか、明確に示していくべきと考えます。  そこで、質問ですが、地域医療支援病院の承認を受け、市立札幌病院は何を目指すのか、また、今後も高い紹介率、逆紹介率を維持するためには地域の医療機関とのさらなる連携を深めることが重要ですけれども、具体的にはどのような方策で取り組むのか、伺います。 ◎関 副院長  ただいまのご質問に関して、地域医療支援病院として当院の目指すもの、運営方針についてお答えいたします。  ご指摘のとおり、市内の地域医療支援病院が七つとなり、この厳しい環境の中で、患者や地域の医療機関から信頼され、選ばれる魅力をつけていくことが重要であると考えています。その上で、地域医療支援病院に期待される役割は、より一層の医療機能分化地域医療機関からの救急患者の受け入れであると認識しています。  当院は、引き続き、地域医療機関との関係強化を図り、特に逆紹介率の向上を目指していきます。あわせて、救急患者の受け入れ拡大を進めており、まず、この10月から消化器内科、2次救急輪番病院への参加を開始しています。また、当院が地域医療の向上に貢献する上で地域の医療従事者への研修支援は重要と考えており、本年度は60回を超える研修を地域に公開し、地域の医療従事者と顔の見える連携強化を図ってまいります。 ◆伊藤牧子 委員  今の答弁にありましたように、救急医療患者の受け入れや研修など、さまざまなことをされると思います。先ほどおっしゃられたように、札幌市内には医療機関が大変多いと聞いていますし、同じように地域医療支援病院としてそれぞれがやるわけですから、市立病院としては市立病院らしい特色あるものをつくっていかなければいけないのではないかと思います。  また、市立病院と連携しているところは800病院ぐらいあると聞いております。それは札幌市内や江別などいろいろなところにあって、医療機関との奪い合いというわけではないですが、重なるところも多いと思います。市民や医療機関にとっては選択肢が広がるわけですから心強いと思いますけれども、今言いましたように、市立病院らしい独自性を出していくことが重要だと思います。  札幌市は、日本一、子育てしやすいまちを目指し、子育て支援などを重要課題として取り組んでおり、医療面においても、安心して子どもを産み育てられる環境の整備も重要ではないかと私は思っています。2011年に市立札幌病院連携医療機関に対して実施したアンケート調査によりますと、期待する医療として1番目に救急救命医療、2番目に小児救急医療を挙げており、小児救急医療の充実が求められていると思います。  そこで、質問ですが、市立札幌病院地域医療支援病院として特色を生かした医療を進めることが重要であり、医療機関から求められている小児救急医療の充実に力を注ぐべきと考えますけれども、どのように取り組むおつもりか、伺います。 ◎関 副院長  子育て支援に関する小児医療拡充についてお答えします。  現在、当院では、外来での受け入れはもとより、小児2次救急輪番に積極的に参加して小児の急病に対応しており、輪番時には10人前後の入院を受け入れることもございます。また、独自の取り組みとして、毎日午後8時まで小児科医師が病棟で待機し、地域の小児科医からの診療、入院要請に応える体制をとって小児の急病に対する支援を行っています。さらに、今年度中に小児病棟の整備などの受け入れ体制を整えた上で、平成26年度早期には小児の2次、3次救急の365日サポート体制をスタートする予定です。今後とも、安心して子育てのできる札幌の医療面での支援に努めてまいりたいと思っています。 ◆伊藤牧子 委員  小児救急医療に対しても来年度早々に365日のサポート体制をつくっていくということですので、子どもを持っている親としては、安心して札幌に住めるというか、市立病院に期待すると思いますので、ぜひ充実を図っていただきたいと思います。  次に、緩和ケア医療について質問いたします。  2010年度の厚生労働省の人口動態調査によると、主な死因別死亡数の割合は、依然としてがんが29.5%と最も高く、日本人の3人に1人ががんで亡くなっています。私の周りにもがんで亡くなられている方やがんを患っている方も多く、人ごとではないと思っています。  がん治療は、早期発見、また、医療の発達により生存率も高くなってきましたが、抗がん剤による痛み、倦怠感などの身体的苦痛や死への恐怖や不安、人生の意味を失う喪失感など、さまざまな精神的苦痛を伴うと言われています。緩和ケアは、がん患者の方が抱えているさまざまな苦痛を取り除くもので、これまでは抗がん剤治療ができなくなった終末期に行われているものと思われていました。しかし、2007年4月、がん対策基本法が施行され、緩和ケアは、早期の抗がん剤治療と同時に行わなければならない大切な治療とされ、がん患者の方にとっても、身体的、精神的な苦痛を少しでも取り除き、生活の質を高め、生きる力を与えてくれるものと認識されるようになってきています。市立札幌病院においては、2007年より緩和ケア内科を設置し、緩和ケアチームを組んで緩和ケア診療を行ってきているとのことです。  そこで、質問ですが、昨年度のがん入院患者数とがん患者の終末期の患者数、そのうち、緩和ケアを受けた患者数の実績やその傾向を伺います。  また、市立札幌病院は急性期の緩和ケア病棟を持っていませんが、がん患者の方にどのような緩和治療を行っているのか、伺います。 ◎晴山 病院局理事  まず、がん患者数の実績と傾向についてお答えいたします。  年度ではありませんが、平成24年のがんの入院患者数は3,331人で、がんの終末期の患者は230人でした。このうち、緩和ケアチームがかかわった患者数は220人で、複数回かかわった患者もおり、延べ介入数は320件、1日平均16.7人でございました。緩和ケアチームの活動が浸透しまして、チームがかかわる件数は増加傾向にあります。  次に、がん患者への緩和治療の内容ですが、当院では、疼痛緩和のために主治医及び緩和ケアチームによる薬物療法や放射線治療科における放射線治療など、いろいろな選択肢の中から患者の状態に応じた緩和治療を行っております。また、患者の不安の緩和や解消を図るための精神療法を緩和ケアチームの精神科医師が担当するとともに、精神医療センターと連携し、センターの8名の精神科医が定期的に病床を訪問し、がん患者の精神的不安に対して常時対応しております。 ◆伊藤牧子 委員  がんの緩和ケアとして1日16.7人ということで、私としては多い数かなと思っております。また、今おっしゃられたように、精神医療センターができたことによって、患者にとっても精神的な苦痛を和らげる大変いい治療を受けられるのではないかと思い、市立病院が総合病院としての役割を強く持っているということが今の答弁の中でわかりました。  がん患者の中には、よくなられて退院できる方、病院や在宅で終末期を迎える方、また、残念ながら亡くなられる方もいてさまざまです。急性期医療を担う市立札幌病院ですが、残された命を大事に自分らしく生きたいと願う患者への終末期の緩和ケアも大変重要であると私は思っております。  そこで、質問ですが、がんの終末期の患者への対応をどのようにしておられるのか、伺います。  また、在宅に移行されて終末期を迎える患者への対応はどのように行われているのか、伺います。 ◎晴山 病院局理事  まず、がんの終末期の患者への対応でございます。  最適な緩和医療を提供できる病院への転院を原則としており、平成24年度は81人の方が緩和ケア病棟のある病院へ転院されております。しかし、急性期医療を担う当院においても、転院や退院が困難な終末期患者は多くいまして、そのうち、平成23年は149人、平成24年は141人が当院においてがんで亡くなっております。  在宅への移行や緩和ケア病院への転院調整に時間を要することもあり、減少傾向は認められておりません。このため、昨年4月より、緩和ケア内科においてモデル的に2ベッドのみ終末期の緩和医療を行う病床を開始しております。平成24年度の入院患者実数は16人で、平均入院日数は38日でございました。この病床の稼働状況はほぼ満床で推移しており、現在も変化はございません。  次に、在宅に移行した終末期患者への対応でございます。  終末期をご自宅などで過ごすことを希望する患者、ご家族の要望を伺うとともに、そのリスクなどを説明した上で、地域連携センター在宅診療担当の医療機関や訪問看護ステーションなどの調整にかかわり、できる限り穏やかな環境で過ごせるように努めております。また、患者の急変時の対応ですが、在宅医と連携して対処を取り決め、患者とご家族の不安をできるだけ和らげる対応に努めております。 ◆伊藤牧子 委員  終末期の緩和ケア医療につきましては、地域の医療機関と連携しているということですが、国は、今、在宅医療の方向にかじを切ろうとしていると思います。在宅での医療は、介護の負担も大きくなり、それを支えるのはかかりつけ医などの地域の医療機関だと思います。市立札幌病院は、地域医療支援病院、また、がん拠点病院として、特に紹介した患者の急変のフォローなどを行うということですので、今後も、医療機関とともに在宅での終末期緩和ケアの充実をさらに図っていただきたいと思います。  先ほどのご答弁の中では、終末期の緩和ケアについて、149人の方が亡くなられているということも聞きましたし、2床をモデル的に試行していて、それ以外の患者は他の病院に転院しているということでした。ホームページを見ますと、現在、緩和ケア病棟を持っているのは札幌厚生病院や時計台病院など10の医療機関で243床、そのうち、がんの拠点病院は3病院、71床であり、どこもおおむね24〜25床の緩和ケア病棟を整備していて、そのほとんどは民間病院でした。  先ほど患者数や死亡者数をお聞きしましたが、これからがんの患者もふえていく中で終末期の緩和ケアは大変大事だと思っております。特に、市立札幌病院は、道央圏における質の高いがん医療を提供する中核病院の一つであり、地域がん診療連携拠点病院として、また、先ほど来言っております地域医療支援病院として、地域の医療のニーズの高い緩和ケア医療が求められていると思います。ですから、私は、やはり市立病院として緩和ケア病棟の設置が必要ではないかと思っております。  そこで、質問ですが、今後、高齢化に伴い、がん患者の終末期の緩和ケアを充実させるためには、札幌圏で不足している緩和ケア病棟の設置を2015年度からの次期計画に盛り込むよう検討すべきと考えますけれども、最後に病院事業管理者のお考えを伺いまして、私の質問を終わります。 ◎富樫 病院事業管理者  緩和ケア病棟の設置を次期経営計画に盛り込むよう検討すべきではないかとのご質問でございます。  当院は、がん診療連携拠点病院であると同時に、地域医療支援病院として地域の医療機関との機能分担を進める立場にもございます。委員のご指摘のとおり、現在、札幌圏において10病院、243床の緩和ケア病床があり、まず、これらの病院との役割分担を明確にして連携協力することが第一と考えております。しかし、当院では、年間、多くの患者ががんで亡くなっておられる現状や、緩和ケア病院への転院も時間を要するなど、当院においても終末期を迎えた患者の入院環境の整備は大きな課題と認識しております。  当院は、次の経営計画策定に向けまして、国の進める医療提供体制の再構築に応じた病床、病棟などの再編を検討するところでありまして、緩和ケア病棟の設置については病棟再編課題の一つとして認識しております。 ◆松浦忠 委員  2点について質問いたします。  一つは、診断群別包括評価、外国語で頭文字をとるとDPCと言うそうですけれども、この診療報酬体制を市立病院は3年前から登録してやっております。この診療体制というのは、盲腸の手術をしたら、入院から退院まで幾らですよという値段があらかじめ決まっています。したがって、病院としては、できるだけぱぱっと切って、ぱぱっと縫って、ぱっと出すと利益が上がるわけですね。これは、決して粗雑にしているという意味ではありません。私は、わかりやすく言っているのです。  ところが、脳梗塞などで倒れた脳機能障がいの患者が入ると、どうしても後遺症が残ります。例えば、救急で搬送されてきたら、そこで手術に至ります。そうすると、ある一定期間で出さなければ病院ではもらう診療報酬がだんだん少なくなってくるから、一定期間でほかの病院へ転院させるか、一旦、退院させるかということになります。これは、市立病院ばかりではなく、ほかの医療機関でも行われております。  私がそういう患者から相談を受けるのは、もうちょっと同じ病院で引き続きリハビリなどを含めた治療をしてもらえればいいのにね、退院したら、リハビリに適したようなことで受け入れてくれる病院がないという相談を受けるわけです。  そこで、まずは、診断群別包括評価をして、経営的に言うとどのぐらいの効果が出ているのか。細かい数字はいいですから、こういう効果があると。以前は何日ぐらい入院してこのぐらいだったけれども、それがこれをやることによってこのぐらいになっているというようなことについて説明を求めたいと思います。  それから、逆に、先ほど話したように、市立病院としては診療はこれで終わって退院するか、ほかの病院を紹介しますということでも、転院後、患者から、もう少し市立病院に置いてやってほしかったというような市立病院に対する要望の声が届いているかどうか、まず、この2点についてお伺いしたいと思います。  次に、決算書から見ますと、患者総数で言うと8.8%ぐらいの減少ですね。ただ、収入は、結果として黒字ですが、前の年に比べておよそ23%減少しております。前の年よりも23%も収入が減ったのは、単に病院に来る外来患者が減ったことだけが要素になっているのか、これについて説明を求めます。 ◎木内 経営管理部長  DPCに関するご質問にお答えします。  DPC制度は、診断群別包括評価ということで、ある疾病に1日の入院料は一定の金額で確定させ、この金額は全国平均の入院期間を基準としますので、その基準より短い期間で退院できると入院単価が高くなり、逆に、基準を超えて長い入院期間になると単価が安くなることになります。そうなりますと、診療報酬を高目に受けるためには入院期間を短くしなければならないという点がございます。それから、私ども市立病院は急性期病院でして、非常に危険な状態の重篤な方々の診療を中心として考えております。あわせて、地域との連携を強化して、その状態に応じて適切な病院で診察を受けていただく体制を私どもは考えております。  先ほど委員からご指摘がございました無理に退院させるとか、あるいは、嫌がっている方を退院させるという実態は決してないと私どもは考えております。というのは、DPC制度でも、一旦、退院させて、短期間で再入院になった場合は評価が下がる状況もございます。ですから、急性期を脱した患者につきましては、連携をとっている病院、あるいは、回復期の病棟を持った病院、療養病棟を持った病院で適切な治療を受けるのがベターだと考えておりまして、そういうことで進めております。  次に、2点目の転院された患者からの要望についてでありますが、私は、その件については聞いたことがございません。  それから、3点目の患者が減少しているということについてです。  23%の収益の減少に大きく影響している部分は、外来患者の減少もあります。ただ、最も多いのは、DPC制度のもとで短い期間で治療して退院していただくために、当時、平成19年で入院期間は約16日ぐらいでしたが、現在は約13日に短縮されてきております。短縮されると、当然、空きベッドがふえます。私ども市立病院でそこをどう補っていくかとなりますと、新規入院患者を迎え入れることが非常に重要になります。その点で、23%の減少の最も大きな原因としては、新規入院患者の受け入れが目標に達しなかったところが影響していると考えております。 ◆松浦忠 委員  ベッドの占有率、入院日数は、以前から見たら下がっていると思うのです。これは、診断群別包括評価の支払い制度の適用を受けるので、短期間で退院させて次にまた入ってくるということですが、その日に退院してその日に入院というふうにうまくいかない場合が多いですから、私はそういうことからあきが出ているのかと思うのです。その場合、この登録をしないで、患者も求めていて、医師も必要だというところで折り合いをつけながら、従来のやり方の中であらかじめ入院患者を病院に確保して占有率を上げていったときと比較したら、収支的にどちらがプラスになるとお考えか、そういう評価をされたかどうか、これについてお尋ねします。 ◎木内 経営管理部長  DPC制度の適用と従来の出来高制度での入院の比較についてです。  直接的なお答えにはなっていないかもしれませんが、DPC制度の対象として国が考えているのは急性期病院です。急性期病院において適正な治療を行うことによって短期間で患者を退院させる、これは患者の利益にもつながるということで、DPC制度を活用することにより、しっかり診療を行う急性期病院を――実は、現在、急性期病床が非常に多過ぎる状況になっております。そこで、その中でしっかりした急性期病院を確保していく意味合いにおいてDPC登録は非常に重要だと考えております。  出来高との比較でどちらが有利かということでいきますと、最終的には患者をどれだけ集められるかになります。私どもは、DPCの急性期病院ということで、適切な設備投資をして患者が短期間で退院する、そういう評判なり実績が病院にできますと、患者の集患量が高まります。逆に、長々とは申しませんが、出来高でベッドを埋めるために入院を長引かせる病院は、私ども医療界では、一般的に、最終的には患者が集まらなくなって、病院経営が立ち行かなくなると考えられております。具体的にどちらが得かということは言えませんが、私どもがDPCの取り組みを始めて、今、平成22年度から収益的収支が連続で黒字化されておりますので、この点を考えてもDPCに登録したことはよかったものと考えております。 ◆松浦忠 委員  いずれにしても、全ての患者の要望を全部満たしてみんなからということにはなかなかいかないと承知しております。  こういうことがあったのです。脳の手術をして、ある民間病院に3カ月入院しました。どうも後遺症が残ってリハビリしていたのですが、もうそろそろ退院をということで退院いたしました。ところが、家に帰っても、自分ではリハビリもなかなか大変でだんだん歩くのが困難になってきました。そこで、ぜひ市立病院に入院したい、市立病院ならば施設も整っていて体制もいいからということで、その患者は入院の支度をして市立病院に行ったのです。ところが、市立病院の先生が診たら、これはリハビリ以外にない、入院の必要はないから帰りなさいと言われて帰されたという話もあったのです。  ですから、特に脳の機能障がいを持った人の退院の時期については、患者の意向も十分にそんたくする中で判断してあげてほしいし、退院に当たっては、もしリハビリなどを中心にした病院に転院させられるということであれば、そういうところをきちんと確保してやっていただきたいと思います。その方がかかったところは脳の専門の民間病院ですが、残念ながら、どこも満杯で、あなたは大丈夫だということでそういう対応をとってもらえませんでした。このようなこともありますので、ぜひ、市立病院として、そういう脳の機能障がいの対応はしっかり取り組んでいただきたいと思います。  先ほどがん患者についても触れられておりましたが、以前はホスピスという緩和治療が全く点数にならない時代がありまして、それを始めたのは白石にある東札幌病院です。あそこに石垣さんという看護部長をやられた有名な方がいまして、その当時の院長とも会って話を聞きましたが、経営的には大変だと言っておりました。その後、今は報酬も少し出るようになっております。それが十分かどうかは私もまだよくわかりませんけれども、要は報酬があって初めて成り立っていくことであります。ですから、緩和ケア治療に取り組んでいくときに、今の診療報酬体制でできるのか、できないのか、そこを決算などにしっかり明記いただくことで、我々も、審議し、さらに議会として国に対して診療報酬の改定を求める場合に大事な判断要素になりますので、それはきちんと出していただくことを指摘して、質問を終わります。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、市立札幌病院の災害医療体制について伺います。  我が国は、大規模な地震、津波、台風、大雨などの風水害で幾度となく深刻な災害に見舞われております。そのたびに、被害による深い悲しみの中から新たにとうとい教訓を学んで、これを歴史的に繰り返しながら今日に至っていると思います。近年で言えば、深刻な災害として私たちの記憶に残るのは、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災であり、何よりも平成23年3月11日の東日本大震災であると言えます。  平成7年に発生した阪神・淡路大震災を教訓に、大災害によって適切な医療が提供できなくなる状況を踏まえて、災害発生後も病院機能を維持して、患者の広域搬送や応急用の資機材の貸し出し、あるいは、医療救護チーム等に対応できる医療機関を確保するためにつくられた仕組みが、都道府県知事が一定の機能を整備した医療機関を指定する災害拠点病院であります。災害拠点病院は、災害発生時には被災地から重症傷病者の受け入れや災害派遣医療チーム、DMATの派遣等の役割を担うこととなり、市立札幌病院は通常時から救命救急のセンターなどで重篤な患者へ医療を提供し、DMAT指定医療機関にもなっていることから、災害拠点病院の指定を受けているところであります。  さて、このように阪神・淡路大震災という震災の経験を経て整備してきた災害拠点病院でありますけれども、さきの東日本大震災においてはさまざまな課題が新たに指摘されたところであり、震災後2年半を経過して、それらの教訓のもと、市立札幌病院の整備状況について改めて取り上げるところであります。  東日本大震災における課題の一つが、備蓄に関することでありました。震災における被害が余りに甚大であったために、道路の寸断、あるいは、ガソリンなどの燃料不足が長期にわたり、流通が麻痺して備蓄物資以外の食料確保が困難な状況になりました。医療機関でも、患者や職員を含めた食料の備蓄不足が課題となったばかりか、医薬品や衛生材料の備蓄による対応も長期に及び、底をついた病院も報告されております。  そこで、質問でありますけれども、市立札幌病院が災害拠点病院として購入手続を経て院内に何を備蓄しているのか、それは何日分、そして何人分を想定したものであるのか、改めて伺います。  また、医薬品についてはどの程度の量を災害用として確保しているのか、あわせて、具体的に伺います。 ◎木内 経営管理部長  災害に備えた備蓄内容についてお答えいたします。  厚生労働省からの通知によりまして、災害拠点病院の指定要件として、食料や飲料水、医薬品等を流通を通じて適切に供給されるまでに必要な量として3日分程度を備蓄していくことが定められております。当院では、非常用食料については、入院患者800人、3日分を想定いたしまして、食料7,200食を備蓄いたしますとともに、医薬品につきましては発災からおよそ5日分以上、医療材料につきましてはおよそ3日分以上を常時確保しております。  なお、これらの備蓄は、発災直後を想定したものでありまして、一定期間が経過した後には、札幌市地域防災計画に基づく災害時における医薬品等の供給等に関する協定によりまして、札幌市保健所を通じて優先的に供給される体制をあわせて整えているところであります。 ◆阿部ひであき 委員  厚生労働省の通知を踏まえて、入院患者800人の3日分ということであります。そういうお話の中で、災害拠点病院の役割からすると、食料や医薬品などの備蓄物資の確保と更新は非常に大切な取り組みの一つだと考えます。現状の在庫状況から、今後想定される災害においてもしっかり対応できる機能の充実に向けた検討は、これからも重要であります。  また、先ほど申し上げたように、東日本大震災による教訓を踏まえ、災害拠点病院の指定要件についても強化されています。備蓄については、指定開始当初は、備蓄スペースを有することや自己完結型の医療救護に対応できる医薬品、飲料水、食料等を確保することとされ、日数等の規定はありませんでした。現在は、食料、飲料水、医薬品等の3日分程度の備蓄など、具体的な表現に改められているところであります。  さて、ライフラインについても、東日本大震災では、先ほども触れた道路の寸断、ガソリンなどの燃料不足が長期に及んで、電気や水道を初め、備蓄燃料も不足したということであります。  そこで、質問でありますが、東日本大震災を教訓として災害拠点病院として求められる対策は強化されているとは思いますけれども、備蓄やライフラインの確保など、市立札幌病院としては、この間、どのような取り組みを行ってきたか、伺います。 ◎木内 経営管理部長  東日本大震災後の取り組みについてお答えいたします。  当院では、東日本大震災を機に、地域の災害拠点病院としての機能を果たすため、災害に強い電気設備の設置に向けて順次作業を進めておりまして、平成26年度末までには設置完了を目指しています。  具体的に申し上げますと、まず、非常用発電設備についてでありますが、現在の発電機の能力では、実際の停電の際、手術室や救急関係などの一部の重要設備に絞っても24時間の電力供給が限度でありますので、これを当院全体が3日間フル稼働できる設備に更新いたしたいと考えております。さらに、受電設備につきましては、北電からの送電電圧の特別高圧化や送電ケーブルの完全地中埋設化を行う計画となっております。また、飲料水の確保につきましては、当院では、給水設備として井戸水を利用しておりますが、これも災害への備えとして平成26年度に1系統を増設する計画でおります。また、備蓄につきましては、ご指摘のとおり、これまでの想定を上回る長期にわたる可能性もありますことから、さらなる備蓄の増強を検討してまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  今、この間の取り組みを伺いましたけれども、特に市立札幌病院は病院でありますので、通常の避難施設とは異なるさまざまな想定から準備には万全を期す必要があるのではないかと考えます。特に、最近は、ふだんから節電を強いられている状況であり、また、原子力発電にかわる発電形態として重油を用いた火力発電に偏った現状の中、火力のみならず、代替エネルギーの発電装置や冷暖房装置などの検討も必要かと考えます。最近では、ガスからの発電も可能であるようですし、特に病院に集まる避難者の多くは、健常者と異なり、病気やけが、障がいを抱える人々が集まる傾向にあることは想像にかたくなく、職員や患者も一時帰宅すら困難な状況になったときにどうあるべきなのかは、現場に働く人でなければわからないところも多々あるかと思います。一方、災害への備えは被害の状況が事前の想定を超える場合が多く、これで十分だと言えるような備えは、実質、困難であるとも思います。  そこで、質問でありますが、ふだんから災害に備えた取り組みを進めていく上ではどんな課題があるか、お考えを伺います。  また、そうした課題や想定を踏まえ、さまざまな角度から議論を尽くして万が一に備えることが必要と考えますが、市立札幌病院の災害拠点病院としてのこれからの取り組みについて伺います。 ◎木内 経営管理部長  課題と今後の取り組みについてお答え申し上げます。  東日本大震災を受けまして、平成24年3月の厚生労働省通知により、災害拠点病院の指定要件が強化されておりまして、当院においても今後の課題として幾つかの取り組みの強化が必要であると考えているところであります。  具体的には、食料、飲料水、医薬品等の備蓄については、災害時に多数の患者が来院することや職員が帰宅困難になることを想定していくことが望ましいとされておりまして、職員用の備蓄も含め、今後さらなる備蓄について検討してまいりたいと考えております。また、衛星電話、衛星回線、インターネットにつきましては、複数の通信手段を有していることが望ましいとされておりまして、現在保有している1台から設備拡充の検討が必要と認識しております。委員からご発言のありました代替エネルギーにつきましては、現在、さまざまな燃料による発電が可能でありますが、当院の発電量を賄うための大規模な非常用発電機は、消防法の基準を充足できるものが重油による発電機のみのため、重油を燃料とする発電機としたところであります。  ご指摘のように、こうした災害時のエネルギーの確保を初めといたしまして、災害拠点病院としての機能向上のためには、日々、改善を加えていく必要があると思いますので、今後も引き続き調査研究を行ってまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  今の答えの中で、代替エネルギーとしての非常用電源の燃料は重油であるということで、消防法の規定だということであります。しかし、これは、実は消防法ではなくて、昭和48年2月10日、消防庁告示第1号自家発電設備の基準であります。要は、消防防災関係者向けの通達になります。  一様に重油がかなり使われている中で、冬に甚大な被害をこうむるような災害に見舞われたとき、やはり、重油にこだわることで本当にいいのかと考えるのですね。実は、重油でなければならないのは、大規模な発電を要するためにはということであって、実際には、消防庁からのものを引っ張って自家発電設備の基準をずっと読んでいたのですが、この中では、第2の(13)に原動機の燃料供給は次のいずれかによるものということで、ガス事業法第2条第11項の規定によるガス事業者により供給されるガスを燃料とする原動機の場合においては、次に定める方法によって燃料が安定して供給されるものであったらそれでもいいと書いているのです。そういうことになれば、一つの検討として、最初から重油でなければならないという議論から始まるのか、それとも、重油とガスがあるというところから議論が始まるのかでは、今後の展開、その後の防災に関する展開が変わってくるのではないかと考えます。  もちろん、重油には重油のいいところと悪いところがあり、ガスにはガスのいいところと悪いところがあります。後ほどじっくりと規定を見ていただくとわかりますけれども、ガスタービンエンジンを使うと設備に対する容積が必要となってくるのです。ただ、一つ言えることは、重油だけに偏るのではなく、そういうものも一つ用意しておけば、本当に非常に大きな災害に見舞われて重油が運ばれなくなったときのために、やはりもう一つあってもいいのではないか、そういうことが検討されてもいいのではないかと私は考えるのでありまして、そうした議論をしっかりと重ねていただきたいというふうに思います。  もう一つは、入院患者数800人、3日分の食料と言いますけれども、当然、十分ではありません。職員の数を賄うとすれば、病院局の職員定数は何名であるかを考えなければならないと思います。今の病院局の職員定数は1,052名ですね。ということは、800人の3日分の食料は、1,052名の職員も含めたらどれだけもつのかということをやっぱり考えなければならないと思うのです。当然、そのために全部を備蓄しろとは言いません。ただ、どういうふうにそれを回していくのか、どういうふうに確保していくのか考えないと、底をついて、不眠不休で食事もとらないで患者の面倒を見て、倒れそうになりながら働く職員の姿が想像にかたくないのです。そういったことを考えると、職員がしっかりと意識を持って患者を診られる能力が維持できなければ意味がありませんので、その辺もしっかり検討して議論していただかなければならないと私は思います。  先ほどの法律の件もありましたが、そういったところの確認も含めて、今後もしっかり議論していただきたいことを指摘して、私の質問を終わります。 ◆村上ゆうこ 委員  私からは、看護師の人材確保について質問いたします。  安定した質の高い病院経営のためには、何より人材の確保が重要です。これまでも、我が会派は、勤務環境の改善や人材の確保について繰り返し質問してきたところです。きょう現在、看護師の総数は、非常勤や臨職も含めて705名ということですが、そのうち、50名の方が9月末現在で病休や産休または育児休業などで非稼働とのことです。今年度は、特に退職者や病気休暇を含め、職場を離れる職員が年度の途中でふえています。しかし、新たな職員が年度途中で補充されないため、4月以降、現場は人数が減っていく一方であると聞いております。  そのような中、市立病院では、重篤な急性期高度医療に特化した医療を推進しており、重症度の高い患者が多く、常に高度な医療を提供しています。当然、看護師が患者1人にかける処置や看護は密度が濃く、仕事量も確実にふえているわけですから、職場全体の繁忙にもつながっているものと考えます。
     また、育児休業などの子育て支援制度の充実に伴い、制度の利用者が増加しております。これは大変喜ばしいことですが、適正な人員配置がなされていないと、その結果、他の看護師の夜勤や時間外勤務の増加につながり、負担が集中している状況があるという声も聞いております。厳しい勤務環境の中、肉体疲労とともに精神的ストレスも限界が来て、昨年度はメンタルによる不調者が20名を超えているとのことですが、本当に現場はますます厳しさを増してきているのではないでしょうか。  そこで、質問です。  今年度の採用試験の実施状況についてです。採用試験の内容や合格発表の時期、試験回数等の工夫、また、年齢制限の引き上げは実現したのか、伺います。 ◎木内 経営管理部長  看護師確保の取り組みについてお答え申し上げます。  今年度におきましては、6月、9月の2回、採用試験を実施いたしまして、現時点で95名を合格者としておりますが、さらなる看護師確保のために12月にも3回目の採用試験を実施する予定であります。  採用試験の内容につきましては、専門試験を廃止いたしまして人物本位の選考に改めますとともに、面接の時期を例年より2カ月以上早めました。その結果、2回目までの試験において新卒者を中心とする一般の部の受験者が顕著に増加しておりまして、昨年度と比較いたしますと47名の増となっております。試験前倒し等の努力によりまして、受験者、合格者とも、昨年度より増加しておりますが、必要な看護師数も増加しておりますことから引き続き確保に努めてまいりたいと考えております。  また、採用試験の年齢制限につきましては、満40歳未満を対象とした経験の部において、満60歳未満まで引き上げられるよう関係部局と協議を進めているところであります。 ◆村上ゆうこ 委員  私は、まだまだ大変厳しい採用状況であると思うのです。昨年度も63名の採用必要数に対して実際の採用数は53名にとどまっています。つまり、今年度は、4月の時点で必要数に10名足りない状況でスタートしたことになります。新年度のスタート時点から人員不足で始まり、部署や病棟により業務量や忙しさが違うとはいえ、看護師の労働強化を強いてきた実態があります。今年度の後半にはさらに厳しい状況に追い込まれることは必須であり、早期の対応が必要と考えられます。  そこで、質問します。  長期休暇などの取得者に対応するための人員の補充はしているのか、年度途中での採用はできないのか、また、看護師確保のための新たな対策は行っているのか、お伺いいたします。 ◎木内 経営管理部長  長期休暇等取得者の補充についてでありますが、看護師の場合、臨時職員への代替職員の確保が非常に困難でありますことから、採用必要数を決定するに当たりまして、あらかじめ育児休業等の長期休暇の取得者を見込みまして、定数を上回る正規職員を採用する運用としております。  なお、総務局との協議によりまして、今年度実施の採用試験から、育児短時間勤務制度の利用者分の補充につきましても、利用者数の一部を採用必要数に上乗せすることとしております。  次に、年度途中の採用につきましては、合格者のうち、勤務可能な方をできる限り前倒しして正規職員として採用しておりまして、本年も10月1日付で4名を採用しております。また、看護師確保のための取り組みといたしまして、これまでも随時行っておりました病院見学を今年度から月2回定例として通年で実施しているほか、昨年度から新たにインターンシップを実施しております。インターンシップにつきましては、昨年度は7月の開催でしたが、今年度は学生の長期休業に合わせまして、夏休み、冬休み、春休みの開催に拡大しております。このほか、ことし3月、4月、7月には民間企業が主催する合同就職説明会に参加いたしまして、新たに作成しました看護師募集パンフレットを配付するなど、当院の魅力を積極的にアピールしているところであります。 ◆村上ゆうこ 委員  ただいまの答弁によりますと、看護師の確保に向けて本当にいろいろな努力、工夫をしていることがうかがえました。しかし、まだまだ人材確保が困難な状況が続いているというふうに実感しているところです。  ここで、看護補助員の増員についても大変重要な取り組みということで、また、看護師の勤務環境改善の一助になる看護補助員、また、看護師が本来の業務により専念できる看護補助員ということで質問させていただきます。  ステージアッププランに掲げている急性期看護補助体制加算算定の達成状況はどうなっているのか、また、看護補助員のさらなる増員は検討しているのか、伺います。 ◎木内 経営管理部長  看護師の負担軽減についてであります。  看護師の負担を軽減し、高度な技術を要する専門性の高い業務に専念していただくためには、看護業務等の補助業務を担う看護補助員を増員することが効果的でありますことから、平成23年度には21名であった看護補助員を大幅に増員いたしまして、本年9月末現在で80名を配置しております。また、急性期看護補助体制加算につきましても、平成24年6月から75対1加算を算定いたしまして、さらに、本年6月から50対1の加算を算定しており、ステージアッププランの計画を前倒しで達成してきているところであります。  今後につきましても、平成26年度に向けまして、看護補助員についてはさらに20名程度の採用を目指しているところでございます。 ◆村上ゆうこ 委員  要望させていただきます。  人材確保に向けまして、本当に可能な限りの努力をしていただけていると思います。しかし、理事者の皆様には、これからはもっと危機感を持って看護師の人材確保に向けて取り組んでいただきたいと切望します。  病院職員組合へのアンケートの回答にも、過重労働で仕事を続けるのが難しい、業務負担軽減の対策を今こそ講じていかないと離職者がふえていくのではないかと危惧する、また、業務に充実感が持てないなどといった看護師の声が多数寄せられているとのことです。特に、昨年度までと違うのは、年度途中の退職者についてことし9月末と昨年9月末との比較で言うと、今年度は既に2倍以上という実態があり、また、5年以上10年未満の勤続年数の看護師に退職が多いことも聞きました。あわせて、夜勤の負担が増していることについて具体的な対策が見えてこないという声も聞いています。来年度以降も中堅職員の中途退職がさらにふえるのではないかということを私は懸念します。  看護師は、約700名ということで絶対数が多く感じられるかもしれません。しかし、32科の診療科を有する市内有数の総合病院としての市立病院の規模や業務内容に比較して、決して数が多いとは言えないのではないでしょうか。採用確保の努力を引き続きしていただくことはもちろんですが、それと同時に、厳しい現場の状況を支えている看護師に対する処遇改善もしっかりしていくことが必要です。処遇改善や定数配置の見直しにつきましても十分に検討していただき、関係部局と協議するよう求めまして、私の質問を終わります。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、がん診療連携拠点病院としての活動についてお尋ねしたいと思います。  我が会派では、これまでもがん対策について取り上げてまいりました。今や、がんは、生涯のうちに約2人に1人がかかると推計されている国民病でありまして、がん対策の充実は絶対に進めなければならないと思うところであります。  我が党の重点政策には、放射線療法、化学療法の普及と専門医の育成が盛り込まれており、がんを担当する全ての医師への緩和ケア研修の推進、がん検診率50%以上の達成、がん診療連携拠点病院の機能強化によるがん治療の地域格差の是正や、がん登録の義務化も明記しているところでございます。公明党の主導で2006年6月に成立しましたがん対策基本法によりまして、日本は、がん対策先進国に向けてその対策が大きく転換、前進してきたと思っております。例えば、女性特有の乳がん、子宮頸がんの検診無料クーポン券の導入は、早期発見・早期治療に効果を上げておりまして、たばこ対策など生活習慣病の改善、さらには、がん拠点病院の整備などががんによる死亡の減少に成果を上げ始めていると考えております。  実際に、日本のがん患者全体の5年生存率、治療によってどれくらい生命を救えるかを示す指標でありますけれども、これは56.9%にまで上昇しており、がんは治らない病気と言われた時代から大きく改善しております。しかしながら、国の基本計画に掲げておりますがんによる死亡者の減少や全てのがん患者と家族の苦痛の軽減などの全体目標の達成は道半ばであり、とりわけがん診療連携拠点病院の役割は今後ますます大きくなるものと考えております。  市立札幌病院は、北海道におけるがん診療連携拠点病院の草分けの一つであり、昨年、外来化学療法室の整備、高精度放射線治療システムを導入するなど、その機能を拡充しており、がん治療の有力病院の一つであると考えております。  そこで、1点目の質問ですが、市立札幌病院では多くのがん患者を診ていると思いますけれども、入院治療を受けた患者のがん種別の患者数はどうか、お尋ねいたします。  また、平成24年度に導入いたしました高精度放射線治療システムは非常に高額な医療機器であり、稼働率が気になりますので、現在までの稼働状況をあわせてお伺いいたします。 ◎木内 経営管理部長  まず初めに、当院のがん種別患者数の動向についてお答えいたします。  平成24年のがんによる入院患者数は3,331人で、全入院患者数の約22%を占めている状況であります。種類別では、日本人に多い五大がん、肺がん、乳がん、胃がん、肝がん、大腸がんでありますが、この合計で1,320人と、がん患者の約40%を占めております。その中で最も多いがんは肺がんで330人となっております。  次に、高精度放射線治療システムの稼働状況についてであります。  このシステムは、平成25年3月に納入後、放射線治療科及び放射線部で放射線量の調整を行いまして、6月3日から治療を開始しております。6月の治療開始から9月末まで延べ3,994人に治療を行いまして、同時期の比較では前年度と比べて992人の増となっております。また、連携医療機関からの治療依頼も増加しておりまして、新規治療患者も197人と、前年度比較で29人伸びております。  なお、放射線治療に係る診療収益でありますが、6月から9月末まで約6,500万円と、前年同時期と比べますと約1,500万円の増収となっております。 ◆福田浩太郎 委員  がん患者は3,331人ということでした。がん拠点病院につきましては、これまでの要件が1,200人でございますので、大幅に達成している状況かと思います。また、高精度放射線治療システムは非常に効果的にご活用いただいていると理解いたしました。  続いて、現在、国の検討会においては、がん診療連携拠点病院の承認条件の厳格化が議論されておりまして、特に放射線治療と化学療法については、現在、原則、常勤で専任の医師を1名以上としているものを、専任を専従へ、つまり、一般診療を兼ねることができた専任の医師を放射線治療や化学療法の専従にしなさいと厳しくなるそうでございます。一方、病理診断の医師については、専従から専任へ、つまり兼務でも構わないと緩和されるようでございます。また、新たに加わる手術療法は、常勤医師が必要となってくるそうですし、放射線診断、CTやMRI画像の診断を行う医師については、常勤の専門医の配置が必要となってくるようでございます。また、新設された地域がん診療病院との連携体制の強化も必要とされております。  そこで、再質問です。  現在、市立札幌病院は、これらのがん診療連携拠点病院の強化に対応した体制がとれているのか。特に、先ほど来聞いてまいりましたが、私どもが強く導入を求めてまいりました放射線治療についてはどんな体制なのか、お伺いしたいと思います。  また、とれていない場合、どのように確保していこうとしているのか、お伺いいたします。 ◎木内 経営管理部長  がん診療連携拠点病院の承認条件の強化への対応についてお答えいたします。  当院では、今回の承認条件の強化項目はほぼ満たしておりまして、大きな影響はないものと考えております。具体的には、手術にかかわります医師は常勤医師でありますし、放射線治療には2名、放射線画像診断にも4名の医師を専従配置しております。病理診断は4名を専従とするなど、がん治療を支える体制も充実させてきております。また、放射線治療には、医師2名のほか、放射線治療担当技師6名、うち、高精度放射線治療装置による治療に必須である医学物理士を1名という体制で患者の治療に当たっているところであります。  なお、化学療法につきましては、現在、医師は専従体制となっておりませんが、当院には化学療法にも精通した日本がん治療認定医機構のがん治療認定医が4名おりますので、この中から専従配置していきたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  医師不足と言われる中で、大変しっかりと体制を整えてきていただいているというふうに評価いたしたいと思います。  次に、これまで市立札幌病院のがん診療の体制を伺ってまいりましたが、がんの三つの治療方法、手術、化学療法、放射線治療にそれぞれ最新の技術、機器が導入されてきておりまして、拠点病院としての機能を発揮してきているというふうに思います。  ただ、最後に聞きたいところは、手術に関しては、最近、民間病院を中心に、手術支援ロボット、いわゆるダヴィンチの導入が進んでおりまして、現在、札幌市内でも6病院が導入を済ませた、または導入予定と伺っております。このロボットを使った手術につきましては、現在では保険の適用範囲が前立腺手術に限定されているようです。ただ、資料を調べてみたところ、例えば直線的な鉗子が、ロボットになると指先が曲がって自由に動かすことができます。奥に潜んだ腫瘍をうまく手術できるような体制に持っていくということだと思います。また、微細な操作がしやすく、出血量も少ない、術後の後遺症の発生も少ないということで、希望する患者が多いそうです。  ことしは、札幌医大、また北大病院でも稼働してがんの手術に成果を上げていると伺っております。また、ある民間病院の広報誌では、導入後、前立腺がんの手術が2倍から3倍に増加したということでございまして、ロボット手術は順番待ちの状態で、また、医師の側もロボット手術を経験したいと言う方が多いとも聞いております。  そこで、最後にお伺いしたいのですが、非常に高度な医療機器であり、がん患者の手術希望も多い手術支援ロボットは、がん治療の拠点病院である市立札幌病院での治療、そして、医師の教育、育成に必要な機器と思いますけれども、導入の計画などはないのか、お尋ねいたします。 ◎関 副院長  手術支援ロボットの導入についてお答えいたします。  委員がご指摘になりましたダヴィンチは、これまでの内視鏡手術を支援するロボット機能を組み合わせたもので、現在、全国で100台以上、札幌市内においても既に5病院に導入されていて、今後も導入病院の増加が見込まれているところです。  現在、保険適用になっているのは前立腺がんの根治手術である摘出手術のみですが、先進医療として心臓血管手術も承認されております。委員がご指摘のように、患者へのメリットとしては出血量が少なく、傷が小さくて済む、手術時間が短くて済む、機能の温存が可能であり、向上する、また、入院期間が短縮するということで、患者の身体的な負担が少なくて非常に注目されています。  当院は、がん治療の拠点病院として、もちろん手術、放射線治療、化学療法とさまざまな選択肢を患者に提供することが必要だと考えておりまして、今後もがん治療の選択肢の充実が必要と考えています。そこで、ご指摘のとおり、患者の身体的負担の軽減及び先進医療に対する医師の育成などさまざまな効果を勘案しながら、現在、ロボット手術という選択肢を加えるべく最新機器の導入を前向きに検討しているところです。 ◆福田浩太郎 委員  前向きに検討していただいているということでございます。  最後に、要望ですが、がん診療連携拠点病院として、また、市立札幌病院は市民の期待に応えることができるようながん対策の先進病院として、その役割が果たされるように体制の整備を引き続き求めていきますし、とりわけ、最後に質問した手術の新しい可能性を開く手術支援ロボットについては強く導入を求めまして、質問を終わります。 ◆木村彰男 委員  私は、大別して、2点お伺いいたします。  1点は、ステージアッププランの進捗についてであります。もう1点は、地域の紹介活動及び入院患者をふやす活動についてお尋ねさせていただきたいと思います。  なぜ、市立札幌病院がステージアッププランを行わなければならないか。これは、やはり、病院の会計といいますか、企業会計が大変苦しい、そして借金を負っているからで、そういうものを返しながら病院を持続的に維持し、これを札幌の拠点病院として継続していくために、今、何が求められているか、病院の方々が一丸となって考え、また、外部の方々にご相談の上でおまとめになったのが市立札幌病院ステージアッププランであると私はお伺いしております。  そこで、平成24年度から26年度の中期経営計画の中で、その数値目標はほとんど達成していると私も伺っております。しかし、この中で、9割程度のものについては三角の印がついておりまして、その中で私が注目したのは新規入院患者数であります。これは、平成24年度の目標値1万4,500人に対しまして、実績が1万4,256人と、わずか244人ではございますけれども、目標に到達していない結果でございます。紹介率は上昇しておりますけれども、新規の入院となると患者は若干下回っているということでございます。  患者にとっては、病院に紹介していただき、重篤な患者だと思っていたものが、検査を見て、入院しなくてもいいということで退院されたりしてそのまま帰られるわけですから、よかったのかなと思いますが、この数値が下がることがなぜ病院の経営に影響を与えることになるのか、まず、お聞かせください。 ◎木内 経営管理部長  入院患者数の数値が下がることについてです。  私どもは、先ほどもお話がありましたDPCの中で、なるべく短期で患者を重篤の状態から回復させ、他の適正な病院に移っていただく方針で進めております。その中で、紹介率は上がっておりますけれども、平成24年度では新規の入院患者が減っております。委員が言われるとおり、入院患者が減っているというのは入院しなくていい患者が多かったということで、確かに患者にとってはよかったことだと思います。もちろん、私どもは、入院の必要のない患者を入院させるようにして運営しているわけではございません。ただ、病院経営を考えますと、病院としては入院患者をふやす努力は必要だと考えております。  この努力といたしまして、これまでもそうですが、地域の医療機関との連携強化、そして、救急医療搬送を多く受け入れるという部分でこれまでも努力しておりますし、今後ともこれを強化していきたいと考えております。残念ながら平成24年度はステージアッププランの目標は達成できませんでしたが、今年度に入りまして、継続の努力の成果が少しあらわれたのかと思いますけれども、8月までで紹介患者数は昨年より190人ふえておりまして、入院患者も180人ふえてきております。  私どもは、決して入院の必要がない患者を入院させるのではなく、必要な患者が適正に当院に入院していただく方針で進めております。 ◆木村彰男 委員  今、聞こうと思っていたのですが、平成25年度は昨年より100人多い目標数でやっていると伺っております。今のお話を聞く限り、ことしは何とか目標をクリアしていけそうな感じなのかなと思います。つまり、これは市立札幌病院の経営を純然たるものにしていく指数として見ているわけで、私も入院患者へ余計な医療をやってくださいと申し上げているつもりではございません。  もう一つ、地域において、市立札幌病院が信用を得るといいますか、紹介を得て入院しようと思われるためには、そこにおける医療の質と申しますか、ドクターの技量は当然でございますが、先ほどから出ておりますような看護スタッフの充実、補充、医療機器も新規なものを入れて地域の方々からの信頼を得ると。それは、どこの病院もやっていかなければならないし、市立札幌病院に限られたわけではありません。そのために、私がいろいろお聞きしておりますと、改善計画の数値の中には出てまいりませんが、例えば地域の方々のところをご訪問する、もしくは広報活動をする、連携のために副院長を先頭に地域のいろいろな病院を回られる、そのようなご努力も伺っております。  そこで、私はどなたが行っていらっしゃるのかわかりませんので、そのような活動を通じて、地域との医療連携、もしくはお声について、どのように集約されているか、お聞かせください。 ◎関 副院長  私が地域を回っておりますが、今、委員からご質問がありましたように、私どもの病院と連携を結んでいただいている先生たちのところに連携センターの職員と一緒に伺いまして、実際に私たちの病院に対してどのような要望があるのか、そして、その要望を達成するためには私たちがどのような努力をすればいいのか、そういうことについて地域に密着している担当の先生から伺い、部局に持ち帰りまして、それを実現させるべくいろいろなところでディスカッションしているところでございます。 ◆木村彰男 委員  地道に地域のお声を聞いて回るというのは、政治家と同じだなと思って聞いておりました。それが、地域の医療の質を高め、皆様方のモチベーションを高め、市立札幌病院をこの地域における立派な病院にしていくと私は考えておりまして、大変貴重な活動であると思っている次第であります。  そこで、最後に、当然、病院を維持していくためには、ドクターや看護師は持続的もしくは集中的に募集をかけていかなければならないと伺っております。現在、ご担当にお聞きしている限りでは、先ほど何回か出ておりますが、例えば、募集回数をふやすとか、保育園を医療機関の中につくって働いていらっしゃる看護師や女性ドクターの育児に配慮した環境をつくるなどして長くお勤めいただくことが一番大事だと思いますけれども、その件について最後にお聞かせください。 ◎木内 経営管理部長  今のご質問にお答えします。  医師、そして看護師が非常に不足しており、なかなか採用が難しい状況があります。看護師につきましては、ことし3回の採用試験を実施することとあわせまして、委員のご指摘のとおり、当院は本院の横に保育園を設置して女性医師、女性看護師に対応しているところであります。  こういう活動は、ご指摘のとおり、継続性が大事だと思います。特に医師につきましては、募集経路は非常に難しいものがございます。私どもは、関係大学との連携、あるいは、当院医師の人脈の活用、また、継続的に当院のホームページを活用して募集しておりまして、過去にホームページによって医師が当院に採用されたという実例もございます。こういった例もございますので、一挙に解決というのはなかなかできない問題ですが、継続的に採用に向けた努力をしていきたいと考えております。 ◆木村彰男 委員  会派の勉強会でも、平成27年度以降、病棟や厨房の大規模な改修も射程に置いた上で病院事業を進めていくと伺っております。そのためには、まず、直近のステージアッププランを完遂する、目標値以上にやり遂げる、そして、今抱えている企業債の発行額を抑えて、返すものは返して純然たる病院経営をなしていって、初めて病棟の改修もできると思います。やはり、環境が整わなければ、なかなかいい病院になっていかないと私も思います。それは、人的なもの、そして設備的なものでもそうだと思います。その意味では、私も、足を引っ張るのではなく、病院の経営について応援していく立場であることに全く間違いございませんので、先ほど私のほうで指摘した内容について、ぜひ改善を進めていただくことを要望して、私の質問といたします。 ○細川正人 委員長  以上で、病院事業会計決算の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時24分       再 開 午後2時27分     ―――――――――――――― ○細川正人 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費について質疑を行います。 ◆伊藤牧子 委員  私からは、障がい者協働事業についてお伺いいたします。  障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法がことしの6月に成立し、施行は2016年4月からですが、共生社会の実現を目指す札幌市においては、障がいのある方の権利が守られ、地域の中で安心して働き、暮らせる環境づくりをさらに進めることが重要と考えます。就労の場においては、市の単独事業として、2006年度より、障がいのある人も、ない人も、ともに働く場を提供する障がい者協働事業に取り組んでおり、滋賀県の社会的事業所制度と並んで先進的な取り組みとして評価しているところです。この事業は、障がいのある方が5名以上かつ半数以上働く事業所への補助を行う事業であり、障がいのない従業員のサポートを受けながら対等な立場で働くという雇用形態です。昨年度は、障がい者協働事業を活用した元気カフェが中央図書館にオープンし、私も何度か訪れましたが、皆さんは生き生きと働いており、一般的な就労の場として大変大事な取り組みであり、さらに広げていくべきと思っています。  そこで、質問ですが、障がい者協働事業について、昨年度及び今年度の選定実績はどのようなものであるか、伺います。  また、障がい者協働事業による事業の実施主体や障がい者の雇用状況についてもお伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がい者協働事業の昨年度及び今年度の選定実績でございます。  まず、昨年度につきましては、中央図書館に設置いたしました元気カフェの運営事業者を選定いたしまして、本年2月1日から事業を開始しております。このことにより、1事業所がふえまして年度末には12事業所となってございます。また、今年度につきましては、本年10月から事業を開始するということで3事業者を選定したところでございまして、この3事業者が事業を開始いたしますと合計15事業所となります。  次に、事業の実施主体及び障がい者の雇用状況についてです。  この事業につきましては、法人が行う継続的な事業としておりまして、事業の実施主体につきましては特段の制約は設けておりません。10月以降の15事業所の状況等につきましてご説明させていただきますと、株式会社による運営が9事業所、社団法人による運営が2事業所、特定非営利活動法人による運営が4事業所となってございます。  また、障がい者の雇用状況につきましては、各事業所での事業実施に当たりましては、ハローワークを通じた採用を原則としておりまして、一般就労に必要な知識や能力を有する障がいのある方の新規雇用がさらに拡大されるように努めているところでございます。また、10月以降の状況といたしましては、15事業所で88名の障がい者を雇用することとしておりまして、身体障がいのある方が12名、知的障がいのある方が39名、精神障がいのある方が37名となっております。 ◆伊藤牧子 委員  現在、事業所が15カ所で、実施主体も株式会社、社団法人、NPO法人ということで、雇用されている障がいのある方は、身体障がいの方が12人、知的障がいの方が39人、精神障がいの方が37人ということで、88人の方が雇用されているということです。  障がい者の方の一般就労が依然として厳しい中で、知的や精神障がいのある方が大部分を占めているこの事業は大変有効な取り組みではないかと思っています。しかし、第3次札幌新まちづくり計画では2014年度までに20カ所まで増設するということで、残り5事業所を設置することは大変ではないかと思っております。  この事業については、事業所の方から、経営、運営状況が厳しい中、最初の立ち上げ時から障がいのある方を5名以上かつ従業員の半数以上の割合を占める形で雇用することは難しいという意見も聞いており、事業所をふやすためには、例えば立ち上げ時の人数の要件を緩和する等、事業所が参入しやすい方法がとれないものかと考えます。  そこで、質問ですが、障がい者協働事業を行う事業所をふやすためには、今後、事業のあり方をどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  この事業に対する評価といたしまして、一定の収益を確保しつつ、障がいのある方も、ない方も、ともに働く事業所を支援する事業は、全国的にも数が少なく、また、大変有意義な事業であるというご意見をいただいております。  昨年度につきましては、先ほど申し上げました中央図書館に元気カフェをオープンいたしましたが、そのほかでも事業者募集を3回行いました。その中で4事業の応募がございましたが、残念ながら、提出いただいたいずれの計画も安定的に収益を上げる可能性が見込めないと判断いたしまして事業者の選定に至らなかったところでございます。今年度につきましては、3事業を選定いたしまして事業数の追加をしたところでございます。  これまでの動向を見ますと、まず、障害者総合支援法に基づきましてさまざまな福祉サービスが提供されておりますけれども、この中での就労事業として、就労継続支援A型事業、いわゆる雇用型の事業になりますが、このほうが運営しやすいということで協働事業からA型事業へ転換する事業所もございます。また、選定された事業内容を分析いたしますと、事業の立ち上げにおきましては、障がい者への支援体制はもちろんでございますが、安定的に収益を上げることができるような業務量の確保がまず必要であると認識しております。一方で、委員のご指摘のとおり、障がいのある方を5名以上かつ半数以上雇用するという現在の事業の枠組みにつきましては大変厳しく、人数や割合の緩和が必要ではないかというご意見もいただいてございます。  事業のあり方につきましては、今後とも関係者のご意見を伺いながら研究してまいりたいと考えております。 ◆伊藤牧子 委員  今のご答弁で、大変厳しい状況だということはわかりましたし、障がいのある方を継続的に雇用するには経営的に考えていかなければならないことも理解いたしております。しかし、この事業は、障がいのある方の一般就労の場を広げることに大変重要なものであることも認識されていると思いますので、20カ所を目指すと同時に、緩和条件などもいろいろ考え合わせながらぜひ検討していただければと思います。  最後に、将来的な展望について質問したいと思います。
     先日の厚生委員会で、生活困窮者自立促進支援モデル事業について質疑を行ったところです。この事業では、労働環境の悪化、貧困、格差が広がる中、経済的困窮だけではなく、孤立、家族、健康など複合的な課題を抱えた生活困窮者に対し、社会参加、一般就労に向けて就労訓練事業を行う中間的就労事業の育成が挙げられています。中間的就労は、一般就労と福祉的就労の中間に位置する就労形態であり、社会的事業所として、主にNPO法人や協同組合などにおいて障がいのある方、引きこもりの若者、長期失業者など社会的に不利な立場にいる人たちが自立を目指して働いています。  私は、この障がい者協働事業は、障がいのある人も、ない人も、ともに働く一般就労の場ですが、中間的就労に近い側面もあり、また、障がいのある方に限らず、支援が必要な方を幅広く支援するという社会的事業所に近い側面もあり、障がい者協働事業所が社会的に不利な立場にいる人の働く場の一つになるのではないかと考えます。手法として、これまで障がいのある方が働いていた枠に社会的に不利な立場にいる方が入るとか、あるいは、障がいのある方をサポートする側に回ることも考えられます。  そこで、質問ですけれども、札幌市は、共生社会の実現に向け、市独自の先進的な取り組みである障がい者協働事業において、障がい者だけではなく、社会的に不利な立場にいる方にも雇用の場を広げることを検討すべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がい者協働事業における社会的に不利な立場にある方々の雇用についてというご質問でございます。  まず、生活困窮者自立促進支援モデルにおけます中間就労におきましては、社会的な自立に向けた就労訓練であると捉えております。また、障がい者協働事業につきましては、先ほど答弁させていただきましたが、障がいのある方も、ない方も、ともに対等な立場で働く新しい職場形態を目指すというもので、いわゆる一般就労でございます。双方には共通点もございますが、必ずしも同一趣旨ではなく、おのずと相違があると考えております。ただ、ご提案の手法もあるというふうに思っております。  一方では、北海道の調査結果でございますが、道内の特別支援学校の高等部の卒業生につきましては、75%が福祉就労でございまして、一般就労は20%にとどまっている状況にございます。また、札幌市内における福祉的就労から一般就労に移行した方の数につきましては、年々増加しておりますけれども、全体としてはまだ6%程度にとどまっている状況でございます。  このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては、一人でも多くの障がいのある方が一般就労につながるよう、まずは、この事業の拡充と安定的な運用に努めてまいりたいと考えております。 ◆伊藤牧子 委員  私も、障がい者協働事業が大変大切だというのは認識しております。今のお話では、現段階としては、障がい者協働事業において、社会的に不利な立場の方の雇用は難しいということも理解しました。しかし、この事業は、札幌市が独自に要綱を決めている事業ですので、ぜひ柔軟な発想を持って、保健福祉局だけではなく、全庁を挙げて検討していただきたいと思います。  最後に、要望です。  イタリアなどのヨーロッパでは、障がいのある人も、ない人も、ともに働く社会的協同組合が制度化されており、障がいの概念が日本よりはるかに広く、職につけない若者層から高齢者まで、また、薬物などの依存症、移民など、社会的に排除されている人を対象に社会的事業所が広がっています。韓国では、2007年、社会的企業育成法が成立し、障がいのある人を含む脆弱階層を包摂しながら、かつ、賃金に差をつけない働く場が急速に広がっていると聞いています。このように、世界各地で社会的に排除された人の働く場として、福祉労働とは一線を画する社会的事業所が実践されています。  日本においては、ともに働く社会を目指して、社会的事業所促進法の法制化を求められていますが、依然として、障がい者、引きこもり、ニート、シングルマザーなど、社会的に不利な立場の人の就労は困難な状況に置かれたまま、さらに、ワーキングプアといった貧困層、仕事につけない層が固定化されています。また、今や、普通に暮らしている人々さえ、失業、病気など、何かのきっかけで生活が立ち行かなくなるかもしれないリスクを背負っています。札幌市が進める共生社会の実現には、地域の中で誰もが孤立せず、排除されない、いわゆる社会的包摂の理念が根底になければならないと思います。障がい者協働事業が今後ふえ続ける社会的に不利な立場にいる人たちの就労の場となるように、社会的事業所を支援する取り組みをぜひ発展させていただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆松浦忠 委員  2点質問いたします。  一つ目は、児童心療センターにかかわる問題です。二つ目は、社会福祉法人恵友会にかかわる問題であります。  最初に、児童心療センターの関係です。  札幌市は、児童心療センターの診療に当たる医師を養成するために寄附講座を持つことを決めました。そこで、寄附講座は、全国の自治体で何カ所ぐらい、どういう内容の講座を持たれているのか、その点を掌握されていれば、まず説明いただきたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  他都市における寄附講座の設置状況についてでございますけれども、さまざまな診療科の寄附講座が設けられていると承知しておりますが、その中で、特に児童精神科医療に関する講座に絞りまして回答させていただきます。  私の把握している限りでは、二つの大学で自治体からの寄附による児童精神科医療に関する寄附講座が開設されていると承知しております。その一つは、静岡県からの寄附により浜松医科大学に設置されているものでございまして、寄附金額及び寄附期間につきましては、平成22年度から平成25年度までの4年間、年額3,000万円となっております。もう一つは、神奈川県相模原市の寄附によりまして私立北里大学に設置されており、寄附金額及び寄附期間につきましては、平成24年度から平成26年度までの3年間、年額2,500万円となっております。 ◆松浦忠 委員  さて、これはまさに札幌市の政治的な政策的判断ですから、市長に尋ねたいのですが、一般的に、寄附講座や、あるいは、企業が自分の本業以外にお金を出して国民大衆に別な形で還元する、バブル期にメセナという言葉が使われ、文化支援事業をすることが行われてきましたけれども、今は景気の状況によってそれがかなり少なくなってきております。  寄附というのは、とりわけ大学における寄附講座というのは、実態からいって、大学が独立行政法人になってからとみにふえたように私は理解しております。札幌市は、今回、そういう医師を養成するために5年間にわたって3,000万円、1億5,000万円の寄附講座を設けるということでございますが、何かを期待して講座に寄附するのですか。それとも、期待しないで純然と寄附するのですか。 ◎上田 市長  当然、寄附講座の使途については、特定の児童精神科医師を養成するための講座を開いていただきたいということでの寄附講座でございますので、そこで学んだ医師が、札幌市において、あるいは北海道において働いていただけることを期待しているところでございます。 ◆松浦忠 委員  窪田監査委員がおいでですからお尋ねしたいのですが、市民が個人として札幌市なり企業に寄附をしたいといったときに、税の控除を受けられますね。この場合に、これをつくってくださいというひもつきにした場合、控除は受けられますか。 ◎窪田 監査委員  突然のお尋ねで、私は、税法は余り得意な分野ではございませんが、反対給付的なものという認定を受けますと、純然たる寄附ではないので、多分、控除は受けられないのではないかと思われますが、ちょっと確信は持てません。 ◆松浦忠 委員  実は、先生はよくお勉強されており、そのとおりで税の控除は受けられないのです。寄附というものは、見返りを求めたのでは税の控除は受けられません。それは、国にしても札幌市にしても、どこでもそうです。あくまでも、寄附というのは見返りなしが寄附であります。例えば、お祭りの寄附だって、お祭りを見に行かないけれども、おつき合いで寄附だけは出そうかということがあります。いわゆる見返りのないものが寄附であります。  したがって、札幌市が見返りを期待して、この講座をと講座指定をして、その指定する陰にあるのは何かといったら、根拠は何かといったら、その職種が足りないから、札幌が困っているからと。これでは、私は、寄附講座と言って税金を支出する意味合いがあるのかどうかと思うのです。  この点について、札幌市は、この問題に対して検討委員会、小委員会をつくり、その結論に基づいてということですので、そこで、市長ではなく、事務方にお尋ねしたいのですが、検討委員会の中で、いろいろな職種の人が出てくると思いますけれども、どの職種の人が寄附講座を提言しましたか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童精神科医療検討部会につきましては、合計13名の委員によって本年3月から9月30日まで6回にわたってご審議をいただきましたが、この議論の中では、医師職からのご提案という形で審議がスタートいたしまして、最終的には、医師以外の心理職、または関係団体、教育関係者を含めて委員総意のもとに寄附講座が提言されたと理解しております。 ◆松浦忠 委員  その医師職ですけれども、医師免許というのは人間の体は全部診られるようになっていますが、昨今はかなり専門分野化されています。脳の分野とか、関節でも首関節や肩とか肘とか膝とかとかなり専門分野化されております。  その提言された委員はどの分野の先生ですか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  議論の中で寄附講座を提言された委員は、精神科医でございまして、特に児童精神科を標榜して治療に当たっている医師でございます。 ◆松浦忠 委員  今まで、そういう患者を抱えた父兄から札幌市に対してさまざまな要請がずっとありました。それは、私が議員として出てからもずっと承知しております。その中で、医師の養成などについて、親から、札幌市に対して、少ないから市として国や大学に医師養成を要請してほしいという要望などはありましたか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  発達障がい者に係る支援体制を整備するために、発達障がい者の関係者の連絡会議を設けてございまして、この中で、早期発見・早期支援、そして、教育の問題、就労の問題、社会参加など幅広くご議論をいただいております。この中では、早期発見・早期支援という立場から、精神科、特に幼少期における精神科の医療機関を受診したいけれども、市内にはあることはあるが、かなり混んでおり、受診待機が数カ月になっているという状況がございまして、そういった中で医師をふやしてほしいという要望を受けております。  ただ、医師を養成するため、直接的にそれを行う、または、国に対して要望するという具体的な手法までの提言は札幌市に対してございませんが、我々は量的な整備をしてほしいと受け取っております。 ◆松浦忠 委員  過疎地に対する医師不足を解消するために自治医科大学がつくられました。この自治医大を卒業して医師免許を取ったお医者さんは、一定年限は過疎地で勤務する約束のもとに入っております。しかし、これもまた、憲法上の職業選択の自由から、かかった経費を一括返還すればその義務が免除されることにその後なってきております。  今まで自治医大などにそういうような診療科目の先生の養成に努めてほしいということを申し入れたり、あるいは、要請したことはありましたか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  今回の目的である児童精神科医療に関する医師について、私ども保健福祉局として自治医大に対して要請を行った経緯はないと承知しております。 ◆松浦忠 委員  私は、札幌市の財政の中から3,000万円のお金を出すことは何が何でも難しいという観点で話しているのではないのです。憲法の職業選択の自由から、かつては、医療で言えば、大きな病院には准看護師、当時は看護婦と言いましたが、准看護婦の養成所が附属にあり、そこで養成をしたら、私は国鉄にいましたから、鉄道病院があって、最低何年間は国鉄の鉄道病院に勤務する、それは全国のどこの病院でもいいですと、要は、日本国有鉄道が経営する病院に勤務するという義務づけがされていたのです。しかし、その後、裁判で争われて、条件をつけたほうが負けて自由になったのですね。  そういうことに鑑みると、今回の寄附講座は、金を出すのもさることながら、逆に言えば、大学の医学部、札幌には北大と札幌医大の二つがありますが、医学部の関係の方々ともっと話をして、医学部の生徒が入ってきたら、そういう診療科をいかに選択してもらえるか、あるいは、なぜ選択してもらえないのかというところをきちんと話してその問題を解決していかなければ、1億5,000万円を出したからといってこれは解決しないと思うのです。そういう大事なところをちゃんとしないとだめだと思うのです。  私は、なぜこういうことを申し上げるかといったら、この仕事に出る前に鉄道病院の職場にいて組合の役員もやっていて、鉄道病院もその範囲の中にありましたから、いろいろと話して病院の実態も承知しております。それから、わずか短期間で途中退任をされたけれども、渡部前副市長ともいろいろな話をしました。そして、渡部前副市長には個別に相談に乗っていただいて本当にお力をかりました。私は、感謝しております。  ここで言っていいかどうか、お医者さんの尊厳にかかわることもありますからここでは言いませんけれども、精神科医の置かれているお医者さんの世界における根本的な問題があります。やっぱりこういうことが解決されない限りは、そこに向かってくることは極めて少ないと私は思っております。  そこで、3,000万円のお金を出す前に、市はそういうことをどのように検証して、3,000万円の講座を持てば、そこに来た人たちが札幌市に勤務してくれるのか、札幌市域内あるいは北海道に――特に北海道と言ったって、市域は札幌ですから、政令市の札幌市の権限からいったら札幌以外のことは道庁がやればいいのです。そういうことからいって、保健福祉局長の加藤さんはどんなふうにその問題を捉えておられますか。その認識度合いを聞かせてください。 ◎加藤 保健福祉局長  今、寄附講座の件についてご質問がございました。  松浦委員がおっしゃっていたとおり、大学における児童精神科医を養成するというか、教える先生が、今、札幌市内というか、北海道大学、札幌医大においておりません。私自身も、昨年、北大の精神科の教授のところにお伺いし、医者の派遣等についてお願いしたときに、教授から言われたのは、専門の先生がいないのだということなのです。ですから、今回、寄附講座が設けられる一番の理由は、そういうお医者さんを育てる、そのためには、教授、准教授等を呼んできて、学生を連れてきて児童精神科を学ばせる、そういうことがこの趣旨なのですというお話をお伺いしております。  そういった意味では、本来、全道を対象に行うべきことであれば道が行うべきでございますけれども、190万人都市の札幌におきましては、児童精神科の対象となる多くの児童がおり、また、診察を待っている子どもたちもたくさんいる中で、子どもの診察に対する需要は非常に高いわけでございます。そういった中で、児童精神科のお医者さんを今から育てていくことで、来年4月からすぐに病院に来てくれるということではなく、たくさんのお医者さんの卵を今のうちから育てていきたい、こういう趣旨で寄附講座を設けたいという今回の緊急提言であったというふうに私どもは理解しております。 ◆松浦忠 委員  だとすれば、私は、2000年から2001年にかけて、全国的に大学病院が過疎の村に医師を派遣するということで多額の研究費という寄附を受けていましたが、これが日本国内で一大問題になりました。実は、私は、このとき、北海道大学の医学部長と相談して、北海道大学に1,000人の医師がおりますが、あらゆる専門分野の医師の免許を持った人の全員にアンケートを行いました。かなりの数の回答がありまして、それを冊子にして、文部科学省、厚生労働省など、医療に関する全国の公立病院などに配付いたしましたが、これは、なぜそういうことをしなかったら医師養成機関がやっていけないかということを問いかけたのです。  今のようなことがあるのなら、これは、むしろ文科省や厚労省など医師養成にかかわっているところにきちんと話をして、そして、国の施策としてそれをやってもらわないといけないと思うのです。私は、その前から、お年寄りのための総合診療科を市立病院などにつくるべきだと提言して取り組んでおりました。しかし、残念ながら、北海道大学では総合診療科を教える教授がおりませんでした。そこで、北大にもいろいろ働きかけて、秋田大学から教授を招聘して総合診療講座を持ち、診療もやったのです。ところが、数年で帰ってしまいました。何かといったら、北海道大学のお医者さんの仲間に受け入れてもらえなかったのが実態だったということもありました。  ですから、私は、講座を持つのもいいけれども、その前に、こういう役割は少なくとも国がしなければならないことなのです。札幌市が3,000万円を出すのが惜しい、惜しくないと言っているのではないのです、私は。国と都道府県と市町村にはそれぞれ役割があるのです。その役割に基づいて税が配分されているのです。ここのところをしっかりと認識してやらないと。逆に言えば、国にしてみれば、自分の分野に札幌市長が手を出してくるな、俺の仕事が少なくなって、権限も狭まってくるかもしれない、余計なことをしないでくれと。真面目な人はそう考えるのではないですか。  したがって、私は、この点については、1回決めたことですからやめろとは言わないけれども、寄附講座もさることながら、きちんと国に働きかけて、こういう分野の養成を国が各大学に要請して力を入れてやる、そのための予算措置も講じると、こういうことをしなかったらこういう問題は解決しないのです。私はそう思うのですよ。  市長は、私のこの指摘に対してどういうふうに受けとめますか。 ◎上田 市長  おっしゃっていることは全くそのとおりだと思います。本来は、大学の責務でもあると思います。地域における患者が今どういう医療を必要としているのか、その必要に応じた医師を養成していくことは大学の役割だと思います。しかし、さまざまな制約の中で、今回、我々も児童精神科医は絶対量が少ないという厳しい事実を知らされて、本当に緊急の対策を自治体がとらざるを得ない状況の中で、部会の皆さん方のご意見も相まってこういう選択をせざるを得なかったのだと思います。  したがいまして、これで札幌の医療体制が万全になるとはなかなか思いがたいところでございます。当然のことながら、これから、国や大学に対しても、児童精神科という領域の医療を欲する、必要とする患者が本当にたくさんいることをしっかりお伝えしながら、国の政策としてそのような医師を養成する政策を立てていただきたいということは繰り返し申し上げていかなければならないことだと考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  精神科医の先生が寄附講座を提言したというのは、結局、この先生方は、先ほどの答弁でも明らかになったように、大学の中に自分たちの系列の教授がいないのですよ。それは、大学に対して、医学部としてどういうことを要請していくか、そういうふうに医学部経営に対して全く発言の場がないという悲しい実態があるということですから、やっぱり、それを受けとめて、その時点で、国ときちんとどうするのかと、札幌市はこういうことに協力するけれども、国はこれをやってくれるかときちんと話をして、国側の政策的な担保を取りつけた上で札幌市も協力すると、そういうことでこの講座が持たれていったのであれば私は大いに評価します。しかし、国側が本来やるべきものを全くしないで、そして、そういうふうに本当につらい、先生の何とかしてよという話だけに飛びついてやった今回の寄附講座は、そういう点では評価できません。  それにつけても、こういう実態をわかってできるといったら、やっぱり精神科医であった渡部前副市長なのです。この人を市長は解任しましたが、こういう問題の解決に当たって、事務方の素人が行って大学の医学部の部長などと話をするのと、医師職の人が行って話をするのとでは、受けとめ方が違うわけです。そういう点では、問題解決のための重要人物を市長は中途解任したなと。その選択を迫った政党、会派もあるようですけれども、私は極めて残念だなと思います。  このことは、市長、全国の政令市の市長会よりも、過疎地を抱えた全国市長会で国に対する重要施策の予算配分の中にきちんと盛り込んでやれるように、ぜひ、市長会の中で要求をまとめていただいて国に申し入れをしてほしいのですが、いかがでしょうか。 ◎上田 市長  いろいろな方法があると思いますけれども、その方法も前向きに検討させていただきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  市長、これは前向きとか後ろ向きという抽象的な話ではないのです。市長は、1億5,000万円の金を市長の任期を超えて――あなたの任期は平成27年5月1日までですから、その任期を超えて金を出す約束をしてまったわけですよ。したがって、これはもう検討ではないですよ。金を出すほうは任期を超えて約束をしておいて、当面の平成26年の予算編成の中でしなければならないことは前向きになんて、そういうことではなく、市長がそういうことを全国市長会に働きかけてやってくれるかどうかを尋ねているのですから、そのことについて明確に答えてください。 ◎上田 市長  全国市長会で結論がどういうふうになるか、ただ、私はもちろん取り組みます。そういう意味です。 ◆松浦忠 委員  今の件については、これで終わります。  次に、恵友会についてお尋ねいたします。  恵友会については、私は新聞報道、あるいは、職員から匿名の内部告発が随時来ますから、それらが事実かどうかはわかりませんが、知っております。  そこで、お尋ねしたいのですが、木本理事長が退任されたと監査指導室長からも書面の写しをもらって、そこは理解しております。  まず、1点目は、恵友会の法人の中を調査するということでプロジェクトチームができました。その責任者である座長には札幌市教育委員会の元次長でありました霜觸さんがなりまして、3名で構成されています。そして、オブザーバーとして、法律的なこともあるでしょうから理事をやっておられた小寺弁護士が入り、さらに、本人がぜひとも入れてくれということで工藤さんという建設会社の社長も入りました。  そのチームのメンバーですが、今、やめた前理事長が、評議員会で、突然として理事の変更を提案しました。そこで、現在の理事の中に、そのプロジェクトチームに入っていた3人、それから、オブザーバーとして助言を求めた小寺弁護士と、みずから入りたいと申し出た工藤さんの5人の方は、今の理事会の中におられるかどうか、明らかにしてください。 ◎安立 監査指導室長  ただいまの件につきましては、1名のみが再任されております。 ◆松浦忠 委員  私が調べているところでは、小寺弁護士、霜觸さんは、みんな、理事長によって解任されたということで、評議員会で新しいメンバーが決まったのですが、その後、北海道が監査に入るとなって、その前後に理事長が辞任しています。  その後任の現在の理事長も含めて、その後、理事長がかわって、札幌市あるいは北海道から指摘されていた具体の事項の改善は終わっていますか。 ◎安立 監査指導室長  ただいまの件につきましては、今週の月曜日にその状況について道に確認してまいりましたが、監査途中でございまして、結論はまだ出ていないという回答を得ております。 ◆松浦忠 委員  私のところに来ている匿名の内部告発文書によりますと、木本前理事長が在任中に道が監査に入ったとき、監査に来た方は、理事長室でコーヒーを飲んで、ケーキを出されて、にこやかに談笑して、何十分かいて、それで帰ったということも聞いているのです。これが事実かどうか、私はわかりませんよ。しかし、私のところに来た一連の文書、その後の監査報告とか月刊誌などが書いている内容などと照合していくと、そう違っていないなという気がするわけです。  率直に言うと、道の監査は、法人の理事長なり役員との関係が深くて十分な監査ができていないのではないかと思うのです。今度の小島さんについても雑誌ではいろいろ書かれています。雑誌の域で、私も確認していませんから、ここでは発言しません。  予算特別委員会のときに、小寺弁護士は札幌市の改革検討メンバーの中の委員長代理をされている云々という話で、理事をやっていながら、事務所で、実態調査の委託を150万円で小寺さんのところが受けた、こういう発言をしたら、それを見た人から、じゃ、小寺弁護士は、自分で理事をしながら自分で調査にかかわったのか、そんなのは理事として当然やるべきことではないか、どうなのだという話が来て、正確には、小寺さん個人はかかわっていないけれども、弁護士の法人である小寺事務所の別の弁護士が委託を受けてかかわったというようなことだと説明したのです。しかし、その方は、そう言っても、社長が理事で入っており、会社が受けたら同じことではないのかというような意見もありました。したがって、話をするときにはわかりやすく話をしなければだめだなと私も思ったのです。  そこで、今度の新しい理事長について、札幌市は、福祉関係に非常に理解が深く、適任の方だと思っておられるかどうか、監査指導室長にお伺いしたいと思います。 ◎安立 監査指導室長  適任であるかどうかについてでございますが、道から小島理事長の経歴書などをいただいておりませんし、その人となりについてもまだ判明しておりませんので、その辺については何ともお答えすることができません。  ただ、経歴をインターネットで調べた限りでは、株式会社アーバンヤマイチという会社の代表取締役であったということは確認しております。 ◆松浦忠 委員  もう一つ、監査指導室長にお尋ねしたいのですけれども、今、全国的に、介護老人施設や社会福祉法人のたくさんの施設を需要に応じてつくっております。ところが、経営基盤が非常に危ういのです。新しくつくれば金を借りなければいけなくて、その返済のために経営が相当苦しくなっているというようなことが言われております。私も幾つかのところに聞いてみたら、なかなか大変のようであります。  そこで、恵友会は、大まかに分けて人件費と物件費、借入金に対する返済金額などについて、当然、分析されていると思うのですが、経営的に大丈夫ですか。 ◎安立 監査指導室長  札幌恵友会の決算資料などにつきましては、平成20年度のものでございますが、これをホームページで確認しております。大まかに、人件費の割合については52.1%ほどでございます。債務の返済額は、大体3億2,000万円弱で、この中で、設備資金借り入れ元金償還額が2億1,000万円ほど、その他の返済額が1億5,000万円ほどでございます。収入合計額としては33億1,600万円ほどで、人件費総額で言えば17億2,600万円という状況になっております。  そこで、立ち行く、立ち行かないは別といたしまして、苦しい経営だなという印象は持っております。 ◆松浦忠 委員  そこで、室長、人件費の比率ですが、同じような法人での平均とこの法人の52%を比較するのに、平均は幾らですか。 ◎安立 監査指導室長  詳しくはしておりませんけれども、大体の平均は58%程度だと聞いております。それから見ると、若干低目かなという感想を持っております。 ◆松浦忠 委員  一般的に、株式会社で会社を経営していれば、人件費が低いほど利益が上がっていくと言われております。加藤保健福祉局長は経験豊富な方ですが、こういう老人介護施設について、平均は58%、恵友会は52%ということを聞いて何を感じますか。 ◎加藤 保健福祉局長  人件費の問題は古くから言われておりまして、職員構成がどうなっているのか、法人の歴史がどういうふうになっているのか、規模がどうなっているのかでそれぞれ違いまして一概に言うことはできませんけれども、社会福祉施設におきましては、おおむね人が主体となって働く仕事でございますから、相対的に人件費が高くなっていることは我々として認識しているところでございます。 ◆松浦忠 委員  人が人を介護するのですから、人手が要るのです。そういうことからいったら、人件費が低いということは経営の仕方としては極めてまずいと思うのです。私も、いろいろな介護施設を調べて、働いている人から話も聞きましたが、皆さんは一様に賃金が安いと言うのです。それでは、それぞれのところで札幌市から委託を受けているお金がどうなのかといったら、管理経費を除いて賃金として支払われているかというと、実態はそうではないのです。それはなぜなのかと法人別に調べてみると、やっぱり新規投資で施設をどんどんつくっていってその償還にと、中には、一族の経営者が高給をとっていたり、一族みんなが管理職で同族経営をやっていたり、そういう実態などが間々見受けられます。  したがって、こういうことをきちんと監査しなければいけません。そうすると、恵友会のように神恵内に1カ所だけ施設を持っていて、9割方は札幌市から30億円ぐらいのお金をもらって、3億円ぐらいが道からだと。この場合でも札幌市に監査権が全然ないというのは、札幌市民にとっては全く納得のいかない話です。  そこで、私は、以前から、政令市と県内の他のところにまたがるような場合はきちっと監査権を持てるように、国に対して申し入れて法的な改正を求めてほしいと市長に話をしておりました。市では、国に要望書を上げたと言うのですが、その後の進展はどうなっているか、お答えいただきたいと思います。 ◎安立 監査指導室長  その後の状況でございますが、まず、本件要望につきましては、昨年10月の決算特別委員会で委員から質疑がありました。そのときに、市長が当時の三井厚生労働大臣に直接要望をお伝えする旨を述べておりますが、翌日、直接、大臣にその旨をお伝えしているところでございます。  その後、厚生労働省の社会援護局福祉基盤課の担当の方から電話で要望の関係の回答をいただいております。その回答の内容につきましては、札幌市が求めている社会福祉法第56条第2項及び第3項に掲げる措置命令等の権限については、社会福祉法人の設立認可を行う所管庁が行使すべき権限であり、社会福祉法第56条はそのルールに基づき定められていることから、法改正についての要望の趣旨は現在のところは難しい、また、本件のような場合については、所管の北海道と共同で監査を実施するなど、連携を図ることにより所管庁から命令を発出することが可能なので、所管庁との連携をさらに深めてほしいというものでございました。また、この内容につきましては、三井大臣にも説明し、了解を得たものであるとのお話でありました。  これを受けまして、札幌市といたしまして、昨年11月13日付で、北海道保健福祉部施設運営指導課長に対し、今後のさらなる連携強化のお願いについて、文書にて依頼を行ったところでございます。 ◆松浦忠 委員  市長、私は、今回、事務方に国の行政機関に対して要請したことについて、あるいは、当時の大臣に要請したことについて、それはそれとして取り組んでいただいたという事実はわかりました。  しかし、厚生労働省とそういう福祉団体との関係といったら、過去に、厚生事務次官をやった方が関東圏でいろいろなことにかかわって現職でありながら逮捕されたり、いろいろありましたね。それは、今でもそれぞれが深くかかわっていることは間違いないのですよ。したがって、こういうものは、事務方に言っても、なかなかそうかということにはなっていきません。これは、まさに政治の問題なのです。少なくとも、全国の指定都市市長会、この分野の権限を持っている政令市の市長会できちんと決めて、大臣に対して法改正を申し入れ、さらにまた、国会議員に対しても法の改正を求めていく、私はこういうことをしなければ実現しないだろうと見ているのですよ。  そこで、市長、全国の政令指定都市の市長会で、札幌市長として、この問題について、今までの経緯を踏まえて、その上に立って、今度は、一団体ではなく、ぜひ、20市の指定都市市長会という権限を持っているところで決めて、政治的な働きかけをしていただきたいと思うのです。  まずは、市長会に対してこの問題を提案して、そういう決定を求めるように取り組んでいただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。 ◎上田 市長  先ほどの第56条の許認可といいますか、開設を許可した官庁が監査をして、それで必要であれば処分するという構造はなかなか変えがたいものだというふうに思います。特にこの場合は、大きな施設は札幌市にあり、小さな施設が市外にあるという極端な事例だと思いますが、国が所管している機関もあるわけですね。全国区で展開されている施設などもございます。そういうことを考えますと、第56条自体を変えていくことは非常に難しい状況にあるだろうというふうに思います。そういう中で、運用の問題として共同監査が可能であり、実態として札幌市も北海道とともに監査させていただくということは、今回の問題以前にもやってきた経過がございます。  そういう意味において、運用において第56条が適切に行使されるように、施設の設置自治体も認可団体、自治体と共同監査をすることでその監査の精度を上げていくことで努力していきたい、こんなふうに考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  安立監査室長に尋ねますけれども、全国の政令市で札幌の恵友会みたいな実態はどの程度あるか、調査をされましたか。 ◎安立 監査指導室長  申しわけございませんが、その辺については調査しておりません。 ◆松浦忠 委員  では、札幌市内に幾つの法人がありますか。 ◎安立 監査指導室長  法人は、全部で183法人あります。 ◆松浦忠 委員  聞き方が悪かったです。今の恵友会のように、大多数が札幌にあって、地方にぽんとあるという法人が幾つあるか、調べていますか。 ◎安立 監査指導室長  申しわけありませんが、それについても全てを掌握しておりません。 ◆松浦忠 委員  札幌市内にはほかにもありますよ。札幌市の福祉の仕事の委託を受けて、地方の町村から要請を受けて施設をつくっている法人があります。ここだけが特殊ではないのです。全国の大都市、政令市の中にそういう法人が幾つもあると思います。札幌市にだって、私が調べているだけで複数あります。  したがって、全国の調査をきちんとして――市長は弁護士であり、窪田先生も弁護士ですからおわかりのように、法律は、つくったときがその法律の最も適したときで、あした以降はもうだんだんと適さなくなってくるのですよ。年数がたてばたつほど法律は適さなくなってくるのです。したがって、市長の今の答弁で難しいなんて言われたら、選挙で選ばれて、地方自治ということで地方の分権を求めている我々地方議会にとっては極めて悲しいことです。ですから、そうは思わないで、市長にはぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。
     答えはもう求めません。今言ったことを即刻変えるのではちょっと調子が悪いから、ぜひひとつ取り組んでください。次の議会で、市長が取り組まれたかどうか、またお尋ねしますので、これをもちまして私の質問を終わります。 ○細川正人 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時34分       再 開 午後3時55分     ―――――――――――――― ○細川正人 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆よこやま峰子 委員  私は、児童心療センターについてお伺いいたします。  かねてより、児童精神科医療を担う札幌市児童心療センターのあり方について検討を続けておりました札幌市精神保健福祉審議会の児童精神科医療検討部会では、先月9月30日に答申案がまとめられました。新聞報道によりますと、まとめられた答申案は、10月末に審議会に報告し、上田市長に答申する予定とのことであります。したがいまして、札幌市としては正式な答申をまだ受け取っていない状況でありますが、新聞報道により、答申案として検討状況が表に出ていることもあり、新聞報道が正しいかどうかとの確認の意味からも、あえてこのタイミングで幾つかお伺いさせていただきたいと思います。  さきの第3回定例議会の代表質問において、我が会派の北村議員が児童精神科医療のあり方について検討委員会ではどのような議論がなされているのかと質問したのに対し、検討部会の会議の中で児童心療センターの機能を市立病院に統合すべきという議論がされているというご答弁がございました。また、報道の内容によりますと、児童心療センターの基本的な機能を市立札幌病院に移すことを柱としているということでありました。  そこで、質問ですが、まず、現在どのような内容の答申案が出されることを想定されているのか、お伺いいたします。  また、今後の検討スケジュールについてどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童精神科医療検討部会における答申の想定している内容についてでございます。  先月30日の児童精神科医療検討部会での議論の内容を踏まえますと、骨子といたしましては4点が答申されるものと考えております。まず、1点目といたしましては、教育機関や福祉機関を含め、連携体制や役割分担を明確化し、子どもの状況に応じたサービスの提供体制を目指すため、児童精神科医療に関するネットワークを構築すること、2点目といたしましては、先日10月1日の厚生委員会におきまして報告させていただいた本年7月の緊急提言と重なる部分でございますが、児童精神科の医療資源やネットワークを維持するため、システム化された医師養成体制を設けること、3点目といたしまして、小児科等の他科との密接な連携や安定的な医療提供体制の構築を目指し、児童心療センターの医療機能は市立札幌病院に統合すること、4点目といたしまして、一方、発達障がいの診療環境を確保するため、現地で整備を進めている複合施設にも児童精神科の外来診療機能を残すこと、また、現入院機能は、現在行っていることが福祉分野の支援に近いことから福祉施設化すること、以上の4点が現在想定される答申内容であると考えております。  次に、今後のスケジュールについてでございます。  委員のお言葉にもありましたように、現時点ではまだ正式な答申をいただいている段階ではございませんので、確実な答弁は差し控えさせていただきますが、私どもといたしましては、できるだけ早期に基本的な対応方針を固めていく必要があると考えております。 ◆よこやま峰子 委員  ただいまのご答弁によりますと、4項目の想定される答申内容がございました。いずれも重要な項目であり、今後の慎重な検討を期待するものであります。ただ、私個人としては、この中でも、特に児童心療センターを市立病院に統合させる点について非常に関心を持っており、今後の推移を注視していきたいと思っております。  この件について、当初は、市立病院への全面的な統合案が議論されていたそうですが、児童心療センターを市立病院に統合させることに関しましては、患者の親御さんでつくる団体の委員から、市立病院内で児童精神科の患者が一般患者と同じ空間を共有することは難しく、患者の特性に配慮した現在地の環境が望ましいとの意見により、センター内に現在二つある小児病棟とのぞみ学園の60床の病棟はそれぞれ福祉施設として残り、外来診察の機能も残すという形、つまり、統合しつつ現在の場所に機能を残すという答申案に至ったとの報道がございました。  また、答申案では、市立病院に統合することにより、他科との連携も密接となり、医師の当直の負担軽減につながるメリットもあるとしておりますが、市立病院側としては、移転統合機能を維持できるだけのスペースがないとの理由により、統合に難色を示していると、これも新聞記事でございました。私は、このことについて、さきの厚生委員会でも指摘し、また、多くの保護者が懸念されているように、市立病院では、児童心療センターがこれまで行ってきた医療、教育、福祉が一体となって進めてきた発達障がい児・者への対応をこれまでどおりに行うことは極めて困難だと考えております。もし仮に移転させた場合は大幅な機能低下が見込まれることから、基本的には、移転統合には反対でございます。ぜひ、患者の立場に立ち、十分な議論を尽くしていただきたいと願っております。  そこで、再度お伺いしますが、先ほどの想定される答申内容について、今後、正式な検討を進めていくものと思われますが、現時点においてこの4項目について札幌市としてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  答申内容に対する現時点での考え方についてでございます。  まず、緊急提言に関する部分であります医師養成体制の構築につきましては、さきの厚生委員会におきまして対応方針をご説明させていただいたところでございます。その他の部分につきましては、先ほど申し上げたとおり、現時点では正式な答申をいただいていない状況でございますので確たる対応方針を申し上げる段階ではございませんが、答申内容とされるであろう項目につきましては、例えばネットワークの構築など、札幌市と民間医療機関の役割分担、市立札幌病院や児童心療センターのあり方など極めて広範囲にわたり、そして、複雑かつ困難な内容が含まれているものと捉えております。  いずれにしましても、答申内容につきましては重く受けとめなければならないものでございますので、繰り返しの答弁になりますが、今後できるだけ早期に基本的な対応方針を検討していく必要があるものと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  要望です。  これから正式な答申を受けて、市立病院、医療機関や研究機関、医師、患者の団体などとの議論が行われ、答申内容の実現を目指していかれると思いますが、私は、現在の児童心療センターの機能は現地で維持しつつ、市立病院においてはさらなる機能向上を目指し、新たな機能を設けるような観点で進めていっていただきたいと思っております。児童心療センターが患者にとって魅力ある安定した医療機関として早期に再生することを望んでおります。  最後に、児童精神科検討部会の久住部会長は、最終の検討委員会終了後の新聞のインタビューに、検討部会では、現状から出発するのではなく、こうあるべきだという姿を描いた、関係者でこれだけ深く議論をしたので、札幌市は実現に向けて本気で努力してほしいと答えておられます。私もこのことをお願いして、質問を終わります。 ◆大嶋薫 委員  私からも、ただいまよこやま委員から質疑がありました児童心療センターの関連について、何点か伺わせていただきたいと思います。  今ありましたように、まだ正式に答申を受け取っていない状況であること、また、骨子については既に公にされたと言えると思いますが、具体的な検討は正式な答申を受け取ってから速やかに対応に移るということですので、私もなかなか踏み込んだ議論ができないといういらだたしさを感じておりますけれども、今後の議論を進めていく上での課題について、何点か、確認の意味で質問させていただきたいと思います。  今あったように、既に答申の骨子として4点が示されているということでした。この3月から6回にわたって精力的に議論が進められてきたと思っておりますし、その答申をしっかりと受けとめて、これからの児童心療センターの体制――これは札幌市だけにかかわる課題ではないと考えております。これまでの静療院時代から児童心療センターへの移行、そして、その間の議会論議も含めて、そのあり方、サービスの充実については議会でも多くの議論が積み重ねられてまいりましたので、そのことも踏まえての議論になっていくかと思っております。ただ一方で、いまだに来年度以降の常勤医師の確保についてはめどが立っておりません。当然、人材確保にそれぞれ精力的に当たられているとは思っておりますが、この点は、今の3名体制、部内異動で何とかやりくりをつけるというご苦心をされているのは十分にわかりますけれども、やはり専門医をしっかりと3名体制で維持するということが、ある意味では将来の児童心療センターを担う医師をしっかり確保していく、あるいは、これまで行ってきた、自主的に児童診療医を育てる役割も児童心療センターが担ってきたということもありますので、その点も、お願いというよりも、改めて要請しておきたいというふうに思います。  昨年8月、医師の退職表明ということで5名のうち4名が退職表明することにつながり、病院機能の維持そのものが危機的状況に置かれたということで、その後、先ほど言ったように3名を確保すると。一方では、宿日直の負担を軽減しなければならないということで、宿日直については民間医療機関の協力によって何とか維持されていると伺っております。ただ、昨年7月に児童心療センターとして正式に看板を掲げた直後ということで、これは児童精神科医療検討部会の中でも議論されたように、潜在するいろいろな課題がある意味で退職ということで浮き彫りにされたというふうに私は受け取っておりますし、これからそのことにどういうふうにしっかりと対応するかが課題になっていると思います。  一方、私も議員になってすぐに、たまたま、のぞみ学園の状況といいますか、これはハード面ですが、6割、5割の定員充足率が続いている、その要因は何かということで、結局、成人の方の行き場所がないこと、その一方で、4人部屋というようなつくりで、ハード面で非常に劣悪な状況にあることを目の当たりにして、それ以来、ハード面はもちろん、いろいろな診療体制を含めた課題について関心を持ってまいりました。  先ほどのよこやま委員の発言にもありましたけれども、当然、これまでの、福祉施設、あるいは、当事者家族との連携による実践を土台として、医療、保健、福祉、教育などの分野と一体となって、子どもの心や発達障がいへの支援体制の充実強化を図っていくという大きな目標に向かって、昨年4月に一般行政病院化、複合施設化という決断をしました。これは、私ども議会も、その目標に向かってしっかりと進んでほしいという応援のエールも含めて発言もさせていただいてきたわけです。  そして、設立から7年目になりますか、自閉症者自立支援センターゆいの設立についても、道内外から非常に高い評価を受けていることも承っております。しかし、今後、サービスを安定的に供給するという自治体の責務を果たしていくためには、児童精神科を専門とする医師の数が全国的にも非常に少ないということで、先ほどの寄附講座の質疑の中でもありましたけれども、養成機関さえ非常に手薄であるということもありまして、そういう中で現実的な対応が迫られているという観点からの論議が検討部会でも進められたと受け取っています。  そこで、医師等を含めた全国の児童精神科の状況について伺います。  児童心療センターと同様の児童精神科の入院病棟を持つ病院が全国には幾つかあるのか、また、児童心療センターと同様に、今回、一般行政病院として独立した形になっておりますけれども、児童精神科の単科病院があるのかどうかという点を伺います。  2点目は、先ほども触れましたが、今後の診療体制についてです。  3名の常勤医の確保も一方にありますが、一方で、現状で最低限の医療体制、診療体制を確保していくためには、これまでのように、宿日直のお医者さんの確保、民間医療機関の協力が得られるかということも重要な課題になってくると思いますけれども、この点について現状はどのようになっているのか、また、今後の見通しをどのように考えていらっしゃるのか、その点を伺います。 ◎木原 管理担当部長  1点目の入院病棟を持つ医療機関数についてであります。  私どもで児童精神科医療に関するあり方を検討する上で、全国の同様の病院を調査しており、その際に調査対象といたしましたのは、児童精神科の入院病床を有する病院で構成される協議会の正会員施設22病院でありまして、これと同数と思われます。その調査の中では、児童心療センターと同様の運営形態にある児童精神科の単科病院は、三重県にあります県立小児心療センターあすなろ学園1カ所のみでありました。  2点目の宿日直の民間医療機関等からの支援状況等についてであります。  ことしの4月を迎えるに当たりましては、入院患者の転院を進めるほか、センター所属医師による緊急時のバックアップ体制を整備して、児童精神科以外の医師にも宿日直に当たっていただけるようにするなど、医師の負担を減らした上で、市内の病院、大学病院、開業医に対して宿日直への協力を依頼し、運営してまいりました。  しかし、半年間との条件でご協力をいただいた医療機関もあり、また、医療関係の学会が重なる9月、10月は派遣をいただくのが難しい状況があります。そこで、10月からは、市内部の医師による宿日直の勤務回数をふやすなどして対応しておりますが、引き続き民間医療機関から一層のご支援をいただいて運営していきたいと考えております。  次年度以降の民間医療機関等からのご協力につきましては、現在の対応は緊急避難的な措置としてご協力いただいているものであり、継続は難しいものと考えております。 ◆大嶋薫 委員  今、全国の児童精神科病棟を持つ病院の状況と、今後の児童心療センターの診療体制、医師の体制についてお答えをいただきました。  医師の体制については、今のお答えでは、かなり厳しい状況といいますか、昨年の4名が退職することで、ある意味ではかなり危機的な状況の中で、何とか緊急避難といいますか、最低限の診療体制は維持するということでご奮闘いただいたということだと思います。現状でも、入院されている方はのぞみ学園、児童病棟にそれぞれいらっしゃいます。どうしても受け入れなければならない場合、当然、その責任を果たさなければならないこともありますので、さらに全庁が一丸となって、いろいろなネットワークや、学会や出張等があると思いますので、その機会をフルに活用して確保に向けて全力で努力していただきたいことをまず申し上げておきます。  それから、今、単科の精神科病棟を持つ病院は三重県のあすなろ学園しかないということでございました。これは、他の総合病院、あるいは、精神科の病院の中に児童精神科部門があるという形態だと思いますが、具体的な運営形態や医師確保の状況等々を含めて、これからの議論の中でその辺の状況をしっかりと踏まえて検討課題に対する内部的な討議の素材にしていただきたいと思うわけです。  そこで、三重県のあすなろ学園においては、単科の病院であれば医師の確保についてはより厳しい状況かと推察されますけれども、ここでは、今、札幌市がこれから議論をすることになります福祉施設化や他病院との統合の議論はあるのかどうかという点を伺います。  それから、答申の中に福祉施設化がうたわれております。これは、常勤の医師を必要としないということで医師への負担を大幅に軽減できることを含めて、私は一つの選択肢と受けとめております。そういう中で、基本的には、これまでのような診療体制を継続できることをベースに、先ほども述べたように、これまで積み重ねてきた児童心療センターの歩み、蓄積を将来に向けて全国に発信していくのだという希望がございます。しかし、医師の絶対数が足りないという現実は受けとめながら次に進めなければならないと思っております。ただ、福祉施設化というやむを得ない選択をするに当たっても、これまでの静療院時代から積み重ねてきた大きな役割や蓄積をきちんと次の世代に継承できるように、スタッフの問題や全体的な医療体制と他の部門との連携協力のあり方も含めて、これは前提になければならないと思っております。  そこで、私は一つの選択肢と受けとめている中で、現段階で福祉施設化について踏み込んだ答えをしづらいことは重々承知でございますけれども、基本的な方向性について――私の知っている例では、北斗市にある第二おしま学園が、第2種自閉症児施設から、ことし4月には障がい者施設、成人の施設として転換したと聞いておりますし、伊達市にあるバウムハウスは、元院長の設楽さんがかかわっておられるということで、教育分野とも連携しながら療育に取り組んでいるとも聞いております。ほかには余り例がないということも聞いておりますので、基本的な考え方について何かあれば、伺いたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、1点目のあすなろ学園の統合等の再整備計画がないかどうかについてでございます。  あすなろ学園につきましては、三重県津市にございます県立の施設でございますが、ここが、児童精神科医療、そして福祉的な措置を行う児童の施設でございます。もう一つ、隣接しているところで肢体不自由児を対象とした医療型の障がい児入所施設がございますが、このいずれも老朽化している状況にあるようです。また、もう一つとして、重複障がいへの対応が課題となっていると聞いております。この状況につきましては、部会で検討する際に基礎資料を収集するために調査を委託しておりますし、また、私どもの職員が現地を視察して聞いてきた限りの情報になりますが、現時点ではそのような課題を抱えていたということでございます。そこで、この両施設につきましては、平成29年度を目途に、市内の別な場所になりますが、国立病院機構の三重病院の隣接地に移転する計画が立てられていると聞いております。これについては、ホームページにも既に情報等が提供されているようで、我々はそこからも情報を得ております。  いずれにしましても、目的といたしましては、重複障がい児への対応、施設の老朽化に対応すること、これにあわせて人材の確保、育成、総合的な医療体制の構築を目指していくものであると承知しております。  2点目の答申に盛り込まれるであろう福祉施設化についての基本的な考え方はどうかということでございます。  現時点では、確たることを申し上げる段階ではございませんが、先ほど木原部長からも答弁させていただきましたように、児童心療センターにおきましては、次年度以降の宿日直体制の維持が非常に厳しい状況になってございます。このような状況、そして、特に各病棟の機能をどうしていくかが非常に大きな課題になってきます。そういう意味では、各病棟の機能をどうしていくかにつきましては、まさに検討を急ぐべき課題と考えております。  この結論を導き出すためには、委員からもお話がございました第二おしま学園は、知的障がい児の入所施設から自閉症児の専門施設として福祉型の施設になり、さらに大人の施設に転換したものでございます。そして、バウムハウスにつきましては、もともと養護施設でございますが、医療的な需要に対応していくことから情緒障がい児短期治療施設に転換して今に至っているもので、この二つはかなり典型的な施設であろうと思います。これらの施設を初めとしまして、各施設の実態調査、そして、関係団体のご意見を十分にお伺いした上で、利用者側のニーズの把握をきちんとしていかなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今後の検討に当たりましては、児童心療センターがこれまでに培ってきた自閉症児や心理的な問題を抱えている児童に対する支援技術を生かすこと、そして、市民ニーズに合ったものにする必要があると考えておりますので、できるだけ早期に基本的な方針を固めなければならないと考えております。 ◆大嶋薫 委員  今、それぞれお答えをいただきました。  単科といいますか、独立した病院として維持するためには、医師の確保という面で、現状でもそうですけれども、将来も持続的に安定したサービスを続けるためには、将来は寄附講座で育っていく前提はあっても、それは10年単位で先のことになるということも当然の現実であります。そういう意味では、診療体制の最低限の維持と、次のステップをどう踏むかということでは、今の答弁にありましたように、やはり短期間で速やかな計画づくり、体制づくりをしていかなければなりません。それは、ひいてはこれからの医師の確保に必ずプラスにつながるのだろうと思いますので、ぜひしっかりと取り組みをしていただきたいと思っております。  この間、医師の退職ということで大きな議論になった課題があります。本来は、サービスの充実、あるいは、静療院が積み上げてきた多くの実践をさらに他の分野に生かしていくという目標に向かって一般行政病院化いたしました。ただ一方では、そのことによって、縦割りというか、会計がまるっきり違って、市立病院から切り離されることによって市立病院の精神科の人的な支援が受けられなく、受けづらくなるということがあって、検討部会の中では改めて本院統合という議論になっているのだろうと私は理解しております。  ただ、東京都の例ですが、元静療院時代にいたお医者さんが児童心療センターの責任者をしております。そこは、基本的には病院の組織の中にあるけれども、事業の運営等では他部門との連携が必要になって、それが生かされないと意味がないということで、保健福祉局が実際の事業のあり方についてかなり発言力を持っているというよりも、保健福祉局が実際的に担っている部分も相当あるというふうにおっしゃっておりました。  そういう例も踏まえながら、今後の運営体制について、四つの課題がありますけれども、それぞれに全力で取り組んでいただきたいと思います。その際、個々の課題については当事者の皆さん方の意見を伺う場面をしっかりとつくっていただくことを求めて、終わります。 ◆國安政典 委員  難しく重い課題の質疑が続いてまいりましたけれども、私からは、皆さんにちょっと肩の力を抜いていただきたいと思いまして、ぬくもりのある質問をさせていただきたいと思います。  地域ぬくもりサポート事業について、その状況と今後の展開ということで、障がい福祉の一層の推進を図るための共助社会の実現という観点から、2点質問させていただきたいと思います。  若干、前置きをさせていただきたいと思います。これまで委員会等でも申し上げてまいりましたけれども、私ども公明党では、新しい福祉社会ビジョンというものを掲げさせていただいておりまして、この中では、地域や家庭での人間的なつながりの希薄化という今日的な社会課題に対応すべく、孤立社会から支え合いの社会を目指していこうとして取り組んでおりまして、地域住民がお互いに触れ合い、支え合う共助の精神を育んでいくことが大事であると捉えているところであります。日々の暮らしの中に共助が自然に息づいているような社会をつくっていくためには、その手だての一つとして、ボランティアを初めとした個人やグループによる助け合いである直接的共助を拡大していくことが重要であると考えております。  平成24年第1回定例会の予算特別委員会におきましても、私どもの会派の福田委員から指摘させていただきました。障がいのある方々の地域での豊かな暮らしは、必ずしも法に定められた公的福祉サービスのみで実現できるものではなく、市民一人一人が無理のない範囲で身近な地域での助け合いや見守りなどを実践することによって初めて実現させるものであるというふうに思います。行政や福祉関係者、地域住民と協働しながら自分の住んでいる地域の方々の力を気軽にかりることができるような助け合いを活発にしたり、そこで芽生えた住民相互の連携をサポートするための仕組みづくりこそが、これからの時代は重要になってくるというふうに思っているところであります。  そこで、札幌市では、障がいのある方のためのワンコインボランティアであります地域ぬくもりサポート事業が、昨年度は中央区の2地区で行われまして、今年度は7月から中央区全域で実施されております。実施地域が限定されているとはいえ、サポートセンターの専門職員の方々によるコーディネートのもとに、地域サポーター、すなわち地域住民によって近隣の送り迎えや、話し相手になったり、見守りなど、延べ140件の支援が展開されていると伺っております。障がい者福祉におけます直接的共助を推進する取り組みとして、私どもといたしましても大変注目させていただいているところでございます。こういった直接的公助については、公的福祉サービスとは異なり、担い手自身が地域とのつながりを強く自覚されたり、また、社会での新たな役割を発見し、充実感や達成感を得ることができる点においても大変意義深いものであると考えております。  そこで、質問でありますが、この事業を推進していくには、特定の熱意ある地域住民だけでなく、これまでボランティア活動に参加したことがないような方々を含めて、幅広い世代から参加を募り、支援活動を通じて充実感を得てもらうことが大切であると考えるわけでありますけれども、どのような方がサポーターとして参加されているのか、その登録状況と、サポーターの方々のこの事業への評価はどのような状況になっているのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  地域サポーターの登録状況とこの事業への地域サポーターの評価についてでございます。  1点目の地域サポーターの登録状況でございますが、本年8月末現在で男性が32人、女性が45人の合計77人となっております。年齢別で見ますと、10代から20代、30代、40代でそれぞれ17名前後で、その合計が52名と全体の68%です。一方、50代から70代までの方が25名で全体の32%となっております。そういった面では、若い方からの登録が多いのが特徴となっているかと思っております。  この方々を職業別に見ますと、会社員や自営業、パートなどの働いている方が30名で全体の39%と一番多くなっております。さらに、専業主婦の方が13名で17%、学生が10名で13%、その他定年で退職された方など、幅広い年代、職業の方で、そして、それぞれの方の活動が可能な時間帯に参加していただいております。  2点目のこの事業に参加しておられる地域サポーターからの評価についてでございます。  本年3月にアンケート調査を実施して、いただいた回答の内容を分析いたしますと、実際に支援の経験のある70%の方は、自分自身が満足感を得ていると回答しておりまして、人の役に立ちたいという思いを実現することができて非常にうれしい、話し相手として一緒に過ごす時間が私の楽しみでもある、このような声が寄せられて、サポーター側も支援活動を通じて充実感が得られているものと考えております。また、支援経験のある方の約45%は、これまで以上に障がいのある方への理解が進んだなどの意識の変化を感じており、理解促進の観点からも効果的な事業であろうと捉えております。 ◆國安政典 委員  非常に幅広い市民層がこの事業に参加しているということで、特に若い方の参加も意外にすごいなと感じたところであります。また、働いている方が一番多いのも意外でありました。いずれにいたしましても、この支援活動を通じて70%の方々が充実感、満足感を得ており、中には楽しんでいらっしゃる方もいるということでございまして、直接的共助の裾野を広げていくためにも、引き続き、幅広い年代の方々にサポーターとしての登録をもっと呼びかけていっていただきたいと思っております。  やはり、地域には、人とつながっていたい、支え合って生きていきたいという方が数多くいらっしゃるということであろうと思います。誰かのためにお手伝いできる方と暮らしの中でちょっとした困り事を感じている障がいのある方を具体的につなげる仕組みづくりが大事であると思います。この事業では、利用者一人一人の障がいの特性などを把握して、サポートセンターの職員の方がサポーターの人柄や特技なども踏まえて、きめ細かなマッチングを行っているというふうに伺っております。こういったことが利用者、そしてサポーター双方に安心感を与えているのではないかというふうに思います。マッチングを行うサポートセンターの方々のご努力に頭が下がる思いがいたします。引き続き、この事業の充実をしっかりと図りながら、次年度以降は、中央区にとどまらず、ほかの区にもこの取り組みを広げていただき、障がい福祉の分野においても直接的共助の息づくまちづくりを進めるべきであると考えます。ただ、既存の1カ所のサポートセンターだけで対応が可能かどうか、そういった危惧もされるところであります。  そこで、質問でありますが、次年度以降、さらに実施区を拡大することについての現時点での検討状況はどうなっているのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  この事業では、委員の冒頭のお話にございましたように、地域の中で本当にぬくもりが感じられ、共助、互助が定着する、そういう社会を目指したいと考えております。そういった面では、中央区だけではなく、ぜひ全区に広げたいというのは、実は私個人の気持ちを述べております。とはいうものの、この事業については、スタートして本当にまだ日が浅い状況でございますので、実施区の拡大に向けた検討としては、今の時点では中央区で実施しておりますので、次年度以降はここから段階的にふやすことできないかと。いきなり10区ではなく、やはり段階的にふやしていくことになるのだろうというふうに思っております。  その際に、具体的にどんな検討をしていくかということになりますが、現在、1カ所のサポートセンターを設けておりますけれども、ここでどの程度の利用者やサポーターの増加に対応することができるか、そして、一人一人に合わせた支援を確保することができるか、これらについて十分に検証する必要があると思っておりまして、この検証については現在の中央区で進めていきたいと思っております。あわせまして、地域の障がい福祉サービス事業所や相談支援事業所とサポートセンターが連携することで、より障がいのある方の実態に応じた支援につなげていくことができないかということについても試みたいと考えております。  この事業につきましては、本年7月に中央区全域に拡大したばかりでございます。そういったこともございますので、引き続き、一つ一つの支援事例を積み重ねながら、利用者やサポーター、サポートセンターそれぞれの課題の分析などに取り組むことと、それを反映させた形で実施区を拡大しても本当に効果的な事業手法をとることができるかどうかなど、そういった面で事業手法の構築等についてもさらなる検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  きのう、北海道新聞に商店街における支え合いの仕組みが取り上げられておりました。これは、高齢の方々ということで、必ずしも障がい者とは限りませんが、多くの市民の心の中に何かできることをお手伝いしたいという気持ちがあることは間違いないことですので、何度も言いますけれども、これをしっかりと結びつけていくことが大事だと思います。やはり、公的な福祉サービスでどうしても生まれてしまうすき間とでも言うのでしょうか、なかなか手の届かないところを埋めてくれるのがこういう市民の支え合いの力であろうと思います。一方で、必要とする障がいのある方もいらっしゃいます。これをうまく組み合わせて、本当にぬくもりのある地域をつくり上げていく、このことが大事であるときょうは改めて感じさせていただきました。  さまざまな課題があるのもわかります。7月に中央区全域になったばかりでありますが、早目に検証を進めて課題を整理していただきたいと思います。ワンコインでボランティアに行くわけで、サポーターが地下鉄やバスに乗ってどこかに行くことは考えられませんから、地域と密着した形でそれを結びつけていくのは本当に難しいことだろうと思います。サポートセンターをいっぱいつくればいいということでもないでしょう。それがどういう形になるのか、まさにこれから検証され、予算面やさまざまな面でも効果的な事業としていかなければいけませんが、ぜひとも、早目に検討、検証を重ねて、なるべく早く全市にこういったことが広がるような取り組みを進めていただき、冒頭に申し上げた支え合いの社会をしっかりと築いていっていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私は、児童心療センターについて質問したいと思います。  3月の予算特別委員会でも質問させていただきました。あのときは、精神保健福祉審議会児童精神科医療検討部会に諮問する直前の議論であったと記憶しています。そのとき、私が質問で求めたことは、児童心療センターの入院機能は維持するという本市の構えを持つべきだということでした。そのとき、天田部長は、審議会での議論に当たっては、入院機能をどうするかという問題は避けて通れないだろうと答えておられました。  9月30日に第6回の審議会が終わりました。その議論の全てを聞いておられるのだと思います。これまでの検討部会での議論の中で、入院病棟を廃止したほうがいい、あるいは、するべきだというような意見があったのかどうか、まず、そこを確認したいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  検討部会での議論の中で、入院病棟を廃止すべきという意見があったかどうかということでございます。  この議論の中では、急性症状、あるいは、急性期を脱した亜急性期の患者への対応のために入院機能はどうあるべきかについて実は議論されております。そういった面では、入院機能そのものをなくすべしという議論はなかったというふうに捉えております。しかしながら、入院病棟の維持のためにどういう方法をとり得るかにつきましては、さまざまな意見があったというふうに理解しております。 ◆小形香織 委員  入院機能が必要だからこそ、維持のためにどういう方法をとったらいいのかという議論があって、入院機能そのものを廃止したほうがいいという意見はなかったのだと答えられたのだと思います。これは非常に大事な点だと思いますので、私は、この委員会の場ではっきりと確認させていただく意味で質問いたしました。  同じく、第1回定例会のときに、上田市長は、児童心療センターのこれからについては、存続を前提として拡充していきたいのだと答えたと思います。存続と拡充ということですから、私は、入院機能はもちろんなくすことはできないということだと思いますし、3月に本市が全国や全市の病院機関などに行ったアンケート調査でもそういう期待の声がたくさんありましたし、審議会の議事録を見ましても、むしろ、ぜひ生かしてどういうふうにやるのかという議論だったことからも明らかだろうと思っています。  この入院機能のことと非常に密接にかかわってくるのは、のぞみ学園だと思うのですね。そこで、のぞみ学園について質問したいと思います。  同じく、予算特別委員会のときに、私は、児童心療センターはこれまでどういう役割を果たしてきたのですかという質問をいたしました。天田部長は、道内唯一の児童専門の入院病棟を持っている、小・中学校の分校も設置して教育の保障もしている、医療、福祉、教育の各分野の資源が一元的に提供しているところなのだと答えたと思います。  児童心療センターにおけるのぞみ学園の役割はどういうことなのか、成長期にある子どもの発達、持っておられる障がいとのかかわりでどういうふうな効果、あるいは、果たしている役割があるのかについて具体的に述べていただきたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  のぞみ学園がこれまで果たしてきた役割をどう捉えているかというご質問でございます。  この点につきましては、これまで議会で何度か答弁をさせていただいておりまして、そういった面では繰り返しの答弁になろうかと思いますので、どうかご容赦をいただきたいと思います。  まず、のぞみ学園につきましては、歴史をひもとくことになりますが、静療院児童部の開設当初から、思春期、青年期の自閉症の症例の一部が、精神面での不安定さ、行動上の問題を頻発させ、その結果、家族による対応が不可能であり、その対応を求められた結果、昭和57年4月にこの施設が開設されたものと聞いております。また、道内唯一の施設であることはもちろんのことであります。医療的なケアが必要な本当に重度の自閉症児・者、基本的には児童となりますが、現象面では成人に達した方も入院しているという状況にございます。いずれにしましても、自閉症児・者に対して果たしてきた役割は極めて重要だったと捉えております。  しかしながら、自閉症に対する市民理解の促進、そして、施設から地域生活への移行も、実は、今、求められてございます。こうした市民ニーズは開設当初とかなり変化してきているものかなと思います。そういった面では、障がいが重くても、支援によって地域生活を実現していく時代に入ってきているというふうに思っています。その中で、のぞみ学園がどのような形で役割を果たしてきたか、そして、これからどういう役割を果たしていくか、まさにこれが我々として非常に重要な検討課題だと捉えております。  そこで、検討課題としまして、児童精神科医療のあり方検討につきましては、先ほど来ご指摘いただいておりますように、入院機能については、福祉的な機能に着目し、福祉施設化するという内容の答申が出される見込みとなっております。これは、それぞれのお立場からのご意見としては、べき論、またはそうせざるを得ないということを含めた上での福祉施設化ということであろうと捉えておりますが、この検討に当たりまして、今後どうしていくかということについては、まさに市民ニーズの変化にどう対応していくかを含めて検討を進めていくべき課題と考えております。 ◆小形香織 委員  私の聞いた質問に対して、課題のほうは随分と述べられたのかなと思います。私は、役割はどういうものなのかということを聞いたのですが、やや不十分だったかと思います。でも、私はそれに近い質問を何度かさせていただいておりまして、教育や医療との連携について、静療院という建物、エリアの中で役割を果たしてきたのだということだと思います。  一方で、事実としては、例えば、昨年の夏から秋にかけ医師退職の問題がクローズアップされたときに、のぞみ分校のスタッフは教育委員会所管であるために新しい施設への説明会にすら参加できなかったということも出されていて、まだ不十分な連携だったのだろうと思っていて、課題はまだあるだろうと思っています。  連携していくということはずっとご答弁されておりますが、私は、どのような連携をするかということが大事なところだと思っていまして、全国の事例でそうしたことをよく学んでいくべきではないかと思っています。先ほどのほかの方の質問でちょっと触れておられましたけれども、札幌市が審議会に諮問する際に提供する資料を用意するということで、私はどんな資料を用意するのかと質問しました。3月31日に出した資料ですが、用意された中には、民間のシンクタンク会社に委託した資料が用意されており、全国の児童精神科病院や市内の精神科病院などへどんなふうにスタッフが配置されているか、患者の状況がどうなのかなどについて行ったアンケート調査の結果が出されましたね。その中で、先ほど部長もおっしゃっておられましたが、三重県立小児心療センターあすなろ学園に3月15日に調査に行った内容がまとめられておりまして、その概要にこういうふうに書いているのです。入院治療管理システムにより各職場が連携して治療に当たっている、医師の雰囲気がよく、各職種間の連携がしっかりできている、調査結果の評価がこう書かれていたので、私はここに着目しております。  そこで、この三重のあすなろ学園で行われているしっかりしている連携とは具体的にどのようなものかについて、詳しくお示しいただきたいと思います。
    ◎天田 障がい保健福祉部長  あすなろ学園において職種間の連携がしっかりとできているとあるが、その姿をどう説明するかということかと思います。  3月に調査いたしまして、まとめていただいた報告書の中にございます一文を委員から読み上げていただきましたが、あわせまして、先ほど申しましたように、この際には私どもの職員も同行して現地の調査をしておりますので、その報告内容をご説明させていただきます。  まず、あすなろ学園につきましては、児童心療センターと同様に、医師、看護師、保育士、心理士などが配置されておられ、多職種でチーム医療に取り組んでいる状況があります。この中に入院治療管理システムという言葉がございますが、これは、入院から退院までの経過の中で、治療の進捗状況、生育状況をチームとして全員で共有し、その支援に反映させていくことが入院管理システムと捉えております。このシステムによりまして、職種の垣根を越えて互いに意見を言い合える環境づくりがされており、そして、よりよい診療、よりよい支援を目指しているということであろうと思います。  このあすなろ学園の組織を見ますと、医療連携室のほかに、町村の支援、そして療育を含めた子ども発達総合支援室という組織が設けられてございます。ここは県立施設でございますので、そういった面では町村に対する支援がこの中に位置づけられているという大きな特色もあろうかと思いますが、このような仕組みの中で職員が生き生きとして本当に楽しそうに業務に当たっている姿をかいま見たと報告を受けております。 ◆小形香織 委員  そういう話をぜひ参考にしていただきたいなと思っています。私もあすなろ学園から資料をいただきましたけれども、2012年度事業報告というものの中で、9項目の事業報告のうち、六つまではどことの連携、どことの連携と、連携に関する報告なのですよ。医師との連携、教育委員会との連携、福祉・保健機関との連携などで、目次を見ただけでそういうことを非常に重視しておられることがよくわかります。  その中で、幼稚園や保育園に通う気になる子どもに対してどういう個別指導をしたらいいのかという計画をつくるためにチェックの仕方があって、これは三重の独特のやり方でして、こういうチェックをしていけば個別的な指導計画がつくれるのだと。こういうことも、やはり実践を積み重ねて、今、部長がおっしゃられたように、意見を言い合いながら、チームで支えていく姿勢があるからこそ、こうした独自のシステムをつくっています。そして、何よりも、ここは県立ですから、県下にある市町村の施設で働く人たちにどうやって中心的な役割を果たしてもらうかということを考えてつくっておられるのですね。こういうことを大いに参考にしながら、今後、児童心療センターをどうしていくのかという方向をつくるときに生かしていただきたいと思っています。  私自身は、児童心療センターは、国がやっている子どもの心の診療拠点病院機構推進事業で言っている拠点病院になるべきだと思っております。残念ながら、この対象は都道府県だということなので、私はこれを政令市にも拡大したらいいのではないかと思っていますが、聞きましたところ、国の行っているこの事業は、2011年度に全国で10都府県、今年度までに15都府県での実施ということです。もちろん東京や大阪も入っていて、長野、石川、一番新しいところで福井県でも始まっていますが、ほとんどが日本列島の西側なのです。一番東側で東京です。東京よりも北とか東で拠点病院事業をやっているところがないのです。北海道に聞きましたら、この事業に着手することはまだ考えていないようでしたけれども、道の一番中心的な自治体として、それと同じだけ全道を視野にした病院であるべきだと思っております。それは、つまり福祉への移行ではなくて、あくまでも地域と福祉と医療の密接な連携を進めていくことだというふうに思います。  審議会の中では、障がいのある子どもを持っておられる委員の方は、現在のサービスを維持して向上させるのが原点なのだ、これ以下であっては私たちは納得がいかないのだと繰り返しおっしゃっておりました。私はそのとおりだろうと思います。市長の答弁どおり、存続して拡充するための議論だということで、最低限、子どもの心の病院としての基幹病院になるようなものにしていただきたいと思います。そのためにも、24時間受け入れられる入院機能は決して手放すことなく維持していただきたいことを求めまして、質問を終わりにしたいと思います。 ◆峯廻紀昌 委員  私からは、高次脳機能障がいのある方に対する支援についてお伺いいたしたいと思います。  高次脳機能障がいのある方に対する支援については、さかのぼってみますと、札幌市議会では2000年から質問として取り上げられるようになり、その時々の担当部局は、国の動向及び専門医療機関との役割分担を十分に踏まえて、また、他都市の状況を参考にして今後研究するという答弁を行ったことがスタートであります。  2001年に、国はモデル事業を開始いたしましたが、このモデル事業の目的としては、都道府県、政令市、地域の拠点となる病院が中心となって、障がい福祉施設等と連携し、症例の集積とその臨床データとをもとに、標準的な評価基準、援助プログラムの確立を図ることとしていたわけであります。このモデル事業の中では、実態把握のため、市内144の脳外科等の医療機関に対して調査を実施したり、北大病院のリハビリテーション科に援助システムに係る調査研究を委託したり、訓練経験のある小規模作業所に訓練を委託したところであります。このモデル事業の成果といたしましては、当時のアンケート調査から、約690人の方が高次脳機能障がいであり、このうち、約半数の方が札幌市内に在住していることがわかっております。また、2001年から3年間は30名ほど、2004年から2年間は40名ほどがモデル事業の対象としてそれぞれ登録し、実際の訓練あるいは支援プログラムを提供することで、前半3年間の対象者の方のうち、約3分の2の方々にやや改善あるいは改善といった一定の効果があったということであります。  さらに、2005年に高次脳機能障がいの施策の充実を求める陳情が提出された際には、各会派はそろってその充実を求めて、その中で、我が会派の三宅議員から、高次脳機能障がい支援センターの必要性の認識、日常的で一般的なケアの継続の方策について質問いたしまして、それに対して、高次脳機能障がい支援センターの必要性の認識については、センターの施設基準が定められているものはないが、専門的な調整・支援力を有した拠点施設機能を有し、支援の中核となる人材を提供する社会資源と認識しているという答弁があったわけであります。また、センター機能につきましても、12拠点の病院関係者が集まった連携協議会の中で協議され、高次脳機能障がい者と家族及び地域への支援機関への相談支援を行うこと、地域における支援体制の整備を図るとともに、関係機関の技術的な支援を行うこと、都道府県域に設置されるべきであること、そして、支援コーディネーターが在籍していること等が議論されているということもあわせて答弁がありました。さらに、このとき、日常的で一般的なケアの継続の方策については、専門性が余り高くなくても日常的で継続的な支援が障がいのある方々の身近なところで提供されることは非常に大切である、モデル事業の試行結果を踏まえて、各福祉施設等、あるいは就業、就学、在宅生活といった中で支援する機関にも積極的に情報を提供するなど働きかけていきたいという答弁でありました。  それから8年がたちました2012年の決算特別委員会で、我が会派の長谷川委員から、再度、高次脳機能障がいのある方への支援について質問を行いまして、2005年の陳情から昨年の委員会までの間に、障害者自立支援法が施行され、高次脳機能障がい支援普及事業が都道府県事業となり、北海道では道立保健所が中心となって今支援を行っておりますけれども、都道府県と政令市は保健行政が独立していることから、札幌市は事業実施者でないために空白地域になるのではないかということを指摘させていただいたところであります。  我が会派としても、この問題について迅速にさらなる取り組みを強く求める立場として、改めて質問させていただきたいと思います。  まず、1点目は、札幌市では、高次脳機能障がいに対しては、精神保健福祉センター、各区役所、障がい者相談支援事業所において支援を行っているとのことですが、高次脳機能障がいがある方に対する札幌市における支援体制の現状と課題についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  高次脳機能障がいにつきましては、まず、脳血管疾患、または外傷等の原因によって発生した後遺症が、身体機能ではなく、精神症状にあらわれたものが高次脳機能障がいと一般的に言われております。そういった意味では、高次脳機能障がいにつきましては、この疾病の特性から、生活に支障を来していても外見からはなかなか障がいがわかりづらいということもございまして、本人の悩みもさることながら、本人を支えるご家族のご苦労も多いというふうに伺っております。そういった面では、支援に携わる各関係機関につきましては、本人、ご家族の両面にわたってきめ細やかな対応が求められると思っておりまして、そういった面で、国の事業として高次脳機能障がいにかかわる支援普及事業に取り組まれてきました。  こういう歴史の中で、平成18年に国の補助事業の変更がございまして、現在につきましては、この支援普及事業は、リハビリテーションに関しては北大、医大のリハビリテーション科、そして、地域支援につきましては、こころのリカバリー総合支援センター、そして就労、教育支援等については民間の支援団体にそれぞれ北海道から委託されています。そういった面では、札幌市内におきましては、これはまず北海道の事業の中で取り組まれております。札幌市といたしましても、まずは3障がいに共通する支援体制を組んでいく中で障害者自立支援法がスタートし、そういった形での福祉サービスの提供、相談支援体制もしいてきてございます。一方では、精神症状ということもございますので、精神保健福祉センターでの相談も含めて取り組んでおり、そういう意味では精神保健福祉センター、各区役所、相談支援事業所、そして各支援団体などがそれぞれ役割分担しながら、今、取り組んでいる状況だろうと思っています。  その中で、現状はどうか、そして、課題はどうかということであります。  まず、精神保健福祉センターにつきましては、電話による心の健康づくり相談の中で対応してございます。高次脳機能障がいの相談につきましては、統計的には昨年度の1年間で13件、全体の件数のうち0.3%程度と聞いております。内訳といたしましては、医療機関への紹介が6件、助言、傾聴が5件、他の支援団体への紹介等が2件などでございますが、その多くはご家族からの相談というふうに聞いております。そういった状況を踏まえますと、この障がいの特性を市民に伝えていく、理解していただくための取り組みが重要だろうというふうに思います。  そのため、精神保健福祉センターでは、ホームページの中で昨年から高次脳機能障がいに関する基礎的な知識、そのほか、専門の相談機関や医療機関に関する情報を掲載いたしまして市民に提供しております。また、区役所では、心の健康相談や精神福祉相談、これはいわゆる精神医療福祉という分野になりますが、そのほか、障害者手帳の交付、障がい福祉サービスの利用などにそれぞれの職員が対応している状況にございますので、これに携わる職員が障がい特性の理解をいかに深めていくかということとあわせまして、障がいのあるご本人、ご家族に寄り添いながら支援していけるかということが重要な視点だろうと思っています。  そういうことから、精神保健福祉センターといたしましては、北海道が行います連携会議や研修会等にも参加しておりますが、その情報をもって、区の職員、これは保健福祉課だけではなく、保健師、保護課のケースワーカーも含めて、特に転入してきた新人職員を対象にいたしまして、高次脳機能障がいに対する理解を深めるための研修を実施しております。  そして、委託相談支援事業所については、現在、3障がいに対応する事業所として18カ所に委託してございますが、昨年度の1年間で、全体の相談件数約5万件のうち、高次脳機能障がいに関するものは760件、全体の1.5%ぐらいに相当いたします。この相談支援事業所につきましては、全体として相談件数が伸びておりまして、高次脳機能障がいにつきましても同様に伸びている傾向にございます。そういう状況にございますが、事業所ごとの支援実績を見ますと、どの事業所においても支援実績がございますけれども、豊富な支援経験を有する事業所はまだ限られており、全体として支援技術のノウハウが共有されている状況にはないのかと思います。  以上のことを考え合わせますと、札幌市全体の支援体制といたしましては、これまでの3障がい対応ということと合わせまして、精神保健と医療という両面からやってきておりますけれども、幅広い年齢層、幅広い支援ニーズに適切に対応できているかどうか、そして、高次脳機能障がいに関する情報の提供が十分にできているか、身近な地域で支援の裾野が広がっているかどうか、さらに、支援関係者相互の連携がとれているかということなどを考えてまいりますと、相談支援体制の充実に向けては必ずしも十分な体制となっているとは言いがたい状況にあるだろうと思っております。 ◆峯廻紀昌 委員  今、答弁をいただきました現状と課題の部分だけで言いますと、今行っている支援体制は、精神保健福祉センター、区役所、障がい者相談支援事業所における支援内容は、それぞれ機関が置かれている状況で異なると思われますけれども、普及啓発についてはもっともっと積極的にやるべきだと思います。また、支援にかかわる職員の資質向上は言うまでもないのでありますけれども、精神保健分野だけではなく、リハビリテーションの分野でもしっかりとした取り組みをぜひしていただきたいと、これは期待したいところでございます。  さらに、相談支援事業所については、身近な地域で幅広い相談に対応できるものでありまして、障がいのある方やその家族が地域で安心して生活できるよう、私もその役割を強く期待しているところでございます。  しかしながら、医療機関を中心に、相談支援事業所につながることが多くなって、相談支援件数は年々増大していくだけではなく、地域生活を進める上でのさまざまな調整に時間がかかる案件も非常に多くなっていると聞いております。このように相談支援事業所において負担がますます増大していく中、高次脳機能障がいの相談があった場合、それほど支援経験のない事業所にとっては十分な対応ができない、要は時間のロスが出てくることがあることを懸念しております。  先ほども言いましたように、昨年の決算特別委員会での長谷川委員の質問に対しては、研修を実施する際に、関係団体の協力を得ながらカリキュラムを設定するほか、今後の相談支援事業の増設に当たっては、身体、知的、精神の3障がいに対する相談対応を基本として、特定分野に精通した法人に加わってもらうことも手法の一つと考えて十分考慮したいという答弁がありました。  それから1年がたった今回の決算議会でありますが、障がい者相談支援事業における高次脳機能障がいのある方への支援の充実に向けた取り組みについて、この1年間でどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  高次脳機能障がいのある方に対する支援の充実につきましては、正直申しますと長い時間がかかっておりますが、その中で、北海道と札幌市を含めて、徐々にではございますけれども、支援体制の整備が進められていると捉えております。札幌市といたしましては、相談支援事業所については、先ほど申し上げたように、基本的には3障がいへの対応ということで進めてきております。しかしながら、相談件数も相当ふえてきていることもあり、相談支援事業所の疲弊をいかに食いとめるかが実は我々の大きな課題でもございます。そういったことから、今年度につきましては、市内の相談支援に携わる事業所の負担軽減、そして支援技術を高めるために、相談支援の中核的な機能を担う基幹相談支援センターを7月にスタートいたしまして、この10月に本格的に稼働する予定になってございます。  この基幹相談支援センターは、各相談支援事業所のほか、障がい福祉サービス事業所もございますが、それらのサービスが適切に利用者に届けられるように、そういった相談がきちんとできるかどうかというところにかかってきますけれども、この相談支援事業所に対する後方支援、職員の研修を充実していくという方針を立てております。そのほか、市内には、高次脳機能障がいの方、その家族の方々に積極的に支援を行っている団体が幾つかございます。この団体の方々が、就労継続支援や地域活動支援センター、そして、この8月には指定相談支援事業所にもなっておりまして、そういう意味ではこうした支援団体の活躍も札幌市としての非常に大きな強みだろうと思っております。  高次脳機能障がいがある方への支援につきましては、今後も、専門の医療機関、そして支援実績が豊富な事業所の協力をいただきながら、基幹相談支援センターの機能を高めていく形で研修体制の充実につなげていきたいと思っております。そのことを通じて、札幌市全体として支援体制の向上が図られるような取り組みを進めていきたいと思っております。  そこで、相談支援事業所の増設でございますが、第3次新まちづくり計画におきましては、平成26年度までに相談支援事業所を20カ所まで増設することになっております。この増設に当たりましては、繰り返しになりますが、身体、知的、精神の3障がいに適切に対応していただくことを基本としております。  なお、高次脳機能障がいといった特定の分野に精通した法人に加わっていただくことも手法の一つであるとの考え方につきましては、これまでも述べさせていただいているところでございます。  今年度につきましては、基幹相談支援センター1カ所を新設することになりましたが、来年度以降の増設に当たりましては、このような考え方を盛り込みながら、どの地区にどのような相談支援事業所を整備するかにつきまして、関係者のご意見を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆峯廻紀昌 委員  今、部長から、本年度における取り組み、支援体制のお話がありましたが、いずれにしても、答弁にもあったように、長い時間がかかり過ぎており、本来はもっと迅速にやるべきということは指摘せざるを得ないと思います。  この9月、大分市では、日本脳外傷友の会全国大会がありまして、産業医科大学の蜂須賀研二教授の報告では、軽傷者を含めた高次脳機能障がいの発症率は、毎年、人口10万人当たり50人から70人と推定されると言われております。札幌市の人口は193万人ということでは、毎年の発症率は1,158人と推定され、当然、この数字は年々ふえていくわけであります。また、蜂須賀教授は、ことし4月に障害者総合支援法が施行され、高次脳機能障がいに対する相談支援は、市町村が行う一般的な相談支援、都道府県が行う専門性の高い相談支援と位置づけられているが、この法律は高次脳機能障がいの支援について質的な向上をもたらすわけではないと言及されております。  訓練や支援の質を高め、よりよい治療成果と社会参加の実現を目指すためには、地方ごとにセンターを設置する必要があります。このセンターは、医療的リハビリテーション、福祉的リハビリテーション、職業的リハビリテーション、教育的リハビリテーションの拠点となり、患者や家族だけでなく、医療、福祉、行政関係者の協力や研究の中心となることが求められていると考えております。既に、高次脳機能障がいに特化した相談支援センターは、横浜、川崎、広島の各政令市に加え、豊橋市、藤沢市にも開設されているのが現状でございます。高次脳機能障がいは、身体、知的、精神の3障がいと異なる側面が非常に多く、特化したセンター開設に向けてもう少し時間がかかるということがあるとしても、今進めている相談支援事業の中で、先ほど部長からお話がありましたけれども、高次脳機能障がいへの専門性を取り込むような工夫は幾らでもできるのではないかと私は思っております。  高次脳機能障がいは誰にでも起こり得る障がいで、本当に子どもから大人まで対象になるものであります。北海道は、国土の約22%を占め、179市町村全てを包括しなければならないわけでありまして、総合振興局や振興局管内のそれぞれの保健所に支援のコーディネーターを配置して対応しているのが現状ですけれども、余りに広範囲で行政の支援が行き届かないことも多くあるとも聞いております。北海道では、国の事業費以外にも、単費によって、北海道医師会と連携して短期の医療従事者向け研修を行うことで、医療機関が高次脳機能障がいに対して早い時期から受け入れ支援に入れるように計画しております。  本当であれば、他都市の状況や道の状況をお話しして、ところで、札幌市では時期はいつごろかと具体的に質問したいところでございますけれども、このタイミングでは具体的な答弁はなかなか出ないと思います。今、必要性についてお話ししている中で、局長も部長もうんうんと理解を示していただいているような状況もございますし、また、さきにも、長い時間がかかっていることは十分に認識しているという中での今後の対応という部長の答弁がありましたので、ここであえて質問はいたしません。  しかしながら、私たちは、道がやっていることと同じことをやれと言っているのではありません。当然、道は道で、その中で事業を展開します。それでは、193万人の札幌市を考えたときに、潜在しているニーズはたくさんあることを考えれば、道の事業をどう補完することで、連携の強化が図られ、かかわる人たちのそれぞれのスキルがアップするか、そういう視点を持って、ぜひ、高次脳機能障がい者に対する支援体制を充実してほしいと思っているわけであります。  とりわけ、当事者、さらには家族の方々にしてみれば、長い期間にわたって、支援をしてほしいという本当に切なる願いでありますので、札幌市独自でもしっかりした支援体制を設けていただきたいと思います。そして、この議論が、来年に入り、また同じような質疑がなされないこと、そして、議論されたとしても、一歩進んだ中でさらなる充実に向けてどうするかということをぜひ議論できるように、今後の支援体制の強化を要望して、私からの質問を終わります。 ◆林家とんでん平 委員  私からは、重度障がい者施策の中の重度訪問介護について伺ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。  重度の障がいのある方が地域で自分らしい生活を営むためには、居宅でのホームヘルパー等によります1対1の支援が欠かせません。我が会派では、重度身体障がい者の自立促進のため、これまでホームヘルプサービスの拡充に向けた提言をずっと重ねてまいりました。そこで、4月から、重度心身障がい者について、重度訪問介護の支給時間数が拡大されました。これによりまして、重度訪問介護と生活介護、デイサービスの日中活動サービスを組み合わせて、1日24時間、1カ月720時間の公的介護体制が確保されることとなり、近ごろ、より安心して地域で暮らせるようになったという声が聞かれるようになってまいりました。  もう一方、ご家族と同居している方については、これまで家族介護が前提となって、家族に介護する人がいれば単身で生活している方と比べて公的支援が十分でない仕組みになっております。私は、これがどうにかならないものかとずっと感じておりました。  なぜかというと、重度の障がいを持った方が20歳になったとします。毎日の生活はどんなことになるか。まずは、食の介護です。これにはもしかしたら2次調理もあるかもしれません。そして、入浴介護、排せつもあるでしょう。夜中になると体位交換もしなければなりません。2時間ぐらいずつ体を動かさなかったら、床ずれが出てくると体に支障を来してきます。家族にとってみると、買い物もしなければなりません。1日24時間、そういう目の離せない生活となります。そして、1年365日、20歳ですから、20年もそういう気が休まることのない生活となるわけです。20歳になってやっと大人の仲間入りをした、しかし、自分は年をとっていく、今後、この子をどうしたらいいのだろう、そういう思いがだんだん大きくなっていくわけでございます。  しかし、今回の制度の充実に当たっては、地域で単身生活を営んでいる方だけではなく、ご家族と同居している方についても支給時間の見直しが図られました。このことによって、ご家族と同居していたとしても、重度訪問介護によって夜間の見守りを含めた長時間の介護時間が確保されました。このことは、親元で暮らす重度の障がいのある方やそのご家族にとって、それぞれの自立を確立する上で大きく前進が図られたものと本当に評価しております。  そこで、質問です。  重度訪問介護の支給時間数について、障がいの原因、疾患などにとらわれることなく、本人の障がいの状態などに基づき、適切に支給決定を行うよう運用される必要がありますが、どのような障がいの方が、何人、支給時間数が拡大されたのか、また、ご家族と同居されている方は何人いるのか、今回の制度充実に伴う支給時間数拡大の状況をお伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  重度訪問介護の制度充実に伴う時間数の拡大の状況についてでございます。  まず、重度訪問介護の支給時間が拡大した方につきましては、7月現在で93名となっております。これは、重度訪問介護の支給決定者が合計で311名おられますが、この29.9%に及んでおり、約3割の方の時間数が延びました。  障がいの原因別で見てまいりますと、脳性麻痺の方が19名、進行性の筋萎縮症の方が17名、そのほか、脳出血等の脳血管疾患、パーキンソン等の神経疾患、脊髄損傷などが57名でございまして、さまざまな疾患の方について身体状況などに応じた支援時間数の拡大が図られていると考えております。  今回の制度充実につきましては、障がいの状況に応じて基準で支給時間を決めておりますが、月に最大120時間の増加の場合と210時間の増加という二つがございます。細かく申しますと、単身の場合と家族の場合で違いがございますが、基本的にはこの時間数の増がございます。それぞれの対象者について申し上げますと、120時間の増加が70名、210時間の増加が23名でございます。このうち、ご家族と同居の方につきましては34名、対象者全体の3分の1以上になってございます。 ◆林家とんでん平 委員  私は、以前から、障がいの原因や疾患にとらわれることなく、ぜひいろいろやってほしいということをずっと言ってまいりました。今、数をお聞きしまして、とらわれることなくという思いでやっていただいていると思うのですが、随分とふえたという思いでいます。介護時間数の不足を感じてきた方々は、今まで以上に地域で安心暮らすことができるようになったと思います。  しかし、単に介護時間数が確保されるだけではなく、希望する曜日や時間帯にヘルパーの派遣を受けられることが極めて重要であります。ところが、私のもとに、利用者のご家族から、この4月を境に100時間以上も支給時間数が増加したが、事業所のヘルパー派遣体制が整っていなくて、必ずしも希望する曜日や時間帯にヘルパー派遣を受けられない場合があるという声も聞こえてまいりました。  そこで、質問でございますが、今回の制度充実により、どのように利用者の暮らしの向上が図られたと考えているか、また、希望する曜日や時間帯にヘルパー派遣が受けられなかった利用者にどう支援していくのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、利用者の暮らしの向上に係る認識と、ヘルパーの派遣時間の日時について事業所と調整がつかなかった場合の対応、この2点のご質問かと思います。  まず、1点目の利用者の暮らしの向上に係る認識でございます。  今回の制度の充実によりまして、利用者からは、体調が悪いときには、無理に通所施設に通わず、自宅で介助を受けられることができるようになった、また、同居している親の負担が減り、気兼ねなく暮らせるようになったなどの声が寄せられております。これまで以上に、一人一人の身体状況に合わせた暮らしの支援とご家族の介護負担の軽減が図られたものというふうに考えております。  2点目のヘルパーの派遣について、事業所との調整が整わなかった場合、利用者への支援はどのようになっているかということでございます。  まず、利用者の方につきましては、他のヘルパー事業所や福祉サービスの利用支援に当たる相談支援事業所から情報提供を行っております。その上で、一人一人の障がいの状況やご希望などを踏まえながら、地域の介護事業所が活用できる、札幌市で行っておりますパーソナルアシスタンス制度の紹介なども行っております。これらを通じまして、できる限りご本人の意向に即した介助が受けられるような取り組みで支えていきたいと考えております。  あわせまして、ヘルパー事業所に対しましては、札幌市といたしましても、一層の制度の周知等を進めまして、必要となる人員の確保が図られるように働きかけてまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  今回の制度充実によって、我が会派が長年取り組んできた重度身体障がい者に対するホームヘルプサービスの充実については一定の前進が図られたものと、とても評価しております。札幌市としても、利用者が希望する曜日、時間帯にしっかりヘルパー等による介助を受けられることができるように、引き続き利用者支援を強化していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、一方、ことし4月に障害者総合支援法が施行されたことに伴って、来年4月から、これまで重度の肢体不自由者に限られていた重度訪問介護の対象者が、障がい種別を問わず、日常生活全般に常時の支援を要する方に拡大されることとなります。重度訪問介護に関しては、ほかのホームヘルプサービスとは少し異なりまして、身体介護や家事援助といった支援内容についての区分がなく、暮らしの状況に応じた介護が提供できるサービスとされております。また、直接的な身体介護が発生しない時間帯についても、随時の体位交換や水分補給などに備えて、ヘルパーが寄り添って待機する、いわゆる見守りについても支援の対象としていることが特徴であります。したがって、拡大の対象者としては、強度の行動障がいのある方のように、暮らしの状況に応じた弾力的なサービス提供や見守りなど、長時間にわたる支援が必要な方が想定されてきます。  こういった点を踏まえまして、来年4月の制度改正に向けては、重度身体障がいのある方に対するホームヘルプサービスと同様、知的障がい、精神障がいのある方に対しても生活実態に即したしっかりとした制度を確立してほしいと思います。とりわけ、支給基準を設けるに当たっては、利用者の障がいの特性や生活環境を十分に反映したものとする必要があると考えます。  そこで、質問ですが、知的障がい、精神障がいのある方への重度訪問介護の対象拡大に向けまして、札幌市ではどのように制度の準備を進めていくのか、お伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  重度訪問介護の対象拡大に伴う札幌市の準備状況でございます。  現在、国におきまして、具体的な対象者増を初めとした詳細の検討がなされておりまして、間もなく終了するかと思っております。私どもといたしましては、まず、この制度設計がどうなっていくのか、この推移に注目しているところでございます。一方では、札幌市としましても、国の動きに先立ちまして、家族会や障がい者の当事者団体、そして、障がい福祉サービス事業者、相談支援事業所の協力をいただきまして、強度の行動障がいのある方8名について私ども障がい福祉課の職員が家庭訪問を行うことを8月から実施しておりまして、日ごろの支援内容や生活状況などについて調査を行ってございます。  札幌市といたしましては、引き続き、これら関係機関のご協力をいただきながら、重度の知的障がい、精神障がいのある方々についても、心身の状況などに応じたきめ細やかな支援を行うことができるよう、生活実態の把握により努めまして制度の準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  8月から動き始めているとは言いますけれども、あと半年ですね。これはずっと早くなってくるのではないかと思うのです。ですから、先ほどのやりとりの中で、制度はできたけれども、利用できない状況があったと思うのですが、ぜひ、そういうことのないように準備を進めていただきたいと思います。  一番必要な部分は、今、部長がお話ししたとおり、それぞれの生活実態に即したしっかりとした制度ということですので、札幌市はそのことを受けとめて確立していただきたいことを求めて、私の質問を終わりたいと思います。 ◆木村彰男 委員  私は、一般財団法人さっぽろシュリーの業務実績とその評価について、2点目として、中央図書館元気カフェの予算流用についてお伺いします。  まず、1点目の一般財団法人さっぽろシュリーの業務実績でございます。  平成24年度の資料をいただいておりまして、貸し付けを行った後について見せていただきました。当初の経営改善計画が片方にあり、その後、追尾する形で24年度の実績があるわけでございますが、私が見た限りでは、過年度と同じように、冬場を前にした10月、11月、12月が売り上げの大きな柱になっておりまして、それから下降をたどります。したがって、年間的に見ると恒常的な売り上げや業績はなかなか実現しておりません。要するに、変わっていないという私の認識ですが、間違っていたら言ってくださいね。結局のところ、財政上の黒字を確保するために何をなされたかというと、働いていらっしゃる方の賃金カット、もしくは何カ月か分で出していた賞与を少し減らすという形で黒字化していくというふうなストーリーであったかと思います。  そこでまず、平成24年度の黒字は実現しましたでしょうか。黒字目標額300万円は達成しましたでしょうか。もし達成していないとすれば、それはなぜだったのか、お聞かせください。 ◎天田 障がい保健福祉部長  さっぽろシュリーの昨年度の事業収支状況についてご説明させていただきます。  まず、昨年度の事業収支につきましては、事業活動収入としては1億5,640万円、事業活動支出としては1億5,490万円、事業収支として約160万円の黒字を見込んだところでございます。これが予算でございます。しかしながら、事業収入が計画よりも下回ることが年度途中で見込まれたこともございまして、雇用を第一に守ることを考え、身を切る思いになりましたが、賞与等の人件費を削減するなどの費用の抑制策を行ったほか、増収策として新たな委託販売の取り入れなどの工夫を行ってございます。その結果といたしまして、事業収支といたしましては約680万円の黒字となってございます。  経営改善計画を着実に実施することが法人の安定運営に資すると考えておりますが、経営環境は厳しいものがございますので、その時々に応じた工夫を続けていくことだろうと思います。 ◆木村彰男 委員  まず第一に、障がいを持った方々の雇用を守り切ることがなされないのであれば、この事業をやる意味は全くないわけであります。したがいまして、この事業をやる上では、この方々やこの方々の家族の生活を維持せんとするために札幌市が貸し付けをしてこの事業を継続していく意味を見出しているわけであります。  しかし、先ほどから部長がお話になっておりますように、経営を改善していくという意味において、現状のビジネスモデルを続けていく限りにおいては、黒字に好転させるといいますか、結局のところ、何をやっているかというと、採算の合わないような店舗をスクラップ・アンド・ビルドといいますか、合理化して、なるべく集中して事業を成り立たせていくような方法をとっているわけです。それは一つのやり方で、私はいいと思うのですけれども、今後とも本当に長くこの事業を運営していくときに、この事業の中で、一般財団法人としての組織のありようといいますか、このことも踏まえた組織そのものの今後のありよう――これがあるために一般の雇用や賃金体系もほかの組織と違う形になっていることも十分認識してはいるのですよ。しかし、今後、再びこのような貸し付けを起こさないためには、このような組織形態のあり方、もしくはこのような事業形態のあり方そのものを検討し直すとか見直すというおつもりが今の段階であるかどうか。これは、局長にお伺いしようと思いますが、いかがでございましょうか。 ◎瀬川 障がい保健福祉担当局長  さっぽろシュリーにつきましては、事業自体、なかなか収入が伸び悩む中、今、新規事業の開発などにもいろいろ取り組んでいるところでございます。私としては、そういう自主的な経営改善の努力をもう少し見てみたいと思っております。組織改善という大きな話につきましては、今の段階ではまだ考えているところではございません。 ◆木村彰男 委員  もちろん、そういうことだと思います。今のまま見守り続けて、どのような形で推移していくかを見ていき、貸し付けたお金がきちんと返ってくるように、その予定が実行されていくことがまず第一義的であると思います。そういう中で、ことしはまだわかりませんが、もう10月でございますから、見通しもほとんど出ている状況かと思います。  そこで、私が申し上げた当初の300万円以上の目標に対して、今、部長が言われたように昨年度は黒字化しましたけれども、今の段階で、ことしの見通しは昨年度の黒字幅を上回るというふうにお考えになっていますか、まずお聞かせください。 ◎天田 障がい保健福祉部長  事業収支につきましては、先ほど申し上げましたように、経費抑制のほか、増収をどう図っていくかという2面を考えていかなければなりません。その上で、現在、地下鉄大通駅コンコース内に新しい店舗をつくりたいと考えており、これが新しいフラッグショップになると思います。そういった面では、やはり収益性の高い店舗をいかにつくれるかということも法人として検討しており、今年度に実施していくということで理事会の承認を得て、準備をしております。  さらには、増収策につきましては、小さなものを積み重ねながらこつこつというところもございます。そういった面では、昨年度は680万円の黒字とご説明いたしましたが、今年度も引き続き確保するのは非常に厳しいと思います。ただ、数年後には償還が再開いたしますので、単年度収支で考えますと、少なくともその償還財源として毎年150万円につきましては確保するということは、法人として最大限努力していただきたいと考えております。また、私も理事の一人ですので、そういった面で経営参画をさせていただきたいと思います。 ◆木村彰男 委員  今、貸し付けたお金を返していただいておりませんが、これを返すことになりますと、私は、正直に言いまして大変厳しいなという見方です。違っていたら言ってくださいね。  先ほどから言っているように、私は物販をやらないとだめだと思っています。何回も言っていますが、修理だけに頼っているような経営体制については、侍商法といいますか、これは皆様方のところになかなか伝わっていないのだと思います。やはり、意識改革をやって、新しい店舗で売り上げを上げていくようなご努力をなされないと、来年もまた同じことだと言わざるを得ません。ここのところは、組織の経営を担っている方にきちんとお伝えして、厳しく聞いている議員もいるということをしっかりと申し上げていただきたいことを最後に要望します。  2番目に、中央図書館の元気カフェについては、都市局でもやりましたので、簡単に終わらせます。  この元気カフェについては、本庁でやった予算がベースになっておりました。そして、予算化したときには、面積が若干違ったということで少し削られておりますけれども、ほぼ想定額に近い額で予算化されておりました。逆に、設計事務関係の費用につきましては、100万円ですか、基本計画の策定分を追加する形で予算を膨らませていただいたということを財政からのご報告で伺っております。この意味では、予算の流用などは必要ないということで終結し、決算特別委員会で委員から何かを言われる筋合いのものではなかったはずであります。  ところが、予算執行の段階で、当時、都市局が見ていたものより工事費が低くおさまったのでございますが、結局、足が出てしまいました。そのために、当初予定していたロビーのテーブルや椅子、オープニングのイベントをする費用やポスター等々の制作費が、ショートするといいますか、はっきり言えば足りなくなったような次第がこの事案の流れだと私はお聞きしております。  下の元気カフェを見て、中央図書館の元気カフェを見ると明白でございます。これは、この間も言いましたけれども、坪200万円もかかっております。それがいいかどうかは置いておきまして、どうしてこのような予算不足が生じたときに、例えば店舗の部分の費用やオープニングのイベントグッズを縮小させて、予算の流用をしなくてもいいように内部でなぜできなかったのか、お聞かせください。 ◎天田 障がい保健福祉部長  中央図書館元気カフェの整備に関することでございますが、決算額が予算額と比べて増額になっている、これはどういう理由かというお尋ねかと思います。  まず、元気カフェの整備を進めるに当たりましては、当初は、店舗部分の整備を中心に考えまして、ロビー整備につきましては最小限の経費を予算の中に盛り込んだということでございます。その後、この整備につきましては、基本設計、実施設計を分けるのではなく、一体的に年度内に実施していくために基本設計費として100万円を追加していただいているわけですが、この経費をもって、利用者でもある市立大学の学生らの若い人の声を入れながら、どういった店舗やレイアウトにしていくかについて検討させていただきました。そして、このワークショップの中で、本庁舎の元気カフェと同様に、来館者にとって利用しやすい空間とすべきというご意見が寄せられました。もう一つは、障がい者施設でつくられているものを中央図書館のカフェに飾るべきではないかというご意見をいただきました。それらを踏まえまして、本庁舎の元気カフェと同様に、全く同じものではございませんが、趣旨としては、店舗とロビーを一体的な空間として、そこに配置するテーブルと椅子については、最終的には専門の家具メーカーが製作することになりますけれども、そのプロセスの中に障がい者を参加させていく形でロビー整備を進めることにしたものでございます。そういった面では、利用者の利便性を向上させるため、本庁舎の元気カフェとほぼ同様の考え方に基づいてロビー整備を行ったものでございます。  結果といたしましては、工事による差金では賄い切れず、460万円を既往の予算の中から節約して充当しましたが、このことによって中央図書館の1階の空間については市民が利用しやすい空間としてつくることができたのではないかと考えております。 ◆木村彰男 委員  私も見せていただいておりまして、利用させていただいておりますので、今、部長がおっしゃった意味はよくわかります。  ただ、はっきり言いますけれども、あそこのロビーには旧来の椅子があったのですよ、座れるようなものも。ですから、当面はそれに座って休んでいただいて――食事をしている人も実際にいるのです。お弁当というか、おにぎりみたいなものを食べているとか、行かれた人はわかりますけれどもね。今はきれいになっていますから、食べにくいというか、そういうところはありました。私は、民間にいたせいなのか、もし予算が足りなかったら、足りない枠の中でやるのが普通で、拡充したい、よくしていくというのであれば、予算の流用をせず――財政部の方とお話をしていましたら、流用は事業部の判断でできる範囲のものだったという結論にはなっておりました。しかし、これが大きければ、こちらの局だけではなくて、財政部の方も交えてとか、そういう大きな話になっていくと思うわけでございます。それは、そこまで至っていなかったからいいではないかという結論なのかもしれません。  しかし、私は、その辺は、決算特別委員会でございますから、そういうことを言う人がいないといけないと思って言っているだけですけれども、やはり、きちんとした予算の執行及び財政の規律というのか、全部、こういうことが続けば、何のために予算をつくって決算委員会をやっているのかがわからないわけであります。この辺は厳に戒めていただくことを私の要望としまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○細川正人 委員長  以上で、第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後6時
          再 開 午後6時20分     ―――――――――――――― ○細川正人 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  手短にやります。  実は、私は、同じ地区で2度経験したのですが、白石の本郷地区で、きのう、朝10時ころ、私の携帯電話に商店街の専務理事から電話が来て、民生委員が困っているからすぐに来てくれと言われて行きました。どうしたかといったら、生活保護を受けられていた方がいて、7月までは自分で生活していて、8月になってどうしてもお金がなくなり、1カ月、生活保護を受けたのですが、その方の住んでいるマンションは三十数軒ある中で一番大きな4部屋のマンションでした。行ってみたら、非常に資源を大事にする方で、どこで横になってのいたのか、立って寝ていたのかと思うぐらい四つの部屋いっぱいに物が詰まっておりました。その方は9月の中過ぎに引っ越ししたのですが、大家さんは直して次に貸そうとしても、その荷物は所有者がいるからできないと。入っていた方の息子がたまたまいろいろな手帳をお持ちになっている方で、本人が通っている作業所の責任者とそこの健常の人2人が来て、3人で1週間ぐらいかかって少しは片づけたけれども、ほとんどのものが残っていました。そこで、私は白石の保健福祉部長に電話をしまして、何とか方法はないだろうかと言ったら、生活保護費では何にもできません、自分の責任でやってくださいということでした。そのときに、私は清掃事務所などと相談して何かできないかと聞いても、できないということでした。そこで、加藤局長に電話しました。局長は、早速、手配してくれまして、白石の保護課から係長を責任者にして4人の方、そして、清掃事務所からは3人の方、また、大家さんが家を直すということなので、その建築会社の人だとか、地域にも声をかけてボランティアの人に頼んで12名が集まりました。私は、そこで10時から4時まで号令係をやりました。どのぐらいあったかといったら、パッカー車に3台半ぐらいありました。3台は運んでくれたのですが、遅くなって、あとはごみステーションに置いておいてくれということで、半台分ぐらいを出して、けさ、片づけてくれたはずです。  こういうことは本郷地区で2回目ですけれども、物を大切にする方は世の中にいます。しかし、そういう方が出た後、手がつけられないでいるとなったら大家さんも困るのです。そういう場合に、やっぱり、各区の保健福祉部長の権限の中で清掃事務所などと連携をとって速やかに処理するような体制をつくるべきだと思うのです。この辺について、きのうのきょうですが、またほかにもあるかもしれませんから、どのように取り組みを進めておられるか、その点について見解を求めます。 ◎中村 生活保護担当部長  転居の際の私物の処理につきましては、原則として、家主と借り主及び連帯保証人との間の賃貸借契約によるものでございまして、このような場合に処理費用を保護費で支給することはできないこととなっております。例外といたしまして、単身者の方が入院するとか入所する、そして、もうそこに戻ってこないということであれば家財処分料というものが一時扶助であります。ただ、今回は家族の方で単なる引っ越しということでございますので、保護費での支出はないことになります。したがいまして、通常、保護課では、あくまでも当事者間で解決を図るように指導・助言を図っているところであります。また、仮に保護課が関与するといたしましても、個人の所有物、ご本人が資源とか資産だとおっしゃっているものを、役所で一概にごみだと決めつけることは甚だ難しいものがあり、一方的に処分することは公権力による財産の処分に当たる可能性もありまして、非常に困難な問題であると認識しております。  今後とも、松浦委員がおっしゃいますように、このような事態は十分に想定されておりますが、我々の関与がどの程度必要なのか、解決すべき問題が多々ありますことから、今しばらく検討のお時間をいただきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  きのう、当然だという意見があったのですけれども、健常者であれば、私はこんなことを言いません。お父さんは、それまではちゃんと働いて収入があり、きちんと家賃を払って4LKの大きなマンションを借りていました。しかし、脳梗塞で倒れて、後遺症で判断能力が余りありません。お母さんも、やっぱり判断能力の病にかかって入院されています。一番頼りになっている息子も、判断能力のところで手帳をお持ちになっていて、そして、もう一つの手帳も持っているということなのですね。これは、白石の保護課ではわかっているわけですよ。そうしたら、こういう問題が発生したら、基本的には、健常であれば大家と店子との関係になるのです。  しかし、なぜ、私は、きのう、この問題にそうやって一日を費やして解決に手をかしたかといったら、本来的に札幌市が保護している方です。保護している方で、自分たちの家族の中でそういうことを処理できる能力を持ち合わせていない。そういうことになれば、札幌市がお金で業者を雇ってどうするか、財産権の問題をどうするかなど、いろいろな問題がありますが、この場合の解決方法として、民生委員がおりますね。これは民間の人で、保護を受けている方のお世話をする方ですが、民生委員などがそういう人との対応に当たって市で清掃事務所や保護課の方などと人的に協力すれば、一銭も外にお金を出さなくてもきのうのように解決できるわけです。  いろいろな事例がありますけれども、こういう場合の事例について、こう対処するというものをきちっとつくって、一々、保健福祉局長に要請しなくても――局長はどういうふうにしたかといったら、中村部長のところへ行って、中村部長から環境局の粟崎清掃事業担当部長のところへ行って、さらに中村部長から白石区の部長のところへ行って、部長は課長のところへ行って、粟崎清掃事業担当部長は白石区の所管の課長に話して、白石清掃事務所長に話して、そういう手順で、トーナメント方式でずっと下のほうまでいって、いざ、出動までにかなりの時間がかかりました。そういうようなことで、やらなければならないことにはいろいろな事例があるわけですから、この事例ならこういうふうに対応すると、まさに手引ですよ。やっぱりこういうものをきちんとつくって、それぞれの区の段階で対応できるように速やかにすべきだと私は思います。そして、民生委員が中に入ることによって、民生委員は、見守りを含めて、保護を受けておられる方を日常的に何かとお世話をしていますから実情を一番わかっています。そういう方が中に入り、これはどうするの、あれはどうするのと話していけばいいのです。  きのうだって、最初は相当な数の荷物を引っ越すと言って横によけていました。そこで、私は、一生懸命に作業をしながら仲よくなって、あんた、物を大事にするのはすばらしい、これからもまたたまるよ、引っ越していったらその付近にいろいろないい資源がいっぱいあるから、これはこれで一回見切りをつけて、また新しいものを大事に集めたらいいのではないかと言ったら、うんと言うのですよ。物わかりがいいのです。そういうことで、きのうは6時間かかってパッカー車で3台半分を処理しましたけれども、やっぱり、そういうような人たちがいらっしゃるわけですから、区の段階で対応できる手引を早急につくって徹底していただきたいと思うのです。  一々、局長まで煩わせるとなったら大変だから、どうですか、加藤局長、そういう手引をつくってすぐに対応できるようにしてくださいよ。いかがですか。 ◎加藤 保健福祉局長  昨日、私は、お電話をいただいたときにお聞きした内容の中で、まず、障がいを持っている方であること、そして、今、委員がおっしゃっていましたが、民生委員も含めて、地域の方々もその方に対して過去から一生懸命にかかわっていて一生懸命に片づけに努力されていること、そして、ご本人には、それを自分のものとしてではなく、もう処分していいと最終的に確認もさせていただいたところでございます。  委員のおっしゃることで、マニュアルがあってどうのこうのとすればいいわけでございますが、今回の事柄につきましては、私どもはあくまでも緊急避難的な処置だと考えているところでございまして、こういう緊急避難的な措置について全てをマニュアル化することも難しい話でございます。逆に言うと、マニュアル化することによってできない部分というか、本当はやらなければならないこともマニュアルに載っていないということでできないこともあろうかと思います。  我々現場にいる職員につきましては、今、委員からもおっしゃっていただいたように、若いケースワーカーが4人と係長が1人出ました。そして、現場にパッカー車を回すこと自体も、清掃もごみ収集で組んでいるコースがありますから、その中でどれを回したらいいのかという判断を即座にしなければなりません。そういう中でのことでございまして、マニュアルがあったから早くできる、何ができないということではないと思います。  ただ、我々としては、これからも、もし現場において何らかの緊急避難的な対応をしなければならないときがあれば、やはり、保健福祉部というか、福祉に携わる職員として市民のために一生懸命努力していきたい、このように考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  手引書をつくったらそれを全部守らなければならないということではないのです。要は、区の保健福祉部長にそういう話が行ったときに、きのう、局長が対応したようなことが臨機応変にできる体制さえあればいいのです。区の保健福祉部長に聞いたら、これは生活保護費では出しようがありませんと。前のときにもやっぱり同じ答えでした。それで、前のときにはどうしたかといったら、商店街振興組合が持っているトラックなどを使って始末をしたという経緯があったのです。  法律的には福祉事務所ですけれども、札幌市の場合には各区の保健福祉部長となっていまして、この部長がその話を受けたときに、きのう、局長がとったようなことを、白石区には清掃事務所もあるわけですから、厚別区と白石区は一緒ですが、現場同士で連携をとって緊急対応できるように、そういう判断をちゃんとしてほしいと思っているのです。  そういう答えしか返ってこないから、少しさかのぼって言うと、かつて、北区できちんとした扱いをしないでガソリンのチケットを盗まれたとか、いろいろなことがありました。あのとき、研修会をやりましたが、私はがっかりしたのですよ。どんな方がどんな研修をするかと思ったら、林家三平さんの奥さんが来て、私は港区で区役所に大したよくしてもらっていますと言うのですよ。林家さんの奥さんみたいな有名人に粗末な扱いなんかするわけがないでしょう。言ったら、途端にしゃべられるもの。あのとき、1,000人が集まっていましたが、手紙が来ていました。誰かといったら、この実寮という福祉法人を主宰している加藤さんです。あの方から手紙が来て、何と言われていたかというと、以前の福祉関係の市役所の幹部の皆さんは、金がなくてできなくても現場に来て一緒に悩んだ、今の人たちは現場に足も運ばない、もっと原点に立ち返るべきではないかという手紙が朗読されました。その後、私は加藤さんに何回か会いましたが、同じことを言っておりました。  ぜひ、各区の保健福祉部長は、そういう問題があったときに、局長がとってくれたような臨機応変な対応をきちんととれるように、特に保健福祉部長なり保護課長にはしっかりと教育してください。このことを求めます。何もマニュアルをつくることは本来ではありません。そんなものは要らないのです。臨機応変にできる能力さえ持っていれば何にも要らないのですよ。したがって、その教育を各部長、課長にきちっとしてください。そのことを求めて、終わります。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、生活保護受給者に対する就労支援についてお伺いしたいと思います。  生活保護については、多くの市民の方々が関心をお持ちでございます。ほんの一部の声ですけれども、例えば、給付が適正なのか、医療費に無駄が多いのではないか、自立を阻害して甘えを生じさせるのではないか、本当に必要な方々が受給されているかなど、厳しい声が多く聞かれます。逆に、受給者の方からは、生活に余裕がない、保護費が減額されてますます大変だ、保護受給者は生きていく権利すらないのかなどの困惑の声も多々聞かれるところです。このように、双方の考え方に大きな隔たりがあると思います。一方で、生活保護などの社会保障制度の持続可能性については、多くの方が懸念されております。つまり、今後、公助の部分を拡大するには大きな財源が必要で、拡充はそれほど大きくできないと思います。逆に、適正化などが求められるというふうに思います。また、自助努力を拡大できるかといえば、高齢化や慢性疾患の増大、さらには、高齢世帯や単身高齢世帯の増加によって自助の能力は低下している状況にあると思います。  さきの國安委員に続きまして、私も前置きをさせていただきますけれども、公明党では新しい福祉というものを主張させていただいております。これまで、福祉とは、弱者に対する金銭やサービスの提供を中心に考えられてきましたが、新しい福祉とは、人々の支え合う力を総合的に捉えたものです。わかりやすくベクトルで例えますと、旧来の福祉は強者から弱者への一方方向のベクトルであったものを、新しい福祉では人と人との間で双方向のベクトルとして示され、弱者にも他者に与える力をよみがえらせることであり、エンパワーメントとも言えると思います。  社会保障の持続可能性を高めるために、何よりも安定した雇用の拡大であり、賃金水準の引き上げなど経済の安定的な成長が重要でありますが、それと同時に、社会保障のサービスについては、生きる力、社会に参加、貢献する力をよみがえらせる内容を加えていくこと、また、支える方法や支え手についても、金銭やサービスの提供のみならず、献身的なボランティア活動などの促進により、支える側も支えられる側もともに力を与えられるような支え合う力の強化を模索していくべきと考えます。  そこで、難しい課題であります生活保護の課題解決のために、本市の就労支援に絞ってお伺いしたいと思います。  前置きが長くなりまして、申しわけございません。  本市を取り巻く雇用情勢は、ご承知の方も多いと思いますが、ことし7月の有効求人倍率は0.67倍で持ち直しの動きが続いておりますけれども、北海道の有効求人倍率0.70倍、全国の有効求人倍率0.80倍であるのと比較しますと、依然として厳しく、長引く不況の中で就職できない期間が全体的に長くなる状況にあります。また、本市の保護の動向は、顕著な増加傾向はおさまったものの、平成25年8月現在、被保護世帯数5万1,980世帯、被保護人員7万3,929人、保護率は38.2パーミルと依然として高い水準になっています。  また、ここ数年、生活保護世帯においては、稼働年齢層を含むその他世帯の増加が顕著ですが、これらの中には、やむなく保護受給者となり、仕事につきたくてもなかなか仕事につけなかったり、就労意欲がなくなってしまった方々がいらっしゃいます。こうした方々に対しては、個々の状況に応じて、就労意欲があり、自立を目指す人が早期に自立できるように、また、就労することに自信を持てなくなっている人には就労意欲を喚起させることができるように、対象者に合わせたきめ細やかな就労支援を行うことが重要だと考えております。  そこで、お伺いいたします。  稼働年齢層を含むその他世帯が増加傾向にある中で、保護受給者に対する就労支援については一層の強化を図るべきだと考えますが、現在、札幌市ではどのような就労支援を行っているのか、お伺いいたします。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護受給者に対する就労支援の現在の状況についてでございます。  札幌市の就労支援事業につきましては、個々の対象者の就労意欲や稼働阻害要因等の状況を十分考慮した上で勤労意欲を高めるような支援を行っているところであり、一定の効果を果たしているというふうに考えております。具体的には、一般的な求職活動が可能な方に対しては、ケースワーカーとともに、各区に配置している全市30名の就労支援相談員が連携して就労支援を行い、また、ハローワークと連携して実施している生活保護受給者等就労自立促進事業においては、ハローワークと札幌市の役割分担を明確化した上で一般的な就労支援体制づくりに努めているところでございます。また、さまざまな事情から一般的な求職活動が困難な方に対しましては、継続的なカウンセリングを実施し、勤労意欲を喚起させ、就職するまで一貫して就労支援を行うカウンセリング等就労支援委託事業を実施しております。また、就労ボランティア体験事業では、ボランティア活動等の体験をすることで、就労に必要な基礎能力を身につけ、社会参加意識と就労意欲を向上させ、自立した生活を送ることを目指し、事業者と連携を図りながら生活保護受給者の自立への意識向上につながるための支援を進めているところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  ただいまのご答弁で、さまざまな就労支援を行っていただいていることは理解いたしました。今後、さらにハローワークや事業者との連携を図って効果的に就労支援を行っていただきたいというふうに思います。  次に、先ほどの答弁にありました直ちに就労できない方たちに対して行っている就労ボランティア事業についてお伺いしたいと思います。  何度も繰り返し応募しても就職できない状況が続くと、求職活動に取り組む意欲をなくしてしまいます。また、社会からの孤立感も強く感じ、ますます就職が遠のく状況になっていきます。また、長期間、未就労だった方にとっては、一般的な求職活動が困難な場合があります。そのような方たちに対する就労支援策が必要とされていることから、先ほどご答弁にあった就労ボランティア体験事業については今後もその役割が重要であると考えています。  就労ボランティア体験事業については、平成22年度に厚別区でモデル事業として開始した後、平成24年度には白石区と豊平区を加えて3区で実施し、今年度からは中央区、南区、西区、手稲区を加えて現在7区で実施されております。また、来年度には10区に事業拡大する予定であることも伺っております。  そこで、お伺いいたしますけれども、就労ボランティア体験事業についての実施状況及び事業を通じての課題をどのように考えているのか、お伺いいたします。  さらには、この事業をどのように評価しているのかについてもあわせてお伺いいたします。 ◎中村 生活保護担当部長  就労ボランティア体験事業の現在の実施状況についてでございます。  ことし9月時点の参加登録者数は、7区を合わせて174人でありまして、今までに21名の方が就労を実現しているところでございます。また、受け入れ事業所は、各区とも10カ所を超えており、介護施設や高齢者施設等に加え、市民農園での農作業等も行っている区もございます。それぞれの受け入れ先事業所からは、活動が継続するにつれ、好意的な評価をいただいているところでございます。  次に、事業を通じての課題についてでございます。  参加者のさまざまな状況に対応したボランティア活動を可能とするためにも、多種多様な協力事業者の開拓が必要であると認識しているところでございます。また、この事業によって高まった社会につながろうという意欲を就労に対する意欲の向上につないでいくことも大きな課題であると認識しておりまして、そのため、就労支援相談員やハローワークを活用しながら支援を行うとともに、就職に向けた知識や技能を身につけるためのパソコン操作セミナーや就労準備セミナー等をより一層効果的なものとなるよう、本事業を実施している事業者と連携して進めていきたいと考えております。  さらに、この事業に対する評価についてでございます。  平成23年度から、参加者と協力事業者の方と保護課のケースワーカーが一堂に会して情報交換を行う交流会を行っております。その交流会におきまして、この事業に参加している方たちから、自分に自信を持つことができた、生活習慣が大きく改善された、資格取得に向けて頑張りたい等、多くの前向きな発言があり、参加者がこの活動を通じてコミュニケーション能力を高め、徐々に自信を取り戻していることが確認されました。私も豊平区のほうに参加させていただきまして、非常に感動したところでございます。  そうした観点から、本事業は有効に機能しているものと考えているところでございまして、今後、さらに多種多様な協力事業者の拡充を行いながら実効性のある事業運営に努めてまいりたいと思っております。 ◆福田浩太郎 委員  この事業の実施状況、また課題、さらには評価については理解いたしました。  非常に重要な取り組みだと認識していただき、地道に努力していただいているとは思います。しかし、今のお話にもありましたように、先日、私は受給者の方とお話をしましたが、就労へはまだまだハードルが高いことから将来への不安がある、また、ボランティアに参加している方にも話を聞きますと、私は手稲区ですけれども、まだまだ参加者が少ないというような声も聞かれたところでございます。特に、中間就労については拡大していただく必要がある、まだまだ弱いと思いますので、今後、さらなる事業の拡大や多種多様な協力事業者の開拓等に努めて、保護受給者が社会の中で社会参加意識と就労意欲を高めることができるよう、そして、さきにご答弁いただいた就労支援策に結びつけていくように、受給者が自信を持って自立を図っていけるようお願いします。  また、こうした生きる力、社会に参加、貢献する力をよみがえらせることが求められる事業は、市役所全体、特に保健福祉局には多くあろうと私は思います。事業ごとの縦割りを超えて横の連携を進めていただき、局を挙げて支え合う力の強化に取り組んでいただきたいということを求めて、質問を終わります。 ◆坂本恭子 委員  私も、生活保護にかかわる問題、それから福祉灯油事業について、二つの質問をしたいと思います。  まず、福祉灯油について伺いたいと思います。  福祉灯油については、国、北海道の補助が入って、一般市町村は2分の1補助の中でそれぞれの自治体が市民を対象に支給しております。現金支給のところもあれば、現物相当の支給もありますが、今、灯油の価格が上昇している中で、市民からも福祉灯油については改めて実施してほしいという声が上がっております。  札幌市があったか応援資金を行ったときには、札幌市を入れて4市、それ以外の道内の自治体全てが福祉灯油の制度実施を行いました。ことしは、そのときの水準以上に灯油の価格が上がっております。代表質問の答弁では、安定しているという副市長の答弁があり、傍聴に来ていた方たちからはどよめきが聞こえたと私は思っています。  福祉灯油を実施すべきではないかと思いますし、あったか応援資金についても再度行うという決断が求められると思うのですが、この点についてはいかがか、改めて伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  最初に、あったか応援資金についてお答えさせていただきます。  あったか応援資金については、貸し付けを実施した平成19年度は、灯油の価格が10月の80円から12月には98円と2カ月で20円余り急騰し、翌年の平成20年8月には133円を超える急騰状態が続いたため、平成20年度も引き続いて貸し付けを実施したところでございます。現在、灯油価格につきましては、本年4月以降、90円台後半の価格ですが、安定的に推移しており、急激な高騰とはなっておりませんので、あったか応援資金の貸し付けを行う環境にはないと判断しております。  また、灯油購入費を現金で給付するいわゆる福祉灯油につきましては、実施に多額の経費を要する一方で、給付を受ける側にとっては、冬期間の暖房費のごく一部が補助されるにとどまり、効果が限定的であることから、実施については考えておりません。  石油価格の高騰は国民生活に広く影響を及ぼす問題でありますことから、札幌市といたしましては、価格と供給の安定対策について国や元売の事業者に対して要請を行う予定でございます。これと同時に、市民の方々へのエネルギー節約のアイデア提示やウオームシェアの推進について昨年に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  また、一時的に生活費に困窮された場合には、社会福祉協議会が実施しています生活福祉資金や緊急小口資金などの貸付金の制度を活用していただき、失業や病気などの理由で収入が減って生活に困窮する場合は生活保護や住宅支援給付事業の制度などによる支援をご利用いただければと思います。 ◆坂本恭子 委員  以前に行ったあったか応援資金のときの金額の推移をお話しされて、今は90円前半で急騰していないから行う環境にはないということでした。これから、年末、年度末に向けて、もちろん冬場ですから当然価格は上がっていくだろうと思いますけれども、急騰するような状態になったときにはあったか応援資金は行うという裏側の意味があるという理解でいいのでしょうか。  それから、福祉灯油についてですが、事務費などを含めると大体17億円ぐらいがかかるのかと思っています。効果が限定的であり、灯油価格の一部分しか補完できないということでしたけれども、その一部分でいいから出してくれ、現金給付をしてほしいというのが市民の声だと思います。私は、そこには率直に応えていくべきだと思います。  昨年度、2012年度に福祉灯油を実施したところは、原局の押さえだと133自治体となっていますが、道の補助を受けずに単独事業で行った自治体が18あります。ですから、札幌を除いた178のうち、151の自治体が福祉灯油の事業を行ったということであります。江別市は、オイルショックの時期からずっと継続しており、200リットルを当時の価格に置きかえて見舞金もつけて出しています。ですから、効果が限定的であるとか、価格の一部分しか補完しないということは、私は言いわけにしかならないと思います。市民が大変な思いをしているときですから、これは行うべきだと思います。  それから、何かがあったら生活福祉資金や緊急小口資金を活用してくださいというお話でした。前回のあったか応援資金は、返済が滞っている方たちもいらっしゃいます。これは、まさに生活困窮状態だと思うのです。こういう方たちは生活福祉資金を借りられますか。応急援護資金あるいは緊急小口資金を借りることができますか。できないでしょう。そういう方たちだからこそ、今、福祉灯油ということで、貸し付けではなく、給付をしていかなければいけないと思います。  そもそも、平成19年度、20年度に行われてきたあったか応援資金は、貸し付けではなく、給付を行えばよかったのです。そうしたら、今回だってこれらの制度も含めて活用できるのです。あるいは、再び福祉灯油に踏み出すことができるわけですから、私はこれをやるべきだと思います。  あくまでもやらないおつもりなのか、それとも急騰するような状況になったときには改めて考えるというお考えでいらっしゃるのか、伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  石油価格が上がりますと、灯油のみならず、ガソリンやプラスチックなど石油製品価格の上昇を招き、消費者物価も上昇することから、その影響は、低所得者のみならず、国民の一般生活に広く影響を及ぼすことになりまして、国において責任を持って対策に取り組むべき問題であると捉えております。物価が上昇し、いろいろな生活用品の価格が上昇している場合に、その費用の貸し付けについて札幌市が実施するかどうかを個別の物品の価格で一律に判断すべきではないというふうに考えております。 ◆坂本恭子 委員  国任せということですけれども、皆さんは、市民の一番近くにいて、市民のためにお仕事をなさっていらっしゃるんじゃないですか。そういうことを考えたときには、私は、しっかりと市民の窮状を見据えて、福祉灯油あるいはあったか応援資金、そして、今、貸し付けの対象にならないような人たちに対しても柔軟な対応をとっていくことが求められているというふうに思います。改めて、これらの制度について実施するという決断を求めたいと思います。  次に、生活保護の問題に移ります。  代表質問でも質問したところですけれども、審査請求についてです。  現時点で、北海道内で、生活保護基準が引き下げになったことについて、1,400件余りの審査請求が北海道に対して出されています。この1,400件余りの大半を札幌市民が出しています。この問題について、代表質問のときには、法にのっとって行われる当然の権利だと井上副市長はおっしゃいました。私どもの代表質問の再質問では、法にのっとってできる云々という請求という行為について質問したのではなく、その請求に至る生活保護受給者の気持ちにどのように寄り添っていくのか、思いをはせているのか、このことについて再質問、再々質問と伺いましたけれども、ここについては誠実な答弁が全くございませんでした。  改めて、伺います。  厳しい生活実態にあるから、そして、その基準額が引き下げられてしまったから審査請求をしている。これは、先ほどからも話がありましたが、社会的には生活保護を受給していることを公表するのは本当に勇気の要ることだと思います。社会的に物すごいバッシングを受けているからです。そういう中で、自分たちが生活保護を受給していることを公にして審査請求を行っているのは、本当に大変な決意だったと思うのですが、この点についていかがお考えなのか、改めて伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護基準につきましては、代表質問でもお答えいたしましたけれども、国が責任を持って決めるべきものでございまして、今回の見直しにつきましても社会保障審議会の生活保護基準部会において専門的見地から分析を行い、国会での審議を経て成立したものでございます。  そこで、基準に基づく保護決定に不服がある場合、60日以内に北海道知事に対して審査請求可能である旨、行政不服審査法に規定されておりまして、保護の決定通知書にその旨を教示しているところでもございます。今回の審査請求につきましても、法に定められた権利を適正に行使したものだと認識しているところでございます。 ◆坂本恭子 委員  極めて事務的な答弁だと言わざるを得ません。副市長が本会議場で答弁した中身と一切変わっていないということです。私どもは、そのときに、本当は市長に答弁を求めたけれども、市長は最後まで手を挙げませんでした。そこで、井上副市長が答弁しました。繰り返しになりますがと言って、今、中村部長がお話しした中身と同じ答弁をしていました。  私は、議会に対して、議員に対して、私たちは市民から負託を受けてこの場に立っているわけですから、そこに対してきちんと誠実に向き合って答弁しないということは、市民に対して不誠実な行為をしていると思われても仕方ないと思います。私は、この点については非常に遺憾です。  そこで、受給者の暮らしの実態が今もなお厳しいものだ、部長、こういう認識には立てますか。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護基準につきましては、札幌市が決められるものではございません。国が責任を持って決めるべきものでありまして、今回の見直しにつきましては、単に引き下げを行っただけではなく、例えば、自立に向けての資格取得などを目指す方に対する生業扶助につきましては増額となっておりますし、低年齢層の方、高齢者の方の1類の基準について増額になっている部分もございます。そういった保護受給者の自立に向けた取り組みなどについて配慮したものとなっていると認識しております。 ◆坂本恭子 委員  基準額が減らされた一方、ふえたものもあるのですというお話でした。例えば、出産準備被服ですが、従前が4万6,200円以内ですけれども、100円上がりまして4万6,300円です。いただいた資料だと、新規就労控除も100円上がりまして、1万300円が1万400円です。上がったと言っているのはこれですね。  結局、基準額が切り下げになって皆さんは大変なのですよ、月に数千円下がっているわけですから。自立に向けて支援をするからそれでいいのだ、国が客観的な指標を持って行っているから札幌市はそれに対しては何も言わないのだと。でも、受給者、あるいは、生活保護を受けたいと申請したり相談したり、それを直接担当するのは皆さん自身ですね。区の職員や市の職員ですね。今の市民の暮らしの実態、生活保護を受給している人たちの暮らしの実態をどういうふうに考えるのかと聞いたら、それは国が基準を決めたことだから私たちは知りませんというふうにはならないと思うのです。  この間、札幌市北区の方と本州に住まわれていて生活保護基準額が切り下げになった方たちの取材をした番組が報道されておりました。その中で出てきたのは、札幌市北区に住んでいらっしゃる方でシングルマザーです。小さい子どもがいます。お仕事をしていて、足りない分について生活保護をもらっています。そして、あいた時間で資格を取ろうと思って一生懸命勉強しています。しかし、その方の場合、ことしは6,000円、3年間、6,000円ずつ下がっていき、3年後には月額で1万8,000円下がるのです。資格を取ろうと思って頑張っているのですが、受講料が捻出できなくなる。結局、仕事を見つけて自立したいと思っていても、それがかなわなくなる。それが今回の基準額の切り下げなのだというふうにその方はおっしゃっていました。もう一人の関西にお住まいの方は、病気を抱えており、全く仕事をすることができず、家事も思うようにできない方です。大学生の子ども2人は自立しています。小学生の女の子ともう一人の女の子は中学校を卒業して専門高校に通っています。手に職をつけて早く自立するためですよ。そういう方が、基準額が切り下げになったことで、子どもの学費を出せなくなる、子どもに大変な思いをさせる、子どもに、お母さん、お金がないから、学校へ行けなくなるんでしょう、そういうふうに言われる、テレビカメラに向かってお話をしていました。  これが、国が行った適切、客観的かつ合理的な基準額の引き下げなのですか。こういう実態をどういうふうにお考えになりますか。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護の基準につきましては、生活保護法第8条第1項で、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし」と規定され、さらに、同第2項で、「前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。」となっております。  繰り返しになりますが、今回の基準見直しにつきましても、この条文にのっとり、国が専門的見地から分析を行ったものであります。さらに、国会でも十分な審議を経て成立しているものと受けとめております。 ◆坂本恭子 委員  別に、そんな条文を読み上げていただかなくて結構です。私は、厳しい暮らしをしている人たちの実態をどう考えるのかという質問をしているのですよ。そこに答えてください。現に、自立するために受講しているお金を出せなくなると言っているのです。子どもが自立するために通っている専門高校の授業料が出せなくなると言っているのです。親として、胸を痛めているのです。自分自身が自立したいのに自立できないという精神的な苦痛を抱えながら、今、一生懸命生きているんです。そして、そういう方たちが審査請求を行っているということなのですよ。ここをしっかりと見ていただかないと生活保護行政なんてできないと思いますよ。本当に大変な人の気持ちに立っているかどうか。  さっき、ごみの問題でマニュアルをつくったらというお話がありました。マニュアルをつくったら、その域を出ないからマニュアルをつくらないほうがいいと。本当にそこに福祉の心がないですね。さっき聞いていて、情けなくなったわ、局長。そういうことですよ、今回の問題というのは。自立を阻害する、そして、子どもたちの成長・発達を妨げる、こういうようなものに今の保護費の基準額の切り下げが直面しているということはしっかりと理解していただきたいと思います。  そこで、次の質問に移りますが、就労支援のあり方について伺いたいと思います。  先ほども就労支援としてどんなものに取り組まれているのかというお話がありました。この間、拡充もされてきていますし、ハローワークあるいは民間企業などとも連携をとりながら、少しずつではありますけれども、広がってきているというふうには思います。しかし、それはまだまだ足りないものだと思います。一方で、就労支援の指導が非常に強化されてきています。こういう中で、本来自立を促すべきものが、そこを阻害しているという現状があると思うものですから、その点について伺いたいと思います。  個別の事例についてのやりとりをするつもりはありません。就労支援のあり方自体についての話を伺いたいと思いますが、私が伺ったあるケースです。女性です。仕事がやっと決まりました。業務上、車が必要ですということで、雇用証明書を提出して、車の使用許可願いを出しました。ところが、それが却下されました。そして、その方は、お父さんに車を借りますという申請書を出しました。これも、指導指示書がありますが、業務上、それから、自立の計画に向けて車は必要ないということで却下されました。結局、この方は、決まっていた仕事を断念した、やめざるを得ないというところに追い込まれてしまいました。これが就労支援になるのでしょうか。  もう一人の方です。パートタイムでダブルワークをしていらっしゃいて、週に大体30時間前後働いていた方です。週に40時間働きなさいと言われています。厳しく、執拗に40時間働けと。トリプルワークで週40時間働きなさいと言われ続けました。結局、その方は、精神的に非常にダメージを受けて、それまでやっていた仕事もやめなければならなくなりました。  こういう事態が実際に起こっているということです。これで就労支援というふうに言えるのですか。今の事例は本当に氷山の一角ですけれども、私は、就労支援という名で自立を阻害する何物でもないと思うのだけれども、いかがでしょうか。 ◎中村 生活保護担当部長  ご指摘の自動車の件やダブルワークの件につきましては、全体としてどのような就労支援を行っているのか、私のほうに資料がございませんので、これらの事象のみを取り上げて就労支援が妥当であるかどうかを判断することは困難であります。  区保護課では、保護受給者の過去の職歴や年齢、あるいは、病歴や通院状況などを考慮し、担当ケースワーカーはもとより、査察指導員や保護課長も含めて、保健福祉部として援助方針を個々に定めた上で就労支援を行っております。就労支援は、生活保護受給者の自立に直結するものであり、ケースワークの中では最も重要なものの一つと捉えております。したがいまして、具体的な支援内容が単に仕事を探しなさいというような紋切り型にならないよう、勤労意欲を喚起させるためのカウンセリングを初め、就労支援相談員や就労支援プログラムをより積極的に利用するよう、研修等で今後とも周知してまいりたいと思います。 ◆坂本恭子 委員  実際にそうなっていないという事例を二つ挙げています。代表質問のときにも、これとは別の事例を二つ挙げてやりとりしました。個別、具体の話を聞いているのではないのですよ。それは、区役所に行ってケースワーカーと直接お話をして、どこがいけなかったのか、紋切り型にならないというようなことも含めてケースワーカーに直接言えばいいですから、個別の問題は個別に対応して解決していけるのです。しかし、全体としてそうなっていないということを、この二つの事例を挙げて、今、皆さんに問いかけているのですから、そこについてきちんと答えていただきたいと思います。  代表質問では、職権停廃止についての質問もいたしました。このときにも、一律、機械的な対応ではなく、今、部長もおっしゃったけれども、十分に調査し、ケースワーカー同士が情報交換などを行い、それまでの相談記録なども見て対応しているのだというお話でしたね。そういうふうにやろうと努めているのだろうというふうには思います。しかし、当事者が納得していないのですよ。当事者が納得していない、ここをしっかりと見ていただかなければならないと思うのです。個別に対応するけれども、全体で見たときには適切にやられているのですと言ったって、当事者が納得していない。このことをしっかりと受けとめていただかなければならないと思います。  保護を廃止されたとしても、それで仕事がすぐに見つかるわけではありません。あるいは、先ほど病歴云々の話もありましたが、このことによってさらに精神的に追い詰められて入院を余儀なくされるというように、社会生活もままならない状況に追い込まれていってしまうのです。そうすると、結局、また保護の再申請をしなければならない。けれども、そのときに、あなたは就労活動をちゃんとしていなかったでしょう、意欲が見られなかったですよと言われて、申請にこぎつけられないような事態が広がっているということですよ。私は、こういう負の連鎖を生み出すような対応はあってはならないというふうに思います。  それから、部長は、今、ケースワーカーの問題について研修をしていると言ったけれども、私は、ケースワーカーの資質として求められているのは、研修ではなくて、研さんだと思うのですよ。これをしっかりとケースワーカー教育の中に位置づけているかどうか、職場研修の中に位置づけているかどうか、ここが問われているというふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。 ◎中村 生活保護担当部長  研さんなのか、研修なのかということでございます。  まず、札幌市で採用になりまして保護課に配置になりました翌日から研修して、なおかつ、職場では、必ず係内で先輩職員を定めまして、実際問題、OJTの中で研さんに努めているところでございます。
     その中で、いろいろな制度があったりして知識も深めなければなりませんし、自立支援プログラムにつきましてもいろいろなことを今やっておりますので、それについての研修、研さんにも努めているところでございます。 ◆坂本恭子 委員  しっかり研修、研さんをやってください。  ケースワーカーの持ち件数は、7月31日現在の数字ですが、平均が83.8件、一番多い担当地区では112のケースを持っています。件数だけの問題ではなく、中身の問題だというふうにも思っておりますが、おおむね80ケースというのが国から示されている数字ですね。私は、忙し過ぎるケースワーカーだから、研修、研さんを積んだとしても、ついつい紋切り型の口調になったり、いら立ちが出たりするようなことがあるのだと思うのです。それは、私たちが通常の仕事をしていてもそういうことがあります。しかも、非常に困窮状態で、いろいろな意味で生活環境が整っていない方たちに対応するときに、おのずとお互いが緊張し合う状態になりますから、一言一言に過敏に反応したり、それをすごく重たく受けとめてしまうことは現にあると思います。そういうことについては、私はもっともっと心を砕いていっていただかなければいけないと思います。  今、審査請求の問題、基準額の引き下げの問題についてお話を聞きましたけれども、結局、官僚答弁と全く変わらない。本当に市民の生活を身近で見ている、市民にとって一番身近に感じなければならない行政の、しかもトップの皆さんがそういう発言をしていることは、私は本当に残念でたまらない。ここについては、私どもはこれからもまた改めて問いただしていきたいと思います。  そこで、就労支援の問題について伺いましたが、もう一つは、子どもに対する支援です。  札幌市は、2012年度から生活保護世帯の子どもに対する支援として、まなびのサポート事業を始めましたね。2012年度は西区で、2013年度、今年度は5区、5カ所でまなびのサポート事業が行われております。一定の成果もあったのですというお話もしていましたけれども、この事業について、今、西区から始まり、5区まで拡大されております。具体的に成果が上がっているというか、評価がきちんとできるのは、完結している2012年度の西区の事例かなと思いますが、年度途中ではありますけれども、5区に拡大しているということですから、この事業についての評価を伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  まなびのサポート事業の実施状況についてでございます。  昨年度、西区におきまして、生活保護世帯の中学生全学年を対象に実施いたしました。対象者約280人に対して、参加登録者数は42人で、そのうち3年生15人全員が進学を果たしました。参加者に対するアンケートによりますと、勉強する習慣がついた、毎週楽しみだった等との声が上がっておりまして、進学状況とあわせて一定の効果が上がったと考えております。  今年度も、西区に加えまして、中央区、白石区、厚別区、豊平区の計5区で実施しておりまして、9月までの参加登録者数は180人となっております。  この事業は、生活保護世帯における貧困の連鎖を防ぐために、生活保護世帯の子どもの学力を増進させることを目的としておりますが、それとともに、生活保護世帯の子どもたちに学習する場を提供することも目的としておりますので、数字的な目標としては高校進学率の向上となります。しかし、例えば、親御さんが、うちの子どもは全然勉強しなかったのに、これに参加してから教科書を開くようになったとか、将来の夢をボランティアの大学生に話しながら、今までは定時制高校ぐらいしか行けないと思っていた子どもたちが自分の夢を実現するために全日制高校に行きたいというふうに具体的な夢を言ってくるようになったとか、そんな話も聞いておりますので、十分に事業目的が果たされているというふうに考えております。 ◆坂本恭子 委員  いいこともやっているじゃないですか。しっかり頑張っていただきたいと思いますね。  15人の3年生が、全員、高校に進学を果たすことができたと、また、生の感想、リアルな声も聞かせていただいて、学力の増進と同時に学習の場の提供であるということですね。先ほど私がちょっとお話ししましたけれども、そもそも勉強するとか文化的な活動にふさわしくない生活環境というか、そういう住居環境のお家が見られると思います。そういう意味では、子どもたちが安心して集中して勉強することができる、あるいは、仲間と一緒にそれを高めていくことができるような場づくりは非常に重要だと思っています。これについては、今5区でやっているわけですから、新年度、来年度は全区に広げていくというご決断をしていただきたいと思います。  また、参加人数も、西区については280名いるうちの42名の参加だったということですから、まだまだだなと思います。この取り組みはほかの都市でもやられていて、進学率も含めて成果も上がっているようですけれども、親御さんが通わせることに消極的だという声も聞いています。札幌市でも実際にそういうことがあるのだろうなと思います。今、事業をやっているのは青少年育成協会で、学生ボランティアも入っていろいろな努力をされていると思いますが、全区に広げ、参加生徒数をふやすようにして事業を拡大していっていただきたいと思いますけれども、この点について伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  まず、ケースワーカーから声かけをしておりますが、委員がご指摘のように、親がなかなか乗り気ではない場合があって、かなり困難を極めている場合もございます。ただ、一旦登録して参加しない方、不参加者世帯に対しては、必要に応じて、委託事業者のコーディネーターが担当ケースワーカーと同行した上で、事業の趣旨をご理解いただいて参加を促す機会を設けることとしております。また、欠席が続いた場合には、同じコーディネーターが手紙や電話連絡での状況確認を行い、事業参加の呼びかけをすることとしております。  それから、委員のご指摘にもございましたように、本事業は一定の効果が認められますことから、来年度以降、対象区を拡大する方向で検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆坂本恭子 委員  検討ではなくて、決断していただきたかったのですが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  非常に嫌な言葉だと思っているのですが、貧困の連鎖です。これは、2011年に厚生労働省が使っていて、貧困の連鎖の防止ということが提言として出されております。その当時の調査で恐縮ですが、生活保護世帯の4割は、出身世帯、自分が育った世帯でも生活保護を受けた経験を持っているということで、生活保護における貧困の連鎖が確認されたという調査が厚労省の生活支援戦略中間のまとめというものに載っています。中でも、母子家庭では、出身世帯で生活保護率のある割合が3割以上となっているということです。  一番最初にご紹介した報道番組に出ていた方は、両方とも母子家庭のお宅でした。小さい子どもがおりました。先ほども言いましたが、そのお母さんは、自分の子どもが大人になったときに、また保護を受けなければならない状態には絶対にさせたくない、だから、今、自分は頑張らなければいけないのだとお話しされていました。このことに改めて思いをはせると、子どもが貧困の連鎖から抜け出していく手だてをしっかりととっていくことが本当に大事だと思います。とりわけ、子どもの貧困率は、OECDの中で日本は格段に高く、先進20カ国の中でも格段に高いとなっております。  さまざまな学術調査でも貧困の連鎖が言われて久しい状態になってきていますから、私は、まなびのサポート事業は一刻も早く全市展開をして、全ての希望する子どもたちがここに参加することができるように、そして、将来に夢や希望を持って小学校、中学校の生活を送れるように、そういう環境整備をぜひしていただきたいと思います。  最後にしますけれども、中学生を対象にまなびのサポート事業と同じような事業をやっている自治体では、生活保護世帯の子どもの高校進学率が上がってきております。そういう中で、今度は、経済的な理由で高校を中退しなければならなくなるケースを防いでいこうということで、高校に進学した子どもたちの実態調査が始まっているとも聞いています。それから、中学生で、いざ、勉強しようとすると、九九がわからない、小学生の算数がわからなくて、中学校に入ったら授業に全然ついていけない、そういう子どもが、こういうところに来て、改めて学ぶ楽しさ、わかるという喜びに触れて人間的にも成長していくということがあると思います。  今は中学生になっていて、これから全市展開をするということですから欲張ったことは言えないのかなと思いますけれども、小学生から、そして高校生に至るまで、対象範囲を広げていくことも含めて、検証しながらしっかりと進めていただきたいと思います。これを求めて、終わりたいと思います。 ◆木村彰男 委員  私は、生活保護のケースワーカーの研修と職員への傷害事件について、二つ目は、公務員の身内が生活保護を受けているケースについてご質問させていただきます。  私は、ことしの4月に、北海道新聞で連載されておりました生活保護の現場からという記事をずっと見ておりました。これは、釧路の市役所にいらっしゃいました櫛部武俊さんという方が現実に生活保護の職場にいたときの経験を記事に出していたものです。その中で、ご自分の経験と断った上で、保護受給者が、酒を飲んでいて、殺すと叫んで出刃包丁をドアに突き立てたり、やはり、酔った受給者が私を家から出してくれず、6時間も軟禁状態に置かれたことがあったというような記事が出ておりました。保護を受けられる方のお話はよく出ますが、私は、生活保護の実態などについては余り知らなかったので、それをいろいろ調査されたり、現場に当たっていらっしゃる職員の方々のご苦労もこの記事を拝見することによって理解に至りました。  また、ケースワーカーには新規の職員もいらっしゃって、もちろん、ベテランの方と一緒に行かれていることもあるようですが、私は、ことしの5月、そういう方から、このような暴言を浴びたり、職場でのいろいろなトラブルといいますか、傷害を含めた事例があると伺っております。札幌市におきましても、昨年、区役所での面接時で3件、ことしは平成25年5月段階で、同じく区役所での面接時で1件、訪問面接時でも1件と、この後、数字が動いているかもしれませんが、そのようなトラブルといいますか、ケースワーカーの方に対する傷害や暴行などの事案が生じているようでございます。  このような事案が生じた場合、札幌市はいかなる毅然とした態度をとっていらっしゃるのか、お聞かせください。 ◎中村 生活保護担当部長  職員に対する傷害事件が発生した場合は、各区役所の保護課で、加害者の刑事責任を問うため、警察署へ暴行事件の被害届を提出しております。その後、警察により被疑者の逮捕、拘留、事件捜査が行われ、起訴され、裁判によって実刑の判決が下された事例につきましては生活保護は必要としなくなったわけでございますので、廃止となります。  このようにケースワーカーに手を上げるような不届きな方々につきましては、毅然とした対応をとるということで、各区でマニュアルもつくり、対応しているところでございます。 ◆木村彰男 委員  札幌市の場合、4月の段階でございますが、生活保護受給者は、7万3,000人を超えて全国で2番目ということで、市は4年間で160名のケースワーカーを増員するそうですが、この当時、691人の配置がうたわれておりまして、新規の採用者の方も含めて、その方々に対して上田市長が講演されたり、先ほど出ているような生活保護者に対する心構えもお話しされたと承っております。これは、姉妹の方が生活保護の受給をめぐって亡くなられたような事案を想定した上で、ケースワーカーの方々に対する心構えを訓令されたのだと思っておりました。  先ほど前の方の質問のときにもちらっと出ましたが、そのような暴力的なことに対するマニュアルのほか、若い方といいますか、新人の場合、生活保護受給の家庭に上がっていくときに、私もテレビを見ていましたけれども、きれいなところは余り少なく、何か雑然としているというか、ごみ屋敷というか、動物がいたり――これは別な事例で、出ていったときには、猫などの動物を飼っていたために原状回復に大変お金がかかってしまった、ところが、それを請求したとしても生活保護費からは出ないのだということで泣き寝入りさせられたようなオーナーの話も伺っております。ですから、生活保護を受けるということで上がり込んだところにその方の生活があり、そこでいろいろな問題について若い方が調査したり聞いてきたりするということで、大変だと思っております。  お聞きしておりますと、新任のケースワーカーは、先ほど言いましたように、約1年間、同じ係の先輩に同行しながら、それらのノウハウといいますか、スキルアップに努められると伺っておりますが、ひとり立ちしていくのは大体1年ぐらいという理解でよろしいのでしょうか、お聞かせください。 ◎中村 生活保護担当部長  個々のケースワーカーの資質にもよりますので、数カ月で何も言わなくてもひとりで家庭訪問して、きっちり読み込んで指導していくケースワーカーもおります。それは職場の状況に応じて、査察指導員もおりますので、その中で適切に対応しているところでございます。 ◆木村彰男 委員  先ほど言いました櫛部さんの経験の中でも、もちろん自治体の仕事でございますから、生活保護の仕事だけではなく、その後に配転もあるのでしょうけれども、生活保護の仕事、納税関係のお仕事、それから国民健康保険の仕事の三つは、ワースト3といいますか、行きたくない職場の三つだとまで書かれておりまして、皆様方の前では大変失礼ですが、非常に苛酷な仕事なのだと、私はこれを見ながら認識しておりました。  したがって、幾ら一生懸命頑張っても、もちろん、スキルアップして、立派に生活保護のところに長くいらっしゃる方もいると思いますが、やはり、職場でございますから配転もしながらやっていきます。もちろん櫛部さんのようにベテランの方もいらっしゃいますが、若い方が比較的多いということもお聞きしております。それらの方々のスキルアップ、研修等を行う中で私がちょっと気になったのは、家庭訪問して立派にやっていかれるような方はいいのですが、そこにおける問題点であるとか、お子さんの問題とか、ご病気の方がいたり、精神的なものだと思うのですけれども、心の病など、そういうことを見出すことができない、発見することができないというふうなこともたくさんあるようでございまして、その問題に気づいて、上司に言ったり、問題解決のほうに行くとなると、自分の仕事はますます過大になっていくと私も思うのです。  そのような場合については、問題を知らなかったふりをするというか、そういうことも記事には書いてあるのですが、そのようなことについての対策はどのようにお考えになっていますか、お聞かせください。 ◎中村 生活保護担当部長  個々のケースワークですが、私も新人のときにはケースワーカーで、精神的な悩みを抱えた受給者の方と向き合い、自分自身も本当にどうしたらいいのだろうかと悩んだこともございます。そういったケースには、処遇困難ケースという言い方をしますが、福祉事務所の場合は、係内に査察指導員がいますし、本人だけではなく、課長、係長も、あるいは別な課の課長、係長も含めて、ケース診断会議等で援助方針を立てて所として対応していくのが一般的な対応でございます。 ◆木村彰男 委員  子育て日本一というフレーズによって、札幌市にたくさんの方が新しく来られます。例えば、豊平区ではお子さんを殺した母親がおりまして、そのことについては、この間、検証の結果が出まして、私もそれを見せていただきました。あの方々も、入ってきたときから生活保護の受給者であり、長女の方も生活保護を受けるという方でした。札幌市に入ってきたからといってすぐに拒否することは、制度上、全くできない形になっております。したがって、それらの方々の思いやいろいろな環境などを即座にご判断して、生活保護なら生活保護につなげていくという、非常に困難で難しいお仕事をされていらっしゃると思って私は見ていたわけでございます。  しかるに、今出ておりますように、若い方もいろいろご相談されるようですので、いろいろなセクションといいますか、例えば、この間は児童相談所ですけれども、生活保護に至る過程の中には、私は貧困という枠組みで捉えてしまいますけれども、学校に行っていない無知というか、そういうものが連鎖していろいろな問題に至っているというふうに思います。したがいまして、これは要望ですが、生活保護のケースワーカーにつきましては、同じ課の者だけではなく、ほかの福祉の方々との連携の研修も進めていただきたいと私は考えております。  2番目に、公務員のご身内の生活保護受給の件についてお聞きします。  実は、この件については、昨年、中村部長と一度お話をしておりまして、控室で、そういう方がいらっしゃいますかというご質問をさせていただきました。そのときの中村部長のお答えは、7万件ですか、生活保護が決定した者の中から、この方の身内が公務員であるとか、札幌市職員であるということを探し出すのは容易なことではないと言われて、私もそうだと思いまして、そのときはたしか、6月だったか、7月だったか、その月に生活保護申請をされているいらっしゃる中に札幌市役所のお身内の方がいらっしゃいますかとご質問いたしまして、そのときには1例あったのですね。  その後、ある議員が文書質問をしたときだったかと思いますけれども、数はその後に動いていると思いますが、先ほど確認したら最終的には73名でした。これは、札幌市役所の職員だけではなく、国家公務員や道職員が2親等以内にいらっしゃる事例が資料として出ておりました。したがって、今もそれに近い人数で、この数字は変動があるかもしれませんけれども、受給者のお身内に公務員がいらっしゃって、札幌市職員もいらっしゃると思っております。  生活保護の場合は、その方が生活保護を脱したからといって、別な階にいて当たっていない人が上がってくる構造になっておりませんから、役所の構えとしては、公務員の方とそうでない非公務員の方を区別するいわれがないことはわかりますけれども、私が生活保護の話をして、不正受給の話などは別でございますが、市民の方と話をしているときによく出てくるのは、札幌市職員のお身内でそういう方がいらっしゃるのですかという単純なご質問なのです。つまり、皆様方の給与はある程度高いというご認識だと思うので、そういう方であれば親御さんやお身内の支援ができるのではないかと市民の方は考えていらっしゃると思うわけです。ですから、生活保護の申請が出て、お身内に公務員がいた場合、非公務員と区別するというか、申請に当たっての構えとして変わったことをするのでしょうかというお尋ねです。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護受給者の扶養義務についてのことだと思います。  整理させていただきますと、まず、扶養義務の中で生活保持義務関係がございまして、夫婦と18歳未満の子どもに対する扶養です。それから、絶対的扶養義務関係と言いまして、直系血族の2親等以内を考えております。それ以外の親戚の方につきましては相対的扶養義務関係としております。民法では、当然、扶養義務が当然優先するとなっておりますけれども、生活保持義務関係につきましては、自分の身を削ってでもというか、私たちがバイブルとしている小山進次郎の本では、一斤のパンを分け合ってでも面倒を見なければならないと書いておりますけれども、それ以外の扶養義務者については、自分の生活のレベルを落としてまで扶養しなければならないことではないとなっております。ですから、扶養するかしないか、援助するかしないかというのは、相手方の都合というか、間の関係の濃い、薄い中での扶養義務が生ずることとなります。  それから、私どもとしては、単なる金銭的な扶養だけではなく、私どもが扶養しませんか、できませんかと余り強く言うと、そこと縁を切ってしまう方もいらっしゃいます。そうなりますと、単身のお年寄りの方や日常生活が心配な方は、日常生活の支援やもしも病気になったときのための精神的扶養という言い方をしますが、逆にその関係も続けてもらわなければならないということで、精神的扶養をお願いする場合もございます。  それでは、市の職員はどうなのかというと、相手方、扶養義務者の職業によって扶養能力を区別、差別することは決してございません。 ◆木村彰男 委員  きのう聞いたことと大体同じになってしまうと思いますけれども、私は、生活保護というのは最低限のセーフティネットだと理解しております。ただ、イスラム圏の国に行ったことがありますけれども、ああいう国々は、宗教的な裏づけもあり、割と扶助するというか、貧しい方に援助する伝統が残っていると思って見ています。なぜ、それが日本の社会の中ではだんだん薄れてきて、身内ですらそういう関係になっているのかということについては、やはり我々が生きている時代の問題だと思っております。  生活保護については、不正受給と、それから、先ほど言いましたが、いろいろな研修におけるスキルアップをさらに強固にしていただきながらお進めいただくことを最後に要望しまして、私の質問にかえさせていただきます。 ○細川正人 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、10月11日金曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後7時47分...